目次
車を売る際は買取り査定が必要となりますが、事故歴や修復歴のある車を査定してもらう場合は、どのようなことに注意すべきなのでしょう?
また、事故歴や修復歴がある車については買い取ってもらう先をどこにするかもよく検討する必要があります。できるだけ高額で査定してもらうために何ができるのか、解説していきます。
事故歴、修復歴、修理歴の違いとは?
そもそも「事故歴」「修復歴」「修理歴」とは何でしょう?
事故歴や修復歴があることで買取り査定価格が大きく変わってくるため、正しく理解しておくことが大切です。一つずつ詳しく紹介します。
事故歴とは、文字通り事故に遭ったということです。
事故により修復歴、修理歴がついた車はどちらも事故車と呼べますが、自動車業界では修復歴と修理歴を区別しています。査定士が事故車と言った場合には、一般的に修復歴を指していることが多いでしょう。
ちなみに、交通事故以外の理由でも修復歴と同じ扱いとなりうるケースがありますので、注意が必要です。
例えば、沿岸地域であれば塩害やサビによる車の損傷があります。また、台風などの理由で水没してしまった車については修復歴もしくはそれ以上とみなされるでしょう。
この記事では、事故歴=修復歴として話を進めます。
修復歴とは、交通事故または災害で車の骨格を損傷したことにより、交換や修復したことを意味しています。
骨格とは主に以下の部分のことを言います。
①フレーム
②クロスメンバー
③インサイドパネル
④ピラー
⑤ダッシュパネル
⑥ルーフパネル
⑦ルームフロアパネル
⑧トランクフロアパネル
⑨ラジエータコアサポート
骨格は、事故の際の衝撃を吸収し全体に分散することで乗っている人の安全を守るようにできています。乗っている人の代わりに犠牲になる部分であることから、事故のような強烈な衝撃で歪み、走行できないほどになることもあります。
このように車の骨格は安全面で大変重要な部分です。買取り査定の際、修復歴の有無は必ず確認されます。
修理歴とは、車の骨格以外の部分について修理を行ったことを指しています。
例えばバンパーやボンネット、またドアだけの交換、ガラスのヒビの修理などです。
事故により修理を行ったとしても骨格部分以外なら修理歴、少しでも骨格部分の修理を行ったなら修復歴となります。
事故歴・修復歴がある車でも買い取ってもらうことができるのか、疑問に思うかもしれません。基本的に、問題なく走行することができる車だと業者が判断すれば、買い取ってもらえるケースが多いでしょう。
ただ、事故歴・修復歴のない車より、査定額が下がってしまうことは否定できません。
また、業者によっては買い取りを拒否されたり、値段をつけてもらえなかったりする可能性があります。
事故歴/修復歴車をどこに買い取ってもらうか
事故歴・修復歴のある車の売り先はどのように決めればいいのでしょう?
ディーラーの下取りでは、ほとんど価格がつかないことが多いです。そう考えると以下の2つの売り先に絞られることになります。
買い取ってもらう先としてまず考えたいのは、中古車買取業者です。事故歴・修復歴があったとしても、きちんと修理がされており、走行にも問題ない車であれば買い取ってもらえる可能性があります。
しかし、中古車買取業者によっては国内にしか販売ルートがないため買い取りを断られるケースもあるでしょう。そのような場合には、海外での販売ルートを持っている買取店に査定を依頼することができます。
日本では修復歴を気にしますが、海外に目を向けると修復歴を気にしない国もあります。人気のある車種の場合、需要があることからそれなりに査定額がつくかもしれません。
事故歴・修復歴があり、海外で人気のある車種ではなく、年式も古く走行距離も長い、と悪条件がいくつも重なってくると、中古車買取業者での買い取りを期待するのはかなり厳しくなってきます。
その場合、気持ちを切り替えて廃車買取業者に依頼してみるといいでしょう。
廃車買取業者が査定するのは車の部品であるため、状態が良くない車でも買い取ってもらえるケースがあります。どのような状態の車でも0円以上を謳っている業者もあるほどです。
