中古車を購入する時は、車両本体の価格を中心に検討する方が多いでしょう。なるべく車のコンディションが良好で価格を抑えたいのが理想です。しかし、中古車の維持費について考える方は少ないかもしれません。
この記事では、中古車を購入した後、維持する費用がどのくらいかかるのか、項目と年間の概算も踏まえて解説していきます。
中古車を購入した後は維持費がかかる
中古車を購入して、乗り続けるためには維持費がかかります。
車を公道で走行するには、所有者を明確にしなければなりません。そのため、ナンバープレートを装着することが求められます。それらを登録する際、税金を納めることや自賠責保険の加入などをすることが必要です。中古車に限らず、新車でも行わなければなりません。
また、維持をしていくにはガソリン代やメンテナンス料もかかります。購入した後も維持費がかかってきますので、車を購入する際は、そのことも考えながら検討するのが大切です。
車の維持費について
それでは、具体的に車の維持費にはどのようなものがあるのでしょう?
これから詳しく解説してきます。
車に関わる税金は、自動車税(軽自動車税)と自動車重量税があります。
普通自動車の場合は自動車税を都道府県に納めて、軽自動車の場合は軽自動車税を市区町村に納めます。どちらも毎年1回、5月に支払います。
金額は自動車の大きさや排気量、環境に優しいかどうか、登録年数によって変動します。
登録年数が13年や18年を経過している場合は増税されます。その理由は、環境問題が深く関わっています。
近年、車の技術は向上しており、一昔前ならガソリン1リットルあたり10km程度の燃費が主流だったのが現在は1リットルで20km以上走行できる車も多数ある状態です。そのため、環境面を考えると年式の新しい車に乗り換えることを促進していると言えます。
また、自動車重量税は車検の継続の際に2年分を一括で支払います。これを納付しなければ車検が通らず、公道を走行することができません。
これらの税金に関しては、維持費として考えておくことが大切です。
車に関する保険は「自賠責保険」と「任意保険」の2種類があります。
自賠責保険は公道を走行する全ての車に加入が義務付けされている保険です。別名、強制保険とも言われます。
自賠責保険に加入しないで公道を走行した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられ、無保険運転として違反点数6点がつきます。
自賠責保険に加入することで対人補償はされることになりますが、補償額は最低限です。そのため、自賠責保険で補えない補償を任意保険でまかなう必要があります。そのため、任意保険に加入するかどうかは自由に決められますが、殆どのドライバーが契約しています。
任意保険の特徴は補償の範囲が広くなる点です。自賠責保険は相手側の補償が対象になりますが、任意保険は相手側だけではなく、自分や搭乗者、自分の車にも補償されることが一般的です。
しかし、補償内容が良くなれば保険料も高くなる傾向があります。そして、同じ補償内容でも等級や車種、年齢条件によって保険料が変わります。
車の品質を維持するためにはメンテナンスは欠かせません。消耗品の交換や整備、修理費なども維持費としてかかります。
例えば、エンジン性能に直結するオイル交換はエレメント(フィルター)も含めて定期的に交換が必要です。また、走行距離が多くなってくるとタイヤが削れたり、劣化したりするので交換をすることになります。
車の部品は約3万点あると言われています。年数経過によって劣化していくので交換する部品も増えていくでしょう。その点を考慮に入れておくことは大切です。
車検には自動車重量税や自賠責保険の他にも、自動車検査料や印紙代、車検を通すために必要な整備費用がかかります。この費用は、どこの業者で車検を通すかによって差が出ます。
一般的にメーカー系のディーラーに出すと金額は高くなる傾向があります。それは部品を交換する際に純正品を使用するからです。純正品は品質が優れていますが、代用品に比べて価格が高い点が難点と言えます。
そのため、車検専門店やガソリンスタンドで車検を実施すると、安く車検を通すことができるでしょう。
遠距離移動が多い場合には、高速道路の料金もかかります。
国土交通省が発表しているETC利用率は、平成29年で9割を超えています。一般的にETCの利用で高速道路の料金は通常より安く設定されています。そのため、利用頻度が高い場合はETCを使ったほうがお得です。
それ以外にも休日割引や深夜割引があるので、利用価値が高いと言えるでしょう。
駐車場代は車を所有する際に必要な費用ですが、持ち家や自己所有の駐車場を持っている場合は費用がかかりません。
駐車場代の全国平均は1ヶ月8,288円と言われていますが、地域によって大きく異なります。特に都心部は月額20,000円~30,000円近くかかることもあります。
また、車の大きさによっては駐車場の広さに収まらず、2台分の駐車料金が必要になるケースもあるでしょう。車を購入する際には、駐車場の大きさも視野に入れながら検討することをおすすめします。
