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車をパッと見た時に車体の形や色に目がいきがちですが、実はタイヤのホイールがさりげないアクセントになっていることも多いです。
しかし、ホイールにいつの間にか傷がついていた…ということも少なくありません。では、傷がついてしまった場合、車の買取り査定にどのような影響を与えるのでしょうか?
この記事では、傷のあるホイールが査定額に与える影響について解説します。
また、ホイールに傷がある車を高く売るポイントも紹介しますので、参考にしてみてください。
ホイールの役割とは?
タイヤのホイールはあまり気にしたことがないかもしれませんが、車のさりげないアクセントになっています。ホイール一つで、車の印象を変えることができるので、自分好みにカスタマイズする方も多いです。
ここからは、ホイールの役割を3つに分けて解説します。
先ほども軽く触れましたが、何と言ってもデザイン性を高めるというポイントは外せません。ホイールは、様々なメーカーのものがあります。そのため、自分好みのデザインや色を見つけることができるでしょう。
デザインと色によっては、高級感が漂う雰囲気にしたり、スポーティーなカッコよさを出したりと、まったく異なる印象にすることができます。最近では、新車購入時から付いてくる純正タイプのホイールでも、デザイン性に凝ったホイールが見られます。
ホイールの役割は見た目だけではありません。車を動かすために車軸が回転し、それをタイヤに伝えるという重要な役割を担っています。また、車は進んだら進みっぱなしではありません。車の走行中は何回もブレーキを使用します。車を止めるにはブレーキを踏みますが、その際に生じるのが摩擦熱です。
摩擦熱は、そのまま車内に閉じ込めておくと故障の原因になってしまいます。そのため、ホイールが回転することで摩擦熱を逃がす役割も一緒に果たしています。
車は、車体の下部重量を軽くすることでサスペンションの動きを高めることができます。それに一役買っているのがホイールです。
ホイールには様々な素材が使われますが、より軽量のものであればあるほど走行性能が高まります。グリップ感が増したり、スムーズなハンドリングができたりと、快適な走行性を実現できるでしょう。
ホイールの素材
ホイールには様々な種類があるので、選ぶ際は何を選んだら良いか迷ってしまうという方もいるでしょう。ホイールは豊富なデザイン性だけではなく、使用されている素材によってもメリットやデメリットがあります。
ここからは、ホイールの素材に着目して、それぞれの特徴を紹介していきます。
アルミホイールは、アルミニウム合金でできています。スチールホイールよりも加工がしやすいため、デザイン性の自由度が高いのが特徴です。主に一般的な乗用車に使用される割合が高く、その他にはバスや大型車に採用されることもあります。
アルミニウム合金は軽量なので、スムーズなハンドリングが可能になるなど走行性能が高まります。軽量化されることで、燃費向上が期待できるでしょう。しかし、その分価格が高めです。さらに、デザインによってはスチールホイールよりも重くなる場合もあるため、注意しましょう。
スチールホイールは、その名のとおり鉄鋼を原料としています。そのため、安価に製造でき、剛性に優れているという特徴があります。
価格が安いため、新車購入時についているホイールはスチールホイールが多いです。また、見た目をあまり気にしなくてもいいようなバスやタクシー、トラックなど、仕事で使われる車に使用されることが多々あります。
ただし、スチールホイールは鉄製なので、ちょっとした傷でもすぐに錆びてしまう可能性があります。さらに、加工しにくいことからデザイン性が劣っているのもデメリットと言えるでしょう。
そういったデメリットをカバーするために、ホイールキャップを装着するのがおすすめです。不格好さを隠し、錆びるのを防いでくれます。
スチールホイールよりも軽いのがアルミホイールですが、そのアルミホイールよりも軽いのがカーボンホイールです。軽量であればあるほど、車の走行性能や燃費性能が高まるため、カーボンホイールはそのような点に特化しています。
しかし、加工が難しいため、限られたところでしか製造されていないのが現状です。また、製造コストが高いことから一般的な乗用車にはあまり利用されません。
マグネシウムホイールも、アルミホイールやスチールホイールよりも軽量です。マグネシウム合金はアルミニウム合金の約3分の2の重さなので、走行性能が高いという点が特徴です。
また、運動性能に優れていることから、主にレーシングカーや軽量スペシャルモデルに使用されています。
しかし、マグネシウム合金は腐食にとても弱いというデメリットがあるため、傷がつくとすぐに錆びてしまいます。アルミホイールよりも耐久性が劣っているので、慎重に扱う必要があるでしょう。
ホイールの傷が買取り査定に与える影響とは?
