車を買い取ってもらうからには、できる限り高い金額をつけてもらいたいものです。高く買い取ってもらうために、買取り査定の前にできることは何かあるのでしょうか?
この記事では、査定前にやっておくべきことを紹介していきます。
車の買取り査定とは?
車の買取り査定とは、今の車の状態をチェックし、価格をつけることです。一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)が設定している標準状態を基準に加点と減点をして最終的な価格が決定します。
買取り査定そのものはトータルで30分~1時間ほどかかります。
場所を指定しての出張査定、または直接お店に車を持って行って査定をしてもらうことができます。
買取り査定の準備としてどんなことに気をつければいいのでしょう?
ここからは、実際に査定を依頼するにあたっての事前準備、査定を依頼してからの準備について説明していきます。
買取り査定の依頼前にできること
車を買い取ってもらうからには、可能な限り高値をつけてもらいたいと思うものです。そのためには、買取り査定を依頼する前の段階で考えなければならないことがあります。
ポイントとしては「車の買取業者選び」「車の相場の状況」「車を売るタイミング」の3つです。
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
高額の買取り査定を狙うのであれば、なんとなく目についた買取業者にするのではなく、調べてから決めることが大切です。
買取業者によって、得意としている車種や重きを置いているポイントは異なっています。また、業者が抱えている査定士の技術や知見は様々であり、査定士によっても査定価格が変わってくることがあります。
売ろうとしている車の査定に強い、もしくは専門としている買取業者にお願いすると良いでしょう。
また、業者の口コミをネットで調べることも大切です。口コミは100%信用できるとは言えませんが、評判の悪い業者やトラブルを避けるために参考になるでしょう。
ある程度、車の買取業者を絞ったら、3~4社に査定を依頼することがおすすめです。
車の相場を事前に調べておくことも大切です。相場を知っておけば、大体の希望価格の見当をつけておけるだけでなく、査定価格が提示された時に相場より高いか低いかを判断することができます。
相場を調べる方法としては、大手の買取店サイトから、自分の車の年式や走行距離と似た車の取引実績を見ることです。
また、状態の悪い車を除き、一般的には販売されている中古車の価格から20%ほどを引いた額が買取価格であると言われています。
車の査定額は、時期によっても変動します。中古車の需要が多い時期は高めに、少ない時期は低めになります。
1年の中で高額の買取り査定が期待できると言われているのは「1月~3月上旬」または「7月~9月」です。
この時期は決算時期ということもありますが、新生活への準備のために車の需要が高まるのも理由の一つです。
また、車の走行距離10万kmや年式10年の節目を超えると、大幅に査定価格は下がってしまいます。
これらの点を踏まえて、前もっていつ買取り査定に出すのか時期を決めておくといいでしょう。
買取り査定前にできる車の準備
買取り査定を依頼したなら、万全の状態で査定をしてもらうために、査定日の前に準備しておくべきことがあります。
まずは、車そのものについて何ができるかを見ていきましょう。
車の買取り査定前に、改めて査定の基準となる自分の車の仕様を確認しておきましょう。
誰でも、商品について何も知らない人よりよく理解している人から購入するほうが安心できるものです。また、理解していることが査定する側にとって多少のプレッシャーとなり、値段交渉に有利に働く可能性もあります。
車の仕様で車検証から確認しておくべきポイントは以下になります。
- メーカー
- 車種
- 年式
- (車検時の)走行距離
車種については、グレードもチェックしておきましょう。車種やグレードが人気があるかどうかで大きく査定額が変わってきます。
グレードの調べ方は、自動車メーカーのサイトの「グレード情報検索ページ」から、車検証に記載されている「車台番号」を入力することで照会することができます。
走行距離については、現在の走行距離を車のメーターで確認可能です。なお、併せて年間の平均走行距離(総走行距離÷経過年数)も出しておくことができます。
その他にも本革のシート、サイドモニターやバックモニター、電動スライドドア、助手席のエアバッグなど、車を購入した際にオプションで取り付けたものを確認しておきましょう。
車を社外パーツにカスタマイズしている場合は、買取り査定の前に純正パーツに戻しておくことをおすすめします。
中古車市場では純正パーツのほうが好まれており、査定額のアップが期待できます。
ただし、純正パーツに戻す際に減額の元となるキズをつけたり故障させたりする懸念がある場合には、無理に取り換えを行わないようにしましょう。この場合は、純正パーツを別途提出するだけで良いでしょう。
また、あえて社外パーツのまま査定を受け、純正パーツにした場合との差額を確認する方法もあります。