車の燃料費も使用頻度によって金額がかかります。毎月の走行距離が多い場合には金額も大きくなるでしょう。
燃料費は車の燃費によって大きく変動する維持費と言えます。燃料はハイオク・レギュラー・軽油の3種類があり、価格設定が異なります。
以前と比べて新しい車は燃費性能に優れていますので、価格を抑えることが可能です。それ以外にも、ガソリン等を使用しない電気自動車も販売されています。
昨今の燃料費高騰により、電気自動車の需要も高まっています。燃料費を抑えて使用できますが、車両価格は一般的なガソリン車よりも高額になる点はネックです。
中古車購入後の維持費を抑える方法
車は必要最低限の維持費がかかるため、中古車を購入した後は少しでもその費用を抑えたいと思うでしょう。
ここからは、極力維持費をかけない方法について詳しく解説していきます。
維持費を節約する方法の1つ目は、車検を通す際の業者を慎重に選ぶことです。
中古車を購入すると、2年ごとに車検を受ける必要があります。車検でかかる費用は「法定費用」と「整備費用」に分かれます。
法定費用は自動車重量税や自賠責保険、印紙代などで、どこの業者であっても一律ですが、整備費用の車検基本料金とその他の諸費用は業者によって異なるので、コストを抑えることが可能です。
一般的にガソリンスタンドや車検専門店は価格を抑えて車検を通すことができます。費用面だけで考えると、それほど頻繁に車を使用することがなければおすすめです。
しかし、「しっかり整備して欲しい」「安心して車に乗りたい」と考えているのであれば費用はかかりますが、ディーラー車検にするのが良いでしょう。
自分の車の状況に応じて業者選びをしてください。
2つ目の方法は、燃料費を抑えられる中古車を選択することです。
先ほどお伝えした通り、燃料費は走行する時に必要です。そのため、コストダウンする方法としては燃費の良い中古車を選ぶことが大事です。
年間の走行距離が一緒で1リットルあたりの燃費が10kmと20kmの車であれば、1リットルあたり20kmの車は燃料費が半分で済むことになります。
例えば、年間1万km走行でガソリン代が1リットルあたり150円だった場合の年間と月額は以下の通りです。
10,000km÷10×150円=150,000円(月額12,500円)
10,000km÷15×150円=99,999円(月額8,333円)
10,000km÷20×150円=75,000円(月額6,250円)
10,000km÷25×150円=60,000円(月額5,000円)
計算式でみると、大きな差があることが確認できるでしょう。中古車でも年式が新しい車であれば、この恩恵を受けることもできます。
中古車購入の際、燃費面を検討材料に加えることは大切です。
3つ目の方法は、任意保険の見直しです。
これは中古車のみならず、維持費を抑えるために必要な項目になります。保険料は抑えた上で、補償を充実させられればベストです。
任意保険に加入する際にコストを抑える方法としては、ダイレクト型(通販型)の保険を利用することです。
任意保険は「ダイレクト型」と「代理店型」がありますが、最近の主流はダイレクト型になっています。その理由は、店舗を構える代理店型よりも、電話やインターネットを通して中間コストを削減したダイレクト型のほうが保険料が割安になる傾向があるからです。
同じ保険内容であれば、ダイレクト型は維持費を抑える際に有効な手段になります。
また、補償内容についても検討する余地があります。例えば、車の使用目的、年齢制限、住んでいる地域、免許証の色、車両保険の有無、免責金額などによっても保険料は変動します。
中古車であれば、仮に事故を起こして廃車になった場合、車両保険をつけずに再購入するほうが安上がりな場合もあるでしょう。車の状況を加味して、ご自身の補償内容を見直すことで、適正な任意保険にしておくことが大切です。
4つ目の方法は、中古車を購入する際に税金面で優遇される中古車を選択することです。これは「エコカー減税」や「グリーン化特例」があります。
環境に優しい車は税金が減税されるため、維持費を安くすることが可能です。実際、エコカー減税は自動車重量税が車種によって25%~100%軽減されます。そして、グリーン化特例を利用すれば自動車税が25%~75%軽減されます。
また、登録年数が13年を過ぎると、普通乗用車や軽自動車は自動車税も含め増税されます。そのため、特に年式が古い車になると一部の人気車を除き購入価格が安くなる分税金面で優遇を受けることができないので、注意が必要です。
5つ目の方法は、ローンを組む際に金利が低いところを選ぶことです。
自動車ローンの種類は多数存在し、銀行系・信販系・ネットバンク系などに分かれます。そして、金利の年率も各金融機関によって大きく異なります。
一般的に銀行系ローンは金利が低いです。ただし、金利が低いところは信用度が高いことが求められます。勤続年数や年収、勤務している会社、他の借入額なども関わってきます。そのため、色々なローン会社に審査してもらい、最も金利の年率が低い金融機関でローンを組むと良いでしょう。
年間でかかる車の維持費の目安について
車の維持費について説明してきましたが、その費用は年間でどのくらいかかるのでしょう?
