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車を所有していれば、どんな車でも故障するリスクはつきものです。すぐに交換できる箇所や、部品を取り寄せれば修理が可能な箇所などは、比較的修理代金も安く短期間で直すことができます。
しかし、エンジンはどうでしょう。諦めて新しく車を購入しようかと悩む方もいるかもしれません。そこで問題なのが、「エンジンが故障していても買取り査定に出せるのか」というところです。
この記事では、エンジンが故障した車でも買取り査定が可能なのかを解説していきます。また、故障車を高く売るポイントやエンジンを長持ちさせるコツなどもあわせて解説しますので、参考にしてください。
エンジンが故障した車でも買取り査定は可能?
所有している車が「走行している時に異音がするようになった」「エンジンのかかりが悪い」「エンジンがかからない」といったトラブルを抱えているという方もいるでしょう。このような車の場合、買取り査定ができるか不安に思うかもしれません。
まず結論から言うと、エンジンが故障した車でも買取り査定はできます。なぜなら、エンジンが故障した車でもさまざまな需要があるからです。
出張査定をしてくれる買取業者にお願いすれば、エンジンがかからず動かせない車でも対応してもらえます。
なぜエンジンが故障した車でも売れるのか?
一般的に買取り査定に出される車というのは、動くのが当たり前とされています。エンジンは車が動くのにかかせない部分であり、故障するとおのずと乗り物としての価値が下がってしまいます。
そのため、エンジンが故障した車は買取対象にならないのではと思われがちです。しかし、エンジンが故障した車でも、乗り物としての価値以外に価値を見出すことは可能です。
ここでは、エンジンが故障した車でも買取り査定が可能な理由を3つのポイントに分けて説明します。
エンジンが故障したと言っても、そのダメージ具合はさまざまです。
衝突してエンジンが大破したような車の場合は、エンジンだけではなく他の部分も故障しているケースが多いでしょう。
しかし、なんの外傷もなくエンジンのみが故障している場合であれば、修理をすることで再び動く可能性があります。
基本的に買い取られた後に車が動く状態まで修理をすれば、次のユーザーへと売りに出すことは可能です。そのため、本来の買取価格から修理代金を差し引いた査定額が期待できます。
また、完全にエンジンがかからないような車でも、エンジンを取り替えるなどの修理を行うことで、また走行できるようになるかもしれません。
それなりの評価を受けられる可能性もあるので、エンジンがかからないからといって諦めるのではなく、まずは買取り査定に出してみることをおすすめします。
近年、中古車の輸入や輸出が当たり前になっています。日本ではほとんど売れないような車であっても、海外であれば重宝されるということもあります。
日本で中古車を販売する際は、走行できることが大前提です。故障車を査定する場合は、さまざまな角度から細かいチェックが行われます。その後起こりうる故障についての修理代も差し引かれ、最終的に査定額が提示されるでしょう。そのため、希望する額にならないことがほとんどです。
一方、海外で中古車を販売する際は、走行できることよりも「日本車である」ことのほうが重要視される場合が多くなります。
日本車というブランド力で、多少の不具合がある車でもそれなりに評価されることがあります。そのため、エンジンが故障して動かない車でも、海外に販路を持っているような業者であれば、買い取ってくれる可能性が高いです。
エンジンに多大な損傷があり、もう修理すら不可能な車でも諦めてはいけません。このような車でもまだ「部品としての価値」を見出すことが可能です。
車は、多くの部品から成り立っていて、それぞれに価値があります。例えば、ドアやタイヤは同じ車種の交換に利用することができますし、内装品や基盤、配線なども無傷であれば、再利用が可能です。
最初の姿からは想像できないような原型をとどめていない車であっても、地金として評価される可能性が残っています。
エンジンが故障した車はどこに売る?
