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車の売却をすると利益を得ることになるので所得税がかかる場合があります。ただし、全てのケースで課税されるというわけではりありません。
この記事では、所得税の課税対象となる条件について詳しく説明します。また、課税対象となった場合の対処法についても説明します。
車の売却時や廃車時には、還付される税金などもあるので併せて紹介します。
車の売却で課税される可能性もある
車を売却すると、売却代金を収入として得ることになります。会社員の場合は給与とは別に所得を得ることになるので、所得税がかかる可能性も考えられます。
ただし、全ての車の売却に関して所得税が課税されるというわけではないので注意が必要です。どういった場合に所得税が課税されるのかを把握しておいたほうが良いでしょう。
ちなみに通常は給与に課税される所得税は、会社があらかじめ給与から差し引いて納めるなどの手続きをしてくれています。
車の売却による所得で、もし所得税が課税されるということになると自分で手続きをしないといけません。
車を売却しても所得税は課税されない場合が多い
車を売却しても、ほとんどの場合は所得税の課税対象にはならないとされています。それは、課税対象が決められているからです。
毎日の通勤や通学、日常の買い物や通院など日常生活を送るために必要な移動手段として車を所有、使用していた場合は所得税が課税されることはありません。
通常、売却代金は購入代金よりも高くはならないので、売却により利益を得ることはまずないしょう。
車を所有している方のほとんどはこの2つの条件に当てはまるため、課税対象となることはほぼないと考えられています。
車の売却で所得税が課税される場合
車を売却する際に課税対象となるのは、売却代金が購入代金を上回ったときです。ただし、それが500,000円を超えなければ課税対象とはなりません。
また、車の用途も関係しています。レジャー目的や業務目的で車を所有している場合は、課税対象となります。
この2つの条件を満たすと所得税の課税対象となるので、覚えておきましょう。
車を売却して所得税が課税されるのは、利益が出た場合のみです。それは、購入金額よりも売却金額が高かった時ということです。
通常、車は年数が経過するにつれ、価値が下がっていくものです。新車から3年で購入額の40~60%、5年で購入額の30~45%まで価格が下落するとされています。
そのため、一般的な車であれば、購入から数年後に車を売却しても所得税が課税されるということはないでしょう。
しかし、もし売却金額のほうが購入金額を上回った場合であっても、それですぐに課税されるというわけではありません。
車を売却して得た収益は「譲渡所得」と呼ばれています。この譲渡所得には500,000円の特別控除があります。
特別控除とは、ある金額から特別に一定の金額を差し引くという意味です。つまり、この場合は譲渡所得から500,000円を引くということになります。
そのため、譲渡所得が500,000円を超えない場合は所得税が課税されません。
所得税の課税条件は、車の用途にも関係しています。
車の用途が通勤目的ではなく、レジャーや業務用の車の場合にのみ売却で得た譲渡所得に所得税が課税されます。
つまり、通勤目的で使用している車なら譲渡所得が500,000円以上になったとしても課税対象とはなりません。また、レジャー目的や業務用の車であっても、譲渡所得が500,000円以上にならなければ同じように課税対象にはならないので、間違いないようにしましょう。
明らかにレジャーや趣味仕様の車を所有し通勤に使っていたと主張しても、非課税とは認められない場合もあります。
例えば、スポーツカーなどの主に趣味に使うような車や高級車などです。
税制上、生計を立てるために仕事に就き、職場までの通勤で使用する車は日常生活になくてはならないものだと考えられています。レジャーや趣味仕様の車は生活を豊かにするための車であり、なくても日常生活が送れないわけではないからです。
譲渡所得だと認められるような車は、課税対象となってしまうので注意が必要になります。
課税対象となった場合の対処法
もし課税対象となったら、まず譲渡所得がどのぐらいになるかを計算しましょう。そして、譲渡所得に所得税率をかけて所得税がいくらぐらいかかるのかも計算しておきましょう。
税金を納める確定申告をしなければならないので、手続きの仕方などを調べておくことをおすすめします。