仮に廃車買取業者でさえ値段をつけてくれなかったとしても、廃車の費用がかからないというのは大いに助かるでしょう。
なお、廃車買取業者を選ぶ際には、中古車買取業者と同様、海外との取り引きしている業者を選ぶことをおすすめします。国内では利用できないパーツも、海外では使えることがあるため、買い取ってくれる可能性が高まります。
中古車の買取り査定とは何か
中古車の買取り査定とは、簡単にまとめると今の車の状態を確認・評価した上で価格をつけることです。
たとえ同じ車種で新車というスタートは同じであったとしても、それぞれの環境や使われ方で状態が一台一台変わってきます。今の車の状態を見るために査定は必要です。
査定額算出については、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)で方法が公開されています。JAAIでは標準状態を設定しており、それと対象となる車の状態を比べ、加点および減点で査定を行います。
買取り査定は2つの方法があります。
1つ目は、自宅やその他、自分の指定した場所に来てもらって査定してもらう出張査定です。
2つ目は、自分で直接中古車買取業者のお店に車を持っていって査定してもらう方法です。
通常、30分~1時間ほど査定に時間がかかります。車の状況によっては1時間以上かかるかもしれません。
査定終了後、買い取れると判断された車であれば価格が提示されます。
査定は30分~1時間ほどかかります。その内訳は通常以下のようになります。
- 約10~20分:外装
- 約5~10分:内装
- 約5分:足回り
- 約5~10分:エンジンルーム
JAAIで設定している標準状態とされる中には、「修復歴がないこと」が含まれているため、事故歴・修復歴があればこの時点で査定での減点は確実となります。
これ以外に標準状態とみなされる点は下記です。
- 外装、内装が無傷である
- 足回り、エンジンは走行するのに支障がない
- 車検の残り月数が3ヶ月以内である
- 走行距離数が標準である
- タイヤの残り溝が1.6mm(スリップサイン)以上ある
- 改造や腐食、においなどの損傷減価となる要因がない
修復歴のある車の場合、買取り査定でどれくらいマイナスとなるのでしょう?
一般的には、修復歴のない車の買取価格と比べて30万円ほど減額になることが多いです。
車の骨格は機能に関わる重要なパーツであり、一度損傷してしまうと修理をしたとしても元に戻ることはありません。さらに、後日他の部分に影響が出てくることもあるため、査定時には大きなマイナス要因となります。
もし10年以上経過している、走行距離が10万kmを超えているなど、買取価格がそもそも低い車である場合には、修復歴によるマイナスで買取価格がつかなくなってしまうということもあり得るでしょう。
事故歴/修復歴車の買取り査定で注意すべきこと
事故歴・修復歴のある車を買取り査定してもらう場合、注意すべきポイントは何でしょうか?
以下で詳しく説明していきます。
修復歴がある場合は買取り査定の際、必ず修復歴があることを忘れずに伝えましょう。
もし修復歴について査定士に言わなかったとしても、通常は車の状態から査定士が気づきます。故意ではなかったとしてもあえて隠していたとみなされ、心証が悪くなってしまうかもしれません。
このような点からも、正直に修復歴を申告することは大切です。
買取り査定をしてもらう際には、相見積もりをとることがおすすめです。特に事故歴・修復歴のある車の場合は相見積もりをとりましょう。
修復歴があるだけで車の価値は下がり、査定額も低くなるのはどの業者も同じです。しかし、国内メインの業者と海外に販路のある業者では、値段の付け方が変わってきます。
国内では修復歴車の需要はほとんどありませんが、海外であれば国によっては車そのもの、または部品単位で売れる可能性があります。相見積もりをとることで、少しでも高く買い取ってくれる業者を選ぶことができます。
買取り査定の前後にできること
買取り査定をしてもらう前、してもらった後、どのようなことに注意すればいいのでしょう?