上記でも述べたように、乗り物としての価値なのか部品としての価値なのか、エンジンの故障の程度によって車の価値が変わってきます。
買取業者にもさまざまな特色があるため、故障の程度に合わせた依頼先を見つけることで買取価格にも差が出てくるでしょう。
ここでは、4つの買取業者を取り上げ、それぞれの特徴とどのような車なら買取可能かを説明します。
エンジンが故障していても、サッと修理できるような程度であれば中古車買取店での買い取りが可能です。
しかし、エンジンが故障している時点で軽度ではないことが多いので、ほとんどの場合で買い取ってもらえないでしょう。
中古車買取店は、主にライトの不具合やボディーの軽いへこみ、エアコンの故障などであれば修理が可能です。軽い修理を行い、売り物として恥ずかしくないようなレベルの状態にします。
次の買い手が見つかる見込みがある車を扱うのが、中古車買取店の特徴です。
大きな損傷がある車は、中古車買取店で買い取ってもらえない場合が多いです。そんな時に頼りになるのが「故障車専門買取店」です。
故障車専門買取店は、故障車に特化しており、独自の販売ルートや海外とのつながりがあります。そのため、簡単な修理では直せない車やエンジンが故障している車を売却する際はおすすめです。
また、もし廃車にするとなると一般的には解体費用や手数料がかかります。すぐ廃車にせずに故障車専門買取店にお願いすることでその分の費用を抑えられる可能性があります。
次の車が決まっている場合は、ディーラーに下取りしてもらうことを考えている方もいるかもしれません。下取りしてもらえれば、その金額を次の車の購入代金に充てられます。
しかし、ディーラーの場合は中古車買取店と同じように大きな損傷のある車なら買い取ってもらえない可能性があります。
エンジンの故障は大きい損傷となるケースが多いので、下取りは難しいでしょう。
故障の程度が大きい車であれば、「廃車専門買取店」にお願いすることも視野に入れましょう。
乗り物としての価値がない状態でも、部品としての価値が残っています。修理不可能な車でも、解体により「鉄資源」として扱うことができます。
近年、鉄資源は世界中で需要が高まっています。そのような背景から、原型をとどめていないような車でも買取が可能なのです。
また、廃車専門買取店に買い取ってもらえれば廃車費用がかからないというメリットもあります。
エンジンが故障した車を高く売るポイント
ここでは、エンジンが故障した車をできるだけ高く売るポイントを説明します。
エンジンが故障している時点で多大な減額が予想されますが、ちょっとしたポイントで査定額がプラスになる可能性があります。
それでは、4つのポイントをそれぞれ見ていきましょう。
車内の清潔さは査定基準に入っていませんが、査定を行うのは人です。査定士に良い印象を与えることができれば、査定額が高くなるかもしれません。
「ダッシュボードの上を水拭きする」「ドリンクホルダーの汚れを拭き取る」「窓ガラスについた手あかを綺麗にする」など、自分ができる範囲で構いません。一つ一つは些細なことですが、掃除完了後に全体を見てみると、イメージも変わるはずです。
人の車に乗った時に「良い匂いだな~」と感じたことがある方もいるでしょう。日頃から乗っている自分の車であればそこまで感じなくても、人の車の匂いには敏感になるものです。
良い匂いならまだしも、不快な「臭い」であれば悪い印象を与えてしまいます。そのため、車内の臭いについては査定基準にも入っています。
特に気をつけたいのが、タバコやペットの臭いです。そのような臭いが残っている車は、査定時にマイナス評価となります。
他にも、釣りが趣味の方は、魚の餌や釣竿を常に載せていることもあるでしょう。生臭さが残っていれば減点の対象です。
自分では気が付きにくいポイントでもあるので、日頃から換気をするなど、車内をさわやかにする意識が大切となります。
また、強すぎる芳香剤を使用している場合も、臭いが残っていればマイナス評価となるので注意してください。
車を購入した時に付属していた取扱説明書、専用工具、スペアキー、整備手帳(点検整備記録簿)などがあれば、一緒に査定に出しましょう。付属品がしっかり残っているとプラス査定となります。
専用工具は、純正のものがついていることでトラブルの時に対応できる安心感が高まります。そのため、おのずとプラス査定となるでしょう。
スペアキーは、特に防犯装置が搭載されているイモビライザー付きであれば、後から作るのが大変です。他の鍵も合鍵の作成には費用がかかるので、はじめから付いていることは査定に有利となります。
整備手帳(点検整備記録簿)は、正規のディーラーで購入した証です。さらに整備の記録がついていると好印象を与えることができ、結果的にプラス査定になります。
一括査定を利用すると、高価買取になる可能性があります。
一括査定とは、同時に複数の買取業者に査定を依頼することです。必要事項を1回入力するだけでいくつもの買取業者に情報が届くため、便利な方法だと言えます。
さらに、一括査定は買取業者同士競合するので、査定額のアップにつながるかもしれません。
また、買取業者には得意な車種やメーカーがあります。なかには故障した車に強い買取業者もいるので、そのような買取業者に依頼をすれば、エンジンが故障した車でも高価買取になる場合があるでしょう。
エンジンが故障した場合、自分で修理をしてから買取り査定に出したほうが、高く買い取ってもらえるのではないかと思うかもしれません。
しかし、実際は修理してから査定をするメリットよりも、デメリットが大きい場合がほとんどです。そのため、修理はせずにそのまま査定に出したほうが良いでしょう。
念のため、バッテリー充電で動くかどうかを確かめるくらいならしてみる価値はあります。エンジン自体の故障ではなく、バッテリー上がりだけの場合もあります。バッテリー充電で動くようになれば、査定での大きなマイナス要素はなくなるでしょう。
しかし、その場合も自分で交換してから出すと費用がかかるので、そのまま出すことをおすすめします。
エンジンが故障した車の買取相場
車を売却するならできるだけ高く買い取ってもらいたいと思うのが本音だと思いますが、実際はどれくらいの金額で取り引きされているのでしょう。
ここでは、「エンジンが故障して全く動かない車」という想定で、買取相場を紹介します。
買取相場は、車の大きさや排気量のクラスによって多少の差があります。ざっくり分けると、普通自動車が10,000~30,000円、軽自動車が3,000~10,000円といったところです。
ぱっと金額だけを聞くと、「やはりエンジンが故障すればこれくらいか」と落ち込むかもしれません。確かに車を購入した時に比べると、とても悲しくなる金額です。
しかし、これは相場ですので、車の状態によっては大きく変わる可能性があります。あくまでも参考程度にしておいてください。
また、廃車にする場合は廃車費用がおよそ80,000円かかりますが、車を買い取ってもらえればその費用はかかりません。そのことを含めて考えると、決して安い金額ではないでしょう。
査定時にエンジンの故障を隠すとどうなる?