車のホイールは、大切に扱っていてもいつの間にか傷がついていることがあります。
「傷」と聞くと、買取り査定に不利な印象があるかもしれません。しかし、ホイールの場合は一般的に爪が引っかからないような小さい傷であれば、査定額は下がらないと言われています。その程度の傷は買取業者が簡単に修理できるためです。
これは、日本自動車査定協会の査定基準でしっかり定められています。一方で、うすい擦り傷や変色は減点の対象となります。また、腐食や亀裂も同様です。
タイヤ交換やタイヤを重ねて保管する際、誤って擦り傷をつけてしまう可能性もあります。走行中はもちろんですが、タイヤを交換した後の取り扱いにも十分気をつけましょう。
車を買取り査定に出す場合、「ホイールの傷を修理したほうが査定額を高くできるのでは?」と思う方もいるでしょう。自分で修理できそうな小さい傷であればなおさらです。
結論から言うと、ホイールの傷を修理してから買取り査定に出すのはおすすめできません。なぜなら、査定の相場よりも修理費のほうが高くつく可能性があるからです。プロによる修理は、見た目が元通りになるので綺麗になりますが、修理費用がかさんでしまいます。
軽度の傷を自分で修理する場合は、10,000円以下で必要な材料を手に入れることは可能です。しかし、よほど技術が高くない限り傷を余計に目立たせてしまう可能性もあるので注意しましょう。自信がない時は、そのまま車を査定に出すのが賢明です。
ホイールについた傷を侮ってはいけません。大きな傷の場合は危険が潜んでいる可能性があります。ホイールに傷がつく原因の多くは、縁石に擦ることです。擦った傷を「ガリ傷」と呼びます。
ガリ傷は、軽度のものであれば車本体に影響はありませんが、縁石に乗り上げるほどの強い衝撃があった時は要注意です。
前述したように、そもそもホイールには車の動力をタイヤに伝えるという役割があります。そのため、ホイールが歪んでしまうと、うまく動力が伝わらず、安全な走行ができません。
また、歪んだ隙間からタイヤの空気が抜けることもあります。タイヤの空気圧が変われば、蛇行運転になりやすいので危険です。ホイールに大きな傷をつけてしまった時は、まずは歪みを確認しましょう。歪みがあったら、ホイールやタイヤ交換を優先してください。
買取り査定の前にホイールの傷を修理に出すのはおすすめできません。しかし、買取り査定の予定がなかったり、買取り査定までしばらく時間があったりするのであれば、修理をしたほうがいいケースもあるでしょう。
ホイールは車の走行性能や燃費性能にも関わる大切な部分なので、こまめなメンテナンスは大切です。ここからは、ホイールのみ修理する場合とホイールを交換する場合の2つに分けて、どれくらいの修理費用がかかるのかを解説します。
ホイールの修理を業者にお願いする場合は、ホイールの大きさや種類、傷の程度によって修理費用が変わってきます。ホイールのみの修理なら、およそ10,000~20,000円あたりが相場です。
しかし、特殊なカットを施したホイールやアルマイト加工を施したりしているホイールは、修理費用が相場よりも高くなることがあるので注意が必要です。修理期間が長引くケースもあるため、さらに修理費用に影響が出る可能性もあります。
また、ホイールのみの修理といえども、1回タイヤを外さなければならないので、その分の工賃は必ずと言っていいほど含まれます。
見た目だけではなく車の走行にまで影響があるほどの傷がついてしまったら、ホイールを交換しましょう。その場合、新しいホイール代にプラスして、新しいタイヤ代と工賃が発生します。
タイヤもホイールも様々な種類があるので、何を選ぶかによっても変わりますが、工賃を合わせて1本10,000円以上かかる場合が多いです。
また、タイヤを新しくすると、新しいタイヤと古いタイヤの外周(タイヤの直径)に差が生じることがあります。差が生じると車に負担がかかるので、タイヤの溝の深さを見てタイヤをローテーションしたり、4本すべてを交換したりしなければなりません。この場合はそのような費用も含まれるので、覚えておくと良いでしょう。
ホイールの傷は自分で修理できる?