買取り査定の前に車を清掃し、綺麗にしておくことは大切です。
どんな人でも、わざわざ汚い車に乗りたいとは思いません。査定士も粗雑に扱われメンテナンスが不十分な車であると判断し、査定に影響する可能性があります。
清掃時には外装、内装のほこりやごみを取り除きましょう。ガラスなどについた指紋や手あかも拭き取っておくようにしてください。
また、車内のにおいにも注意が必要です。普段車内でたばこを吸っていたり、ペットを乗せていたりするとにおいが残ります。
自分では慣れていて分からなくても、たばこを吸わない人やペットのいない人には気になるものです。消臭剤を使ったり、車を運転する際に窓を開けたりして換気をするのも効果的です。
買取りの査定日が決まったなら、車内でたばこを吸ったりペットを乗せたりすることはできる限り控えることをおすすめします。
また、車の中やトランクに置いてある荷物も査定の前に取り出しておきましょう。
買取り査定前にできる書類の準備
買取り査定の前には、あらかじめ契約時に必要な書類も揃えておきましょう。そうすれば、査定価格に合意できたらすぐに契約手続きに進むことができます。
買取り査定時に必須なものは車検証(自動車検査証)のみですが、契約時に必要なものは以下の書類となります。
- 車検証(自動車検査証)
- 自賠責保険説明書
- 自動車納税証明書
- リサイクル券
- 実印
- 印鑑登録証明書2通
- 譲渡証明書
- 委任状
- 車検証(自動車検査証)
- 自賠責保険説明書
- 自動車納税証明書
- リサイクル券
- 軽自動車納税証明書
- 認印
- メンテナンスノート
- 住民票
- 戸籍謄本
- 戸籍の附票または住民票の除票
ここからは、必要書類がどのようなものなのか、紛失していた場合の対応について見ていきましょう。
車検証(自動車車検証)は、自動車保安基準の適合を証明する書類です。運転時の携帯が義務となっているため、通常は車内に保管されているはずですが、あらかじめ確認しておきましょう。
紛失に気がついたなら、すぐに再発行手続きを行ってください。受付窓口は、普通自動車の場合は運輸支局、軽自動車の場合は軽自動車検査協会に行って手続きをします。
その時に必要な書類は以下の通りです。。
- 申請書(第3号様式)
- 手数料納付書+検査登録印紙300円
- 理由書
- 使用者の印鑑
- 身分証明書
- 申請書(軽二輪第4号様式)
- 使用者の印鑑(サインも可)
- 手数料300円
- 身分証明書
申請書は国土交通省のホームページからも入手できます。
再発行までにかかる時間は、大体30分~60分ほどです。
運輸支局や軽自動車検査協会は平日のみの営業のため、自分での手続きが難しい場合には、車の買取業者で対応してもらえないか確認してみましょう。代行してもらう場合は、代行手数料がかかるので頭に入れておきましょう。
自動車リサイクル券とは、廃車の際の費用(リサイクル料)を車の持ち主が支払ったことを証明する書類です。
使用済自動車の再資源化等に関する法律(通称:自動車リサイクル法)で義務付けられています。
2005年以降に購入した車であれば、新車か中古車かを問わず、車の購入時に必ず支払っています。
自動車検査証と一緒に車内で保管されていることが多いので確認しておきましょう。
リサイクル券にはA~D券がありますが、車の所有者が保管しているのはA券とB券のみです。
A券:預託証明書
B券:使用済自動車引取証明書
C券:資金管理料金受領証
D券:料金通知書兼発行者控
リサイクル券を紛失してしまった場合の対応方法は、以下の3つがあります。
- 自動車リサイクルシステムのウェブサイトに車の情報を入力することで表示される、「自動車リサイクル料金の預託状況」を印刷する
- 中古車買取業者に車台番号、登録番号を伝えて支払状況を確認してもらう
- 運輸支局に行き、専用端末で再発行する
リサイクル料金は車を売却する際に返還されます。そのためにも、リサイクル券を準備しておきましょう。
納税証明書は、自動車税を納めたことを証明する用紙になります。
普通自動車の場合は「自動車税納税証明書」、軽自動車の場合は「軽自動車納税証明書」となります。
自動車税は、毎年4月1日時点の車の所有者に課税され、5月頃に届く「自動車税納税通知書」を使って支払うことができます。納税証明書は通知書の右端にあり、税金を納め領収日印が押されたものが証明書となります。
支払いが済んだからといって捨ててしまうことのないよう、普段から気をつけておきましょう。
もし紛失していた場合、普通自動車は「各都道府県の自動車税管理事務所または各都道府県の税事務所」、軽自動車は「住んでいる地域の各市区町村役場」で再発行できます。
再発行の際には以下の持ち物が必要です。
- 車検証
- 身分証明書
- 印鑑
- 納税を行った領収書
窓口で支払い事実が確認できる場合、領収書の提出は不要となります。
地域により手数料がかかったり郵送でも手続きできたりしますので、該当地域のWebサイトを確認しましょう。
車の所有者に加入が義務付けられている自賠責保険に加入していることを証明する書類が、自賠責保険証です。(正式名称:自動車損害賠償責任保険証明書)