ここからは、普通自動車と軽自動車それぞれの年間でかかる維持費の目安について説明していきます。
普通自動車の年間維持費について算出していきます。
算出条件は以下の通りです。
・普通自動車(重量1,100kg、総排気量1,496cc)を想定
・登録経過年数3年の中古車を購入
・燃費は1リットルあたり20km、年間走行距離10,000km、ガソリン代は1リットル150円を想定
・駐車場代は月12,000円で算出
・保険料は、契約条件により細かく変化するため、一例として計上
項目 | 金額 |
---|---|
自動車税 | 30,500円/年 |
自動車重量税 | 2年で24,600円なので 年間12,300円 |
自賠責保険 | 2年で20,010円なので 年間10,005円 |
車検費用 | 2年で100,000円なので 年間50,000円 |
駐車場代 | 144,000円/年 |
ガソリン代 | 75,000円/年 |
任意保険料 | 75,000円/年 |
その他消耗品 | 50,000円 |
普通自動車の年間でかかる維持費の概算合計額は「446,805円」です。
上記の維持費で変動するのは、駐車場代や任意保険料、車検代になります。その点に気を付けておくと、維持費を抑えることが可能です。
軽自動車の年間維持費について算出していきます。
算出条件は以下の通りです。
・軽自動車(重量880kg、総排気量660cc)を想定
・登録経過年数3年の中古車を購入
・燃費は1リットルあたり25km、年間走行距離10,000km、ガソリン代は1リットル150円を想定
・駐車場代は月12,000円で算出
・保険料は、契約条件により細かく変化するため、一例として計上
項目 | 金額 |
---|---|
軽自動車税 | 7,200円/年 |
自動車重量税 | 2年で6,600円なので 年間3,300円 |
自賠責保険 | 2年で19,730円なので 年間9,865円 |
車検費用 | 2年で70,000円なので 年間35,000円 |
駐車場代 | 144,000円/年 |
ガソリン代 | 60,000円/年 |
任意保険料 | 60,000円/年 |
その他消耗品 | 50,000円 |
軽自動車の年間でかかる維持費の概算合計額は「369,365円」です。
普通自動車と軽自動車の違いは、税金面で費用が大きく異なる点です。それが年間維持費を抑えることにつながっています。そのため、少しでも費用をかけずに車を所有するのであれば、軽自動車はお得であると言えます。
中古車を購入する時の選び方とは?
中古車を購入する際、購入価格ばかり考えてしまいますが、購入後の維持費がかかることを想定しておくことが大切です。しかし、使用目的と異なる車を選んでも、利便性を図ることができないでしょう。そのため、日常生活に適した車選びを行うことが必要です。
また、中古車は新車に比べて数年使用していた分、故障する可能性も高くなります。車の状況についてはメンテナンスノートなどを参照して、点検整備状況や事故の有無などを購入前にチェックしておくのがおすすめです。
車は短期間で頻繁に購入するケースは少ないので、数年おきの買い替えになります。ライフスタイルに合わせた車を購入して、日常生活に活用できるようにしましょう。