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車を売却するにあたって、いろいろな手続きを進めないといけません。その中で注意したいのが任意保険です。
自賠責保険だけでは保障が不十分なので、任意保険に加入している方は多いでしょう。
中には車を売却して、その後は当面車に乗らないという方もいるかもしれません。この場合、任意保険は中途解約してもいいのですが、念のため「中断証明書」の発行手続きをすることをおすすめします。
今回は、この中断証明書について詳しく解説していきます。
中断証明書の基礎知識
任意保険に加入していても、中断証明書のことはよく知らないという方も多いでしょう。
そこで、まずは中断証明書とはどのようなものなのかについて見ていきます。
中断証明書があれば、今後車を運転することになってもお得な保険料で契約できるかもしれません。
中断証明書とは
車を売却してから新しい車をすぐに購入しない方もいるでしょう。その場合、現在加入している任意保険はいったん解約します。その解約と同時に任意で中断証明書の発行をすることができます。
中断証明書とは、中断制度を利用することの証明となる書類です。
任意保険での中断制度とは、一定期間内であれば解約前の等級で再契約が可能な制度を指します。そのため、もし任意保険の解約時に「7等級以上」あれば中断証明書を取得しておくと今後また車に乗る時にその等級を引き継ぐことができるということです。
中断証明書があれば、最長10年間は等級を引き継げます。
車に乗ることが今後あるかもしれない場合は、中断証明書の発行申請をしておくのがおすすめです。
中断証明書を発行する場面とは?
車を売却するとき以外でも任意保険を解約する場合には中断証明書の発行が可能です。例えば、現在所有している車を廃車にする、知り合いや家族に譲渡する場合などです。
その他にも、海外の長期出張で車にしばらく乗らない時に中断証明書を発行しておくといいでしょう。帰国後、保険の再契約をする場合に前の等級が適用されます。
また、車が車検切れとなり、そのまま所有している場合も中断証明書の発行は可能です。
ただし、詳しい条件は保険会社によって若干異なる可能性があるので、心配なら保険会社に問い合わせておきましょう。
たとえ今後自分が一切車に乗らなくても、中断証明書は発行してもらったほうがいい場合があります。それは、家族が今後車に乗る可能性がある場合です。
中断証明書は本人だけでなく、家族も活用できる書類です。
例えば、自分が車に乗らなくなったとします。しかし、自分の子供が運転免許証を取得して、今後車を運転する可能性は十分あります。
この時、中断証明書を取得しておくと子供が保険に入る時に親の等級を適用させることができます。
もし親の中断前の等級が7等級以上であれば、子供は新規契約する時よりも安い保険料で加入ができます。
ただし、家族の適用範囲については注意が必要です。基本的に家族とは中断証明書に記載されている被保険者とその配偶者、同居している親族までです。子供であっても別居している場合は適用されないので、注意してください。
中断証明書の発行の流れ
中断証明書の発行方法は、まず保険会社に連絡します。その上で中断証明書を発行してもらいたい旨をオペレーターに話しましょう。
すると、オペレーターから中断証明書の発行条件を満たしているか確認されます。もし問題なければ、電話で手続きのやり方について案内されますのでそれに従ってください。
最初は電話で申し込んで、以降は書類のやり取りで手続きを進めることになるでしょう。「中断証明書発行依頼書」のような書類が自宅に届きますので、こちらに必要事項を記入して、必要書類があれば添付して返送します。
中断証明書は任意保険を解約すれば自動的に依頼書が届けられるわけではないので、必ず電話で申し込みをしましょう。
しばらくの中断後、任意保険に加入し直す際には中断証明書を使って等級を復活させます。しかし、保険を再開するにあたり、等級を復活させるためにはいくつか条件を満たさないといけません。
保険会社によって等級を復活する条件が少し異なる場合があります。契約する前に問い合わせて、具体的な条件を確認しましょう。
一般的には、「保険会社の定める中断期間内であること」「新しい車を保有してから1年以内であること」などの条件があります。
もし海外渡航で中断したのであれば、「帰国1年以内に再契約すること」などの条件もあります。
手続きを無駄に終わらせないためにも、等級を復活させる前に条件を満たしているかどうか保険会社に確認しておきましょう。
中断証明書を発行するメリット
中断証明書のメリットとして挙げられるのは、以前の等級が適用されるという点です。
もし事故を起こさずに保険を使ったことがなければ、それなりに高い等級を維持してきたことになります。
等級が高ければ高いほど、保険料の割引率が大きくなります。つまり、それだけ保険料が安くなるということです。
新規契約をする場合、誰でも6等級からのスタートになります。6等級の場合、一般的には13%割引です。これが、15等級であれば51%割引になります。最高の20等級であれば63%もの割引です。
6等級から比較すると、15等級だと30%、20等級だと40%以上も割引率が変わってきます。
今は乗るつもりがなくても今後車を運転する可能性があるならば、中断証明書を取得しておきましょう。
中断証明書を行使するためには、前に契約していた保険会社でなければならないと思っている方も多いかもしれません。しかし、中断証明書は加入していたところとは異なる保険会社でも行使できる書類です。