もし所得税が課税される可能性があるなら、税額を計算しておきましょう。
まず譲渡所得を計算します。
例えば、200万円の車を20,000円の費用を使って300万円で売却したとしましょう。すると300万円から202万円を差し引き、特別控除額の500,000円も引くと480,000円が譲渡所得です。
譲渡所得が算出できたら、後は所得税を計算します。
所得税率は年収に応じて決められており、所得が多いと税率も高くなります。
譲渡所得の計算方法や年収に応じた所得税率は国税庁のホームページでも紹介されているので確認しておきましょう。
ちなみに、所得税率が5%の場合、先程算出した480,000円の譲渡所得における所得税は24,000円と計算できます。
車の売却によって課税される所得税を計算する際は、車の所有期間にも留意することが必要です。
国としては資産の不要な売買を避けたいという目的から、資産を長期的に保有している方が資産を売却する際に所得税の課税額を優遇するという制度があります。
それは車にも適用されており、車の所有期間が「5年以上の場合は長期譲渡所得」「5年に満たない場合は短期譲渡所得」として区別しています。
そして、長期譲渡所得は譲渡所得が半額となります。例えば、譲渡所得は100万円の場合、半分の500,000円が所得税の課税対象です。結果的に課税額が少額になるというわけです。
そのため、所得税の課税対象となり車の所有期間が後少しで5年になるというなら、5年経過してから売却したほうがお得だと言えるでしょう。
車を売却して譲渡所得を得て、所得税が課税される場合は確定申告を行い、納税しなければなりません。
会社員の場合は、給与などの収入に課税される所得税の確定申告は会社が行ってくれます。しかし、車の売却益による所得税は個人的に得た利益なので自分で手続きを行わなければなりません。
確定申告は、所得が発生した翌年の2月16日から3月15日までの間に行います。国税庁のホームページから申告書をダウンロードして、必要な箇所を記載します。確定申告の手続きは直接税務署へ出向いても良いですが、国税庁のサイトからでも可能です。
また、売却利益の計算書や給与所得などの源泉徴収票などの書類が必要となります。記入方法や必要な書類も個々のケースで異なるので、もし確定申告が必要な場合は車買取業者などに相談してみると良いででしょう。
自営業などの個人事業主の場合、売却した車は事業用車としてみなされことが多いです。そのため、車を売却して利益が出た場合は事業上の所得となります。
売却益が500,000円を超えた場合は所得税が課税され、計算式も同じです。
しかし、購入額よりも安く売却した場合は「売却損」となります。他の課税対象となる利益と合算して、最終的に税額を求めることになるでしょう。
そのため、車の売却のおける利益がマイナスの場合、他の仕事で利益が出ても全体的に利益が減ることになります。結果的に確定申告における税額を減らすこともできるので節税になると言えます。
所得税の他に消費税がかかる可能性もある
車の売却において、所得税の他にも消費税が課税される場合もあります。それは、個人事業主が業務のために使っている車を売却するケースだけです。例えば、個人で宅配業を営んでいる方などが当てはまります。
一般的に車買取業者が売り手に消費税を支払う義務があります。そのため、受け取った売却代金の中に消費税が税込みとして含まれている場合が多いでしょう。
車の所有者である売り手側が消費税に対して何か手続きをする必要はありません。
車の売却で還付される費用
車を売却すると、車に関する費用のうち還付されるお金もあるので覚えておきましょう。
それは、1年分を前払いしている自動車税(種別割)と、車購入時にあらかじめ支払っているリサイクル預託金です。
車買取業者に売却したり、ディーラーに下取りに出すなど、業者を介して車を手放す場合は、返金されたかどうか分かりにくい場合があります。
それは、一般的に査定額や下取価格に上乗せする形で返金されることが多いためです。そのため、受け取る明細書に返金額が含まれているかをチェックしておくことが大事です。
自動車税(種別割)とは、毎年4月1日時点の車の所有者に課税される税金です。車の排気量によって税額が決まっています。軽自動車の金額は一律ですが、普通車は排気量1000㏄以上から税額が設定されており、500㏄排気量が増えるごとに税額が高くなっていきます。
毎年、車の所有者の居住地へ郵送で納付書が届きます。車の所有者は、5月末までに1年分の自動車税を納めなければなりません。
