目次
車を買取業者などに売却した場合、売却後にクレームなどのトラブルが発生することがあります。
車売却に関するクレームを未然に防ぐためには、クレームガード保証を活用するなどの対応が必要です。
今回は、車の売却で発生するクレームの対処法やクレームガード保証など困ったときの相談先について紹介します。
車の売却後にクレームが発生することがある
車を買取業者などに売却する場合、気になるのは売却後に発生するクレームではないでしょうか。
一口にクレームといっても、買取業者が受ける場合や売主が受ける場合など、さまざまなケースが考えられます。
例えば、車を売却して引き渡したあとに故障箇所や傷などが見つかった場合の減額請求や、買取業者から新たなユーザーに渡った場合のグレード違いなどによる返金請求です。
この返金請求は、買い取ったあとにその車を販売した販売店が公表していたグレードと現物車両のグレードが異なっていたケースなどで稀に発生します。
買取業者がクレームを受けるケース
買取業者が受けるクレームとして代表的なものが、「見積もり」「契約金」「キャンセル料」などに関するクレームです。これらは、一体どのような状況でクレームにまで発展するのでしょうか?
続いては、上記それぞれのクレームを具体的に確認していきましょう。
買取業者が受けるクレームとして多いのが、見積もり費用や契約金などに関するクレームです。
買取業者の多くが「見積もり費用無料」と謳っている通り、実際に査定を依頼した場合に見積もり費用を取られることはほとんどありません。
しかし、なかには実際に査定を依頼すると、そのあと何かと理由をつけて見積もり費用を請求してくる買取業者が存在します。
また、出張費用に関するトラブルが発生するケースも同じような理由です。例えば、「出張査定もやっています」という文言がホームページに書かれていたとしましょう。
その後、実際に出張査定を依頼したら、出張費用を請求されたというケースがあります。そして実はホームページの下のほうに、小さく出張費用を請求する旨が記載されていた…なんてことはよくあることです。
わかりやすく表示していなかった買取業者にも問題がありますが、きちんと確認しなかった依頼者にも問題があったといえるでしょう。
この他にも、売主と買主の双方が契約締結を急いでしまったために、あとから「言った」「言わない」で揉めて、トラブルに発展するケースなどもあるようです。
キャンセル料に関するトラブルも、よくあるクレームのひとつでしょう。
中古車の売買に関するキャンセル料というのは売買契約を締結したあと、売主の気が変わって「売買契約を取り消したい」というときに売主が買主に対して支払うものです。
一般的に中古車の買取にはクーリングオフ制度が適用されないため、解約はできません。キャンセル料が発生するのは、ある意味当然のことといえます。
しかし、そのキャンセル料の金額が一律に決められていたり、納得できないほど高額であったりする場合はクレームとなり、トラブルへと発展するのです。
例えば、キャンセル料が一律10万円と決められている場合で、売却代金が10万円以下だとキャンセル料のほうが高くなってしまうケース。
または、10万円のキャンセル料は仕方ないと覚悟して解約したにも関わらず、すでにオークションで落札されたので、迷惑料と称して追加のキャンセル料を請求されたケースなどがあります。
売主がクレームを受けるケース
売主がクレームを受けるケースとして代表的なものが、車の引き渡し後に見つかった故障箇所や傷などによる「減額請求」です。
他にも売主が事前に買取業者へ伝えていた内容に重大な不備があった場合などの買取業者から「返金請求」されるケースです。
続いては、それぞれのケースを具体的に確認していきましょう。
減額請求というのは、車を売却する際の査定時には見つからなかった故障箇所や傷、へこみなどが後々見つかった場合、買取業者が売主に対して行うものです。
最初の査定で不備が見つからなかった場合でも、あとになって不備が見つかると買取業者から再査定の連絡が入ることがあります。
基本的に再査定は故障箇所があるものとして査定されるため、最初の査定額よりも大幅に減額される可能性もあるのです。
ただし、あとになって見つかった不備が必ずしも売主によるものとは限らないため、自分に非がない場合はしっかりと主張するようにしましょう。
返金請求というのは、車を売却する際に売主が買取業者に伝えた情報に重大な不備があった場合に、買取業者が売主に対して支払った売却代金の返還を求めるものです。
この返金請求は、さきほど紹介した減額請求よりも深刻なクレームで、車の売買契約を解除されてしまうこともあります。
そもそも車を売却する際、売主はすべての情報を買取業者に開示しなければなりません。すべての情報の中には、売主にとって有利となるものだけでなく、査定で不利になってしまう情報も含まれています。