ホイールの傷を自分で修理すると、二次被害が生じる危険性もあります。しかし、こまめなメンテナンスも必要です。
ここでは、自分でできる修理方法をご紹介します。傷を広げないように注意をしながら修理を行ってください。
自分で修理を行う際に必要な主な道具は、次のとおりです。
- 洗剤
- スポンジ
- アルミパテ
- ヘラ
- 耐水サンドペーパー
- マスキングテープ
- シリコンオフ
- 当て木
- 塗料
耐水サンドペーパーは、違う番手がセットになっているものを選ぶと良いでしょう。他にも細かく見れば必要な道具があるので、自分のホイールに合わせて準備してください。
まずは、ガリ傷の汚れをしっかりと洗剤を使って洗い落としていきます。スポンジでこする時に力を入れすぎると新たな傷ができてしまうので、気をつけてください。
綺麗になったら耐水サンドペーパーの100~300番を使って、ガリ傷部分をなめらかにしていきます。当て木を使用するとこすりやすいです。
次は、パテが余計なところにつかないように、ガリ傷周辺をマスキングテープで隠します。ちなみにこの工程は、耐水サンドペーパーのこすり過ぎも抑えられるので、初めてやる方や不安な方はガリ傷を洗った後に行っても良いでしょう。
マスキングテープを貼り終わったら、パテを固着させるために削った箇所をシリコンオフで脱脂します。
次に、アルミパテの主剤と硬化剤をよく混ぜてください。よく混ぜたら、いよいよアルミパテを塗っていきます。ヘラをうまく使いながら、凸凹がないように塗ってください。アルミパテが固まったら、マスキングテープをはがします。
アルミパテが完全に乾くには、約12時間かかります。雨がかからない場所でよく乾かしましょう。
完全に乾いたら、耐水サンドペーパーを使って表面をなめらかにしていきます。ここで使う耐水サンドペーパーは、600~1000番です。最初に使った番手とは違うので気をつけてください。
その工程が終わったら、最後は仕上げの塗料を塗る工程です。ポリッシュタイプのホイールなら、クリア塗装を吹き付けていきます。ドレスアップタイプのホイールの場合は、元と同じ色を塗ります。
プロのような仕上がりにするには相当なコツが必要ですが、これらの工程である程度は修理することが可能です。
走行中に違和感がある時はホイールバランスの調整をしよう
一見、どれも同じような丸い形をしているホイールですが、量産される過程のなかで、寸法や重さなど目に見えないほどの小さな違いが出てきます。そのため、新品であってもホイール4本すべてがまったく同じコンディションとは限りません。
また、ホイールに組まれるタイヤも同様です。走行中のドライバーの癖などで均一には減らないため、走行すればするだけ違いが生じます。
「ハンドルを触ってないのに勝手に右に行ってしまう」といった経験をしたことがある方もいるでしょう。ホイールやタイヤの小さな違いの積み重ねが、走行中の違和感へと変わってきているのです。
そんな時はホイールバランス調整をしてみましょう。タイヤが組み込まれたホイールを専用のホイールバランサーという機械に取り付けて、ホイールの中心からの重さが均一であるかをチェックします。
もしも回転にムラが出た場合は、バランスウエイトという重りを装着することで、バランスを調整することが可能です。
施工を含めたチェック費用は数千円なので、気軽にチェックできます。タイヤの寿命が長くなるというメリットもありますので、タイヤ交換時に定期的に行うことをおすすめします。
ホイールキャップも買取り査定の対象になる
買取り査定の際、ホイールだけではなく、ホイールキャップも査定の対象となっています。現在、スチールホイールとホイールキャップの組み合わせで販売される車は意外に多く、高級車以外の幅広い車種で採用されています。
そもそもホイールキャップとは、ホイールの上から被せる装飾品です。特にスチールホイールは見た目という点から考えると、アルミホイールより劣っています。そこで、見た目の印象を良くするために使用されています。
ホイールキャップは査定対象となっているため、傷があればもちろん減点です。逆に言えば、車にスチールホイールだけの場合よりも、純正のホイールキャップがあれば査定額も上がります。ただの装飾品だと思わずに、ホイール同様大切に取り扱いましょう。
ホイールに傷がある車を高く売るポイント
どうせ買取り査定に出すなら、なるべく高く売りたいと思うのが正直なところです。では、ホイールに傷がある車を高く売るにはどうすればいいのでしょう?
一番のおすすめは、複数の買取業者に査定を依頼することです。査定士によりマイナス評価額が変わるので、買取価格に差が出てきます。
しかし、ホイールの査定額は車全体の査定額のほんの一部なので、ホイールだけにこだわらずに全体のバランスを見て買取業者を選ぶと良いでしょう。