車を売却すると、名義変更手続きにより所有者が変わります。1年の途中だと、所有していない車の自動車税(種別割)を納めてしまうことになります。それでは損なので、車買取業者などに売却した際に、支払った自動車税(種別割)は一部還付されることになっています。
ただし、ほとんどの車買取業者では査定額の中に自動車税(種別割)の還付金を含んでいる場合が多いです。そのため、査定額の明細書で還付されているかを確認しておきましょう。
また、軽自動車に関しては還付はないので注意が必要です。
リサイクル預託金とは、廃車処理にかかる費用のことです。
車の普及と共に廃車も増え続け、処理に費用がかかることから不法投棄などが社会問題となりました。それを受けて、2005年に自動車リサイクル法が施行され、車の所有者が廃車処理にかかる費用を支払うという規定がなされました。
車の購入時に、リサイクル預託金を支払います。廃車にするまではリサイクル預託金は所有者に引き継がれていくため、売却すると返金されて次の所有車が支払うことになります。
リサイクル預託金を支払ったときに受け取る「リサイクル券」を保管しておき、売却時に買取業者に渡します。リサイクル券はリサイクル預託金を支払った証明書となります。
車を売却する際は、査定額にリサイクル預託金も含まれていることが多いです。きちんと返金されているか明細書を確認しておきましょう。
廃車にした時に還付される費用
車を廃車にすると、車に関する費用が必要なくなります。そのため、支払いすぎた分の税金や保険料が返金される場合があります。
新車購入時と車検時に納めている「自動車重量税」と、強制保険である「自賠責保険料」と、加入している場合は「任意の自動車保険の保険料」が当てはまります。
ただし、車検までの残り期間や保険期間によっては返金されない場合もあるので、注意が必要です。
手続きに関しても、自分で連絡や必要書類の準備、郵送などが必要なものもあるので間違えないようにしましょう。
自動車重量税とは、車両重量に応じて課税される税金です。車両重量0.5t重たくなるごとに税額が高くなります。軽自動車は重さに関係なく定額です。
新車購入時に次回の車検までの3年分をまとめて支払い、以降車検ごとに次の車検までの期間分を納めることになっています。
車検期間が残っている状態で廃車にすると、前払いした残りの期間分の自動車重量税は還付されます。
廃車の際に一時抹消登録もしくは永久抹消登録の手続きを終え、車の解体が済んだら還付金が受け取れることになっています。車検の残り期間が1ヶ月以上ないと、還付の対象にはならないので注意しましょう。
登録抹消手続きをすれば、自動的に自動車重量税の還付手続きが完了となります。還付までには2ヶ月半ほどかかります。
自賠責保険とは、車を公道で走行させるために加入しなければならない強制保険です。
自動車重量税と同様に車の購入時に保険料をまとめて支払い、以降車検ごとに次の車検までの期間分を支払うことになっています。
車を廃車にした際に、前払いした保険料分が返金されます。
ただ、自動車重量税とは違って、登録抹消手続きをしても自動的に還付されるものではありません。自分で保険会社に連絡して解約の申請をしなければ返金の手続きはなされないので、気を付けましょう。
また、保険の有効期限が1ヶ月以上ないと返金の対象とはならないので、注意が必要です。
任意の自動車保険は、加入が自由な保険です。しかし、自賠責保険では補償が不十分なので、ほとんどのドライバーは万一の場合に備えて加入しています。
廃車にした際、保険会社に解約の申請をして手続きをすれば、残りの保険期間分の保険料が返金されます。
ただし、自賠責保険と同様に自分で手続きしないと返金されないので、注意しましょう。さらに、保険の有効期限が1ヶ月以上はないと返金はなされません。
また、保険料の返金は日割ではなく、月割りとなっている場合が多いです。月払いにしている方は、返金はありません。
もし廃車手続きをしても今後車を所有する可能性があるなら、解約ではなく「中断」という手続きも可能です。中断手続きをすることで保険の等級が維持できます。
等級は1~20まであり、数字が大きいと保険の割引率が高くなります。交通事故などで保険を使うと等級が下がり、無事故の期間に応じて等級が上がる仕組みです。
もし等級が高い状態で解約して再度加入し直すとなると、また低い等級からのスタートとなります。
中断の手続きは「10年間」と期限が決まっているので、再開する際は気を付けましょう。