査定で不利になってしまうからといって、事故にあったことや修理履歴を隠すことはトラブルのもとです。売却する際は、どんなに細かい情報でも買取業者にすべて開示しましょう。
車売却に関するクレームを未然に防ぐ方法
車売却に関するクレームを未然に防ぐには、買取業者の評判を確認したり、複数の業者に一括査定を依頼したりなど、いくつか方法があります。
続いては、クレームを未然に防ぐ方法について確認していきましょう。
車の売却後にクレームが発生するかどうかは、選んだ買取業者によって変わってきます。
評判のよい買取業者を選んで自分が注意を怠らなければ、そうそうクレームが発生するものではありません。
しかし、どんなに細心の注意を払っていても、業者選びで失敗する場合もあるでしょう。もちろん、その場合はクレームなどのトラブルが発生する可能性が高まります。
トラブルを未然に防ぐためにも、事前に口コミなどで買取業者の評判を確認しておくことが重要です。
車売却に関するクレームを未然に防ぐ方法として、複数の買取業者に査定を依頼することも有効な手段のひとつです。
買取の査定を1社だけに依頼した場合、査定金額の比較対象がないために買取業者との価格交渉も難しくなります。万が一担当者の応対が悪かった場合でも、他に選択の余地がありません。
最初から複数の買取業者に査定を依頼しておけば、査定金額を比較することもできますし、契約交渉の途中で別の買取業者に変更するといったことも可能です。
また、複数の選択肢を持っていると精神的な余裕が生まれるため、急いだために招く判断ミスも減らせる可能性があります。
複数の買取業者に査定を依頼することは、のちのクレーム回避につながりますので、候補のひとつとして覚えておくといいでしょう。
契約内容をしっかり確認するということも、車売却に関するクレームを未然に防ぐ方法のひとつです。
契約内容を確認する際は、チェックしておきたいポイントがいくつかあります。
まずは、買取金額の支払期間と支払方法についてです。車の売買契約が成立したあと、いつお金を受け取れるのか、そしてその支払方法は振込みなのか現金払いなのか、車の引渡しと入金の順序なども確認しておきましょう。
また、瑕疵担保責任についても確認しておきましょう。瑕疵担保責任の期間はいつまでなのか、そして万が一責任を負うことになった場合の賠償金額などについてもきちんと知っておくことが大切です。
あとは、契約後のキャンセルについても確認しておきましょう。もしも売買契約後にキャンセルした場合、キャンセル料をいくら支払うことになるのかは非常に重要です。必ずチェックしておきましょう。
売買契約の際に発生する瑕疵担保責任とは、買主に目的物を引き渡した際、その目的物に引き渡した当初は見つからなかった瑕疵(傷や欠陥)などが、あとから見つかった場合に売主が負う責任のことです。
具体的にいうと車の売買契約が成立して買取業者へ車を引き渡したあとに、査定のときには見つからなかった傷や欠陥などが見つかった場合、売主が損害賠償の責任を負うことになります。
責任の賠償方法としては、上記でも紹介した通り、再査定による減額請求や返金請求などがあり、場合によっては契約が解除されることもあるでしょう。
瑕疵担保責任を負う期間は、一般的に売買契約後1年以内とされており、その期間内であれば買主は目的を達することができない場合、損害賠償の請求や契約の解除をすることができます。
車の状態や修理履歴などについて、噓偽りなく正確な情報を買主に伝えることも、車売却に関するクレームを未然に防ぐ方法のひとつです。
車を少しでも高く買い取ってもらおうとして修理履歴を隠したり、走行距離をごまかしたりする方もいるかもしれませんが、そういった嘘は詳細に調べればわかります。
また、その嘘がばれたときには損害賠償を請求されることもありますし、場合によっては契約を解除されることもあるため、結果的に損をすることになるのです。
車の状態や修理履歴について正確な情報を伝えておかないと、大きなトラブルに発展しかねません。
特にフレームの交換や修正が必要な事故にあった場合は正直に話しておかないと、のちのち大きなトラブルになる可能性があるため、必ず伝えるようにしましょう。
クレームガード保証に加入することも、車売却に関するクレームを未然に防ぐための有効な手段です。
大手買取業者の中には、売却手続きの際にクレームガード保証をつけられる場合があります。これを活用すれば、瑕疵担保責任を問われることはありません。
ただし、クレームガード保証には金額の限度がある他、すべてのクレームを保証してくれるわけではないので注意が必要です。
クレームガード保証については、下記で詳しく紹介します。
クレームガード保証とは?