事故歴・修復歴がある車だからといって諦めずにできる限りのことを行えば、多少減額を防げるかもしれません。
基本的には修復歴のない車の場合と同じですが、少しの手間で不用意な減額を避けられる可能性があります。
買取り査定の前には、必ず車を掃除し綺麗にしておきましょう。
修復歴があり、外も中も汚れているという場合、査定士は粗雑に車が扱われてきたと判断しますし、心証も査定も悪くなる可能性があります。
反対に綺麗に清掃された車であるなら、丁寧に使用されているとみなされ、修復歴要因以外の不用意な減額を避けることができるかもしれません。
車の内装や外装のほこりをとり、ごみを片づけ、べたつきがあればふき取っておきましょう。
さらに、車の中のにおいにも注意が必要です。ペットやたばこのにおいは、ペットのいない人、またたばこを吸わない人にとっては敏感に気づくポイントであり、そのようなにおいのある車に乗りたいと思わないものです。
消臭剤を使う、査定の前からペットを乗せない、車内でのたばこを控えるといった対策も有効です。
基本的に中古車市場では純正パーツが好まれる傾向が強いです。そのため、もし社外パーツで車をカスタマイズしている場合には、査定の前に純正パーツに交換しておくことをおすすめします。
純正パーツに交換しない場合は、査定の際に社外パーツとの差額がどれくらいなのか確認してみましょう。
純正パーツを紛失しないようきちんと保管しているなら、査定の際に必要以上にマイナス評価になってしまうことを避けることができます。
純正パーツについては、査定の前に気をつけるというよりも、車をカスタマイズする際に注意するべきことと言えます。
実際に車の買取り査定をしてもらう前に、大体の相場を調べておくことも大切です。
自分の個人情報を送らなくても、中古車買取業者のサイトから大まかな価格は確認が可能です。ただし、事故歴・修復歴のある車はサイトに表示された相場より低く見積もっておく必要があります。
買い取ってもらおうとしている車のメーカー、該当車種を確認するのは大前提ですが、その他に査定額に影響を与えるポイントとして見ることができる点は以下です。
- 年式
- 走行距離
- 都道府県別の買取相場
- 査定の時期
車を買い取ってもらうタイミングを逃さないことも重要です。
中古車買取業者であれば、以下のようなタイミングが良いでしょう。
車検を受けた後に査定を受けても、それほど査定額が高くなることはないため、車検の手間と費用を省くという意味でも車検の前がおすすめです。
年式10年、走行距離10万kmは、中古車市場では一つの節目であり、このラインを超えると査定額がかなり下がってしまいます。修復歴があるのであれば、これ以上のマイナス評価を避けるためにもこれらの節目を過ぎる前に買い取ってもらうのが良いでしょう。
廃車買取業者に出す場合は、少し事情が異なります。廃車にする場合のタイミングは下記の通りです。
4月1日時点での車の所有者には、手元に車があるかどうかは関係なく自動車税が請求されます。そのため、3月中には廃車の手続きが完了していたほうがいいでしょう。
車検の際に自動車重量税、自賠責保険を年単位で支払うことになるため、廃車を考えるのであれば車検の前が良いでしょう。
廃車の場合、上記のタイミングを逃したとしても、自動車税、自動車重量税、自賠責保険の未経過分は還付されます。ただし、これは普通自動車が対象であり、軽自動車には適用されないため注意が必要です。
事故歴・修復歴があるといっても、信号待ちで追突されたり、駐車中にぶつけられたりといった、自分には全く過失のない事故による場合もあるでしょう。
そのような時、買取価格の減額分は取り戻せないと諦める必要はありません。「事故減価額証明書」を加害者側の保険会社に提出することで、評価損分の金額を請求することが可能です。
この書類は、日本自動車査定協会で発行しています。発行してもらうためには、自動車検査証、自賠責保険証、整備手帳、取扱説明書、修理見積書のコピーが必要です。
日本自動車査定協会に問い合わせし、査定をしてもらった上で証明書が発行されることになります。
修復歴車を購入する場合のチェックポイント
これまで事故歴・修復歴のある車を買い取ってもらうケースについて考えてきました。反対に、自分がそのような車を買う場合にはどのような点に気をつければいいのでしょう?
今後、車の買い替えの際に、気に入った車が修復歴車であるという可能性もあります。気を付けるポイントを知っておけば、自分の車に修復歴があったとしても他人が買おうと思える状態なのかを判断することができるでしょう。
車は公道を走るものですので、まずは真っ直ぐ走ることができるかどうか、試乗してよく確認することが重要です。
走っている際にステアリングが右や左にとられるような車には気をつけましょう。
業者によっては、歪んでいるフロアをそのままにしておいたり、ステアリングのタイロッド調整によってごまかしていたりするケースもあります。
電動系の装備の動作に問題がないかもきちんと確認しましょう。
スライドドア、サンルーフなど、開閉時の動きがスムーズでどこにも引っ掛かりがないかをチェックしてください。
また、車内をしっかりチェックし、ハンドル、シート、ドアパネルの劣化具合も見ておくことをおすすめします。
定期点検整備記録簿を確認することも重要です。担当者に定期点検整備記録簿を確認したいと伝えてみてください。
この書類から、これまでどのような点検またメンテナンスがされてきたのかを読み取ることができます。
きちんと定期的に点検を受けていることが分かれば、一つの安心材料となるでしょう。
車を購入しようとしている業者の評判を確認しておくことも忘れてはいけません。
車について詳しくないと、どうしても業者の説明を信じるしかなく、修復歴をごまかすような悪い業者に当たってしまう可能性もあります。
口コミはすべてが信用できるとは限りませんが、購入した車に問題が発生した、などの口コミが散見される業者は避けたほうがいいでしょう。