自賠責保険証は、リサイクル券と同様、車検証とともに車内で保管されているケースがほとんどです。
もし紛失していた場合には、加入している保険会社に再発行を依頼しましょう。その際に必要となる書類は、以下の通りです。
- 再発行の申請書
- 印鑑
- 身分証明書
- 車検証(必要な場合あり)
軽自動車を売却する場合は認印で手続きが可能ですが、普通自動車の場合には実印と印鑑証明書が必要です。
実印は市区町村の役所に届け出をした印鑑になります。実印のサイズは、印影が8mm~25mmの正方形枠に収まるものでなければなりません。
印鑑登録証明書は実印を証明するための書類です。車の買取時の契約では名義変更の際と自動車税の権利譲渡のために使用するため、2通用意しておく必要があります。
なお、印鑑登録証明書は市区町村の役所で発行できますが、有効期限が発行日から3ヶ月以内となっているため注意してください。
委任状は、普通自動車を売却する際に必要となります。自分の代わりに、中古車買取業者が代理人として名義変更などの手続きを行うために必要となる書類です。
書式は業者が用意しています。本人が記入し、押印の際には実印を使用します。
メンテナンスノートは必須書類ではありませんが、査定時から準備しておいたほうが良い書類です。メーカーの保証書と点検整備記録簿をセットにして、メンテナンスノートと呼ばれています。
点検整備記録簿に記載されているのは法廷点検整備の記録、消耗部品またオイル交換などの記録です。きちんと整備されており大事に乗ってきたことが分かれば査定時に多少プラスに、もしメンテナンスノートを紛失していれば多少のマイナスになる可能性があります。
紛失している場合、必ず再発行ができるとは限りませんが、メーカーかディーラーに確認してみましょう。
住民票が必要になるのは、車検証の住所と印鑑証明書に記載されている現在の住所が異なる場合です。
印鑑証明書は、実印の証明以外にも氏名と住所を確認できるという役割もあります。
住民票には移転前の住所も記載されているため、車検証の住所との繋がりが確認できます。
2回以上引っ越しをしており、住民票に記載されている過去の住所が車検証の住所と紐づかない場合、住民票の除票もしくは戸籍の附票が必要となります。
住民票の除票は、転居や死亡により削除された住民票です。異動年月日、転出先の住所が記載されています。前の住所の役所から発行してもらいますが、保存期間を過ぎ消除されてしまっている場合には発行できません。多くの自治体では平成26年6月19日以前だと交付不可になっていますが、自治体によって多少差があるでしょう。現在は保存期間が5年間から150年間に変更されています。
戸籍の附票は、戸籍に入ってから現在までの住所を一気に確認できる書類です。本籍地の役所で発行してもらえますが、本籍地が遠い場合には郵送で対応してもらうこともできます。3回以上転居を繰り返しているような場合には、戸籍の附票を発行してもらうことがおすすめです。
戸籍謄本は、車検証に記載されている姓が印鑑証明書に記載されている現在の姓と異なる場合に必要です。
戸籍謄本には、戸籍に関わる情報(氏名・生年月日・婚姻歴など)が記載されており、車検証の氏名が本人であることを証明します。
現住所の市区町村役場もしくはサービスセンターにて取得できます。また、発行するのに1通450円ほどかかります。
マイナンバーカードがあれば、コンビニで取得できる地域もあるので確認しておくといいでしょう。
買取り査定前にあえてしなくてもいいこと
買取り査定前は、キズやへこみの修理をあえてする必要はありません。修理しても、査定でのプラス評価より修理代のほうが高くつく恐れがあります。そうなっては損するだけなので、そのままにしておきましょう。
また、溝が1.6mmを下回っているタイヤも交換しなくて良いと言えます。交換しても、査定のプラス評価では元が取れないからです。
その他にも、車検の時期が近い車であっても車検を受ける費用のほうが高くつくため、査定前にあえて車検を通す必要はありません。
買取り査定時に気をつけること
買取り査定前の準備をしたら、次は実際に査定の際に気をつけておくべきことがあります。ここからは、その注意点を紹介します。
修復歴がある場合、買取り査定時に正直に申告しましょう。
修復歴とは、車のフレーム部分を交換または修復したことです。フレーム以外の交換や修理は修理歴となり、修復歴とは異なります。
修復歴は大幅なマイナス査定になりますが、隠していて査定士が見抜いた場合、印象が悪くなることは否めません。
また、車の引き渡し後に発覚すると売却金額の減額や契約のキャンセルにも繋がりますので、隠さずに伝えることが重要です。
買取り査定の価格交渉の際、先にこちらから希望額を言わないことをおすすめします。
初めに望んでいる価格を明らかにすると、それ以上の価格がつく場合であっても提示してもらえなくなる可能性があります。
まずは、車の買取業者の査定価格を聞き、低いと感じた場合には相場や他社の査定価格なども出して交渉してみましょう。