クレームガード保証とは、売買契約が成立して車を引き渡したあとに査定では見つからなかった傷や欠陥などが見つかっても、買取代金を引き下げられる心配のない保険の一種です。
大手買取業者の中には、このクレームガード保証を採用しているところがあります。
先ほどもご説明したとおり、売主はどんなに細心の注意を払っていても、契約成立後に瑕疵が見つかればその責任を負わなければなりません。
クレームガード保証は保険の一種なので、万が一契約成立後に瑕疵が見つかった場合は、その保証の範囲内で対応してもらえます。つまり、買取代金を引き下げられる心配がなくなるのです。
ただし、クレームガード保証の保証限度額は100万円と決まっています。賠償金のすべてを保証してもらえるわけではないので注意しましょう。
クレームガード保証を導入している中古買取業者
クレームガード保証は、すべての中古車買取業者で導入されているわけではありません。
クレームガード保証を導入している中古車買取業者は、有名なところでは「ガリバー」と「ビッグモーター」です。
ただし、ガリバーとビッグモーターではその内容に違いがあります。
ガリバーが提供するクレームガード保証の保証期間は7か月で、ビッグモーターの場合は保証期間を特に定めていません。
加入料金については、ガリバーの場合は車の状態や査定額を参考にして決められ、国産車と輸入車で金額が異なります。
ビッグモーターの場合は車種ごとに加入料金が設定されており、軽トラックと軽自動車は一律1万円、査定額が100万円未満の普通自動車の場合は1万円で、100万円以上の場合は2万円となっています。
クレームガード保証の注意点
クレームガード保証もすべての責任や賠償に対応しているわけではなく、車の不備や欠陥を売主が隠していた場合には保証が適用されません。
売却する車の情報は、自分に不利なものであっても、すべて開示してクレームガード保証のみに頼らないようにしましょう。
新車で購入した車を売却する場合には、クレームガード保証に加入する必要性は極めて低いといえます。
新車で購入した車の所有者はあなた一人だけなので、車の事故歴や修理履歴などの重要な情報はすべて把握しているはずです。
自分に不利な情報もすべて買取業者に開示していれば、瑕疵担保責任を問われる可能性も極めて低くなるので、わざわざクレームガード保証に加入する必要はありません。
自分でしっかり瑕疵担保責任を問われないよう対応して、クレームガード保証の加入金を浮かせましょう。
クレームガード保証の保証限度額の上限は、100万円と決まっています。これはガリバーでもビッグモーターでも同様です。
万が一賠償金額が100万円を超えた場合、100万円を超える部分の金額は保証されませんので注意しましょう。
いくらクレームガード保証といえども、売主が車の走行距離や修理履歴などについて虚偽の申告をしていた場合は保証の対象外となります。つまりこの場合、売主が瑕疵担保責任を問われることになるのです。
クレームガード保証に加入する場合でも、必ず全ての情報を買取業者に開示するようにしましょう。
クレームガード保証に加入していた場合でも、車の売買契約がキャンセルになってしまったときは保証の対象外となります。つまり、クレームガード保証は売買契約が成立しているときのみ有効となりますので注意しましょう。
その他のクレームを受けた際の対処法
クレームガード保証だけで対処できない場合は、どうしたらよいのでしょうか?
対処方法としては「買取業者としっかり話し合う」「消費者センターや弁護士などの専門家に相談する」などがあります。
これらの対処方法ついて詳しく説明していきます。
車を買取業者に売却して、万が一クレームなどのトラブルが発生した場合は、まず買取業者としっかり話し合うことが必要です。
買取業者と話し合うことで、トラブルを解決できる可能性があります。それでも解決することができず、買取代金を減額されたり、代金の返金請求をされたりする場合には、買取業者に具体的な根拠を示してもらいましょう。
例えば、最初の査定では見つからなかった傷や欠陥などを発見したため、買取代金を減額するという請求をされた場合は、車のどの部分にあった傷なのか写真などを撮影してもらい、自分の目で確認することが大切です。
本当にその傷がもともとあった傷なのか、具体的な根拠を示してもらい、納得がいくまで話し合いましょう。
その傷や欠陥に関して自分に非がない場合や虚偽の申告をした事実がない場合は、はっきりと主張することが大切です。
トラブルが発生して買取業者と話し合っても交渉が決裂した場合は、消費者センターや弁護士といった専門家などの力を借りることも必要です。
主な相談先としては、「JPUC車売却消費者相談室」「弁護士」「消費者センター」などがあります。
JPUC車売却消費者相談室とは、JPUC(一般社団法人日本自動車購入協会)が行っている安心して車の売買契約を行うための取り組みです。車の買取や売却に特化しています。
車に関する知識が豊富で中古車の買取に詳しい相談員が配置されているため、買取業者とのやり取りで発生したトラブルなどの悩みに対して的確なアドバイスをもらえるでしょう。
最終的な手段として、弁護士に相談するのもひとつの方法です。
瑕疵担保責任による損害賠償で高額な賠償金を請求された場合などは、法的に解決する必要性を求められることがあります。そういった場合は、法律を根拠にトラブルを解決できる弁護士の助けが必要です。
ただし、弁護士にも得意、不得意があるため、車の売却に関するトラブルを解決した実績を持っている弁護士に相談しましょう。
消費者センターは、車に限らず売買した商品やサービスなど、消費生活においてのクレームや問い合わせを扱っている行政機関です。さまざまな商品やサービスの売買に関するトラブルの相談を受けており、もちろん車の売買に関するトラブルもその中に含まれています。
車の売買に関するトラブルの対処法についても的確なアドバイスを受けられるでしょう。
まとめ
車の売却後に発生するクレームには、買取業者が受けるものと売主が受けるものがあります。
買取業者が受けるものは契約やキャンセル料などに関するもので、売主が受けるものは減額請求や返金請求などです。
買取業者が受けるものは、契約の際にキャンセル料などのことをきちんと確認しておくことが大切です。一方で、売主が受けるものでは、クレームガード保証などを活用するとよいでしょう。
基本的には、クレームを受けないように車の情報は自分に不利なものであっても、すべて買取業者に開示することが最も有効な対策です。
それでも万が一クレームを受けた際には、消費者センターや弁護士などの専門家に相談して素早く解決しましょう。