「エンジンが故障していると高く買い取ってもらえないから隠しておこう」と思っている方がいるのであれば、それはおすすめできません。
車を売ろうとしている人には、「契約不適合責任」というものがあります。これは実際の車の状態が契約時に伝えていた状態と違う場合、車を売った人が賠償責任を負うというものです。
そもそも、査定士は中古車を査定するプロなので、大体は気づかれます。契約時に気づかれなかったとしても、後から気づかれ契約解除料を払わなければならないということも考えられます。
余計な手間やお金が発生してしまうリスクもあるため、正直にエンジンが故障していることは伝えましょう。
エンジンを改造した車の買取り査定はどうなる?
エンジンを改造すると、格段にエンジンのパワーが上がります。車が趣味の方をはじめ、車好きの方にとってエンジンの改造車はとても大きな魅力があります。しかし、買取り査定に出すとなったらどうでしょう。
エンジンは車の性能に関わる大切な部分なので、そこを改造したとなるとマイナス査定になる場合があります。なぜなら、これから起こるであろう不具合も視野に入れて査定を行うからです。
改造車は、一般的な中古車よりも不具合が起こりやすいと言われています。そのため、そのようなことを考慮して買取金額が減額されるケースがあります。
ただし、エアロパーツや車検に通るマフラーなどを装備している場合は、その部分で査定額がアップする可能性があります。性能の良いカーナビや人気のあるホイールなども同様です。
エンジンだけを見ればマイナスですが、その他の部分でプラスになる可能性もあるため、一概に査定額が低くなるとは言えません。
エンジンを長持ちさせるには?
エンジンが故障した車を売却する方法について説明してきましたが、エンジンを故障させないためにはどうしたらいいのでしょう?
ここからは、エンジンを長持ちさせる方法を2つ紹介します。
エンジンを長持ちさせるためには、まず定期的なエンジンオイルの交換が重要です。
エンジンオイルとは、エンジンを動かすために必要なオイルで、5つの役割を持っています。
①潤滑
エンジン内部のパーツがスムーズに動くようにする役割があります。
②密封
シリンダーとピストンの間にできる隙間を、オイルが埋めて密封することで、効率の良い動きをサポートしています。
③防錆
金属は空気に触れると錆びる特徴がありますが、オイルによって錆を防ぐ役割があります。
④冷却
ピストン運動によって放出された熱を、オイルが冷却してくれます。
⑤清浄
エンジン内部にたまって汚れを分散し、固まらないようにする役割を持っています。
このような役割があるため、エンジンオイルのメンテナンスを怠ると直接エンジンにダメージを与えることになります。
エンジンオイルの交換の目安としては、走行距離が3,000~5,000kmに1回、または3~6ヵ月に1回と言われています。
オイルフィルターの交換も大切です。
オイルフィルターは、エンジンオイル内にたまってきた不純物をろ過する役割があります。オイルフィルターが正常に機能することで、エンジンオイルが本来の役割を果たすことができます。
交換の目安としては、エンジンオイルを交換時の2回に1回ごと、走行距離が10,000kmになったら行うのが一般的です。
オイルフィルターの種類によって交換時期も多少変わってくるので、そのフィルターに合った時期を確認しましょう。
また、ほとんど走行していなくても1年に1回は交換するのが理想的です。