各保険会社とも、新規顧客を獲得するために新商品をどんどん販売しています。自分の条件でより良い保険が別の会社で出ている可能性も十分あります。
そのため、中断証明書を使って再契約する際には、以前加入していたところ以外の保険商品もチェックしてみましょう。よりお得な商品があるかもしれません。
中断証明書で以前の等級が適用されれば、新規契約よりも保険料がお得です。別の保険会社に乗り換えることで、さらにお得に任意保険に加入できる可能性もあります。
中断証明書の発行に必要な書類
中断証明書を発行してもらうには、いくつか必要書類を用意しなければなりません。
そこで、ここからは中断証明書の申請手続きに必要な書類についてまとめました。
必要書類は中断する理由によって若干異なります。自分の場合、何を提出しなければならないのかチェックしておきましょう。
知人や家族に車を譲渡するために任意保険を解約する場合に必要な書類を説明します。
①車検証のコピー
名義変更されたことを証明するため、譲渡前後の車検証のコピーを用意する必要があります。
②登録事項等証明書もしくは検査記録事項等証明書
登録事項等証明書は普通車、検査記録事項等証明書は軽自動車を処分する際に必要な書類です。
登録事項等証明書は、車検証と同じで車両に関する情報が記載されています。加えて盗難届や抵当権の有無など、車検証に記載されてない内容も含まれています。
検査記録事項等証明書は、登録事項等証明書の軽自動車バージョンです。現在証明と詳細証明の2種類によって構成されています。
③売買契約書のコピー
もし売買で車を譲渡した場合には、後々トラブルになるのを防止するために売買契約書の作成が必要です。この売買契約書のコピーも中断証明書の発行申請時に添付します。
廃車にするので任意保険を解約したい、中断証明書が欲しいという方もいるでしょう。
この場合、登録事項等証明書もしくは軽自動車を利用している方は検査記録事項等証明書の提出が必要です。
登録事項等証明書
発行するには最寄りの運輸支局もしくは自動車検査登録事務所の窓口で受け付けています。この時、手数料として現在証明(300円)、明細証明(1枚1,000円)の合計1,300円が必要です。
検査記録事項等証明書
発行するには軽自動車検査協会で手続きを受け付けています。各地にありますので、インターネットなどでお住まいの最寄りの軽自動車検査協会をチェックしましょう。書式や申請方法が各地で若干異なる可能性があります。申請する前に最寄りの軽自動車検査協会に問い合わせておきましょう。
車検切れで任意保険の解約や中断証明書の取得をしたいというケースもあるでしょう。この場合に必要な書類は以下になります。
①車検証
車検切れになった車検証のコピーを提出する必要があります。
②登録事項等証明書もしくは検査記録事項等証明書
登録事項等証明書や検査記録事項等証明書の交付を受けるためには「ナンバープレート」と「車台番号」が判明していなければなりません。ナンバープレートと車台番号は車両をチェックして、メモしておきましょう。
車台番号は車種によっても異なりますが、エンジンルームやダッシュパネルなどに打刻もしくはプレートが溶接されています。手続きをする前に確認しておきましょう。
愛車が盗難にあって車がない場合、任意保険を解約しないと車がないのに保険料が請求され続けます。すぐに解約し、引き続き車に乗る場合には中断証明書も発行しておきましょう。
この場合、保険会社で手続きをする際に盗難届出証明書が必要です。
盗難届出証明書
盗難届を出して受理した警察署で発行してもらえます。自動車の盗難届を出す際、盗まれた車両に関する情報を提出しなければなりません。その際にナンバープレートや車体番号が必要です。
しかし、いきなりナンバープレートや車体番号の情報を求められても「分からない!」という方もいるでしょう。そうならないために、車検証のコピーをとって自宅で保管するか、スマホでナンバーを撮影しておくなどの対処を常日頃から行うか、任意保険の証券のコピーを自宅に置いておくなどしておくと安心です。
中断制度の種類
任意保険の中断手続きは、大きく分けて3種類あります。それぞれ内容が異なるので、中断手続きをする際には自分がどれに当てはまるのか前もって理解しておきましょう。
最も一般的なのが、国内特則です。これは国内にいる人が何らかの理由によって車を手放し、任意保険の契約を中断する場合に適用されます。
理由についてはいろいろな事情が考えられます。「車を譲渡した」「廃車して車を処分した」「盗難にあって車がなくなってしまった」「車検切れになった」場合などです。
国内特則の場合、中断手続きのタイミングが異なります。
車を譲渡や廃車した場合は、任意保険の解約日までに契約中の車両が譲渡もしくは廃車されていないといけません。
車検切れの場合は、任意保険の解約日の翌日までに車検が期限切れになっていることが条件です。
このように、車を手放す状況によって中断手続きのタイミングは異なるので注意してください。
海外特則とは、海外に行くことになって国内で車に乗らなくなった場合に適用されます。
「海外に転勤することになった」「長期の海外出張をすることになった」などの場合に海外特則に基づき中断証明書を発行してもらえます。
国内特則の場合、何らかの理由で車を手放すなり車検切れで公道を乗れなくなってから手続きするのが一般的でしたが、海外特則は車を自宅に保管しておいても中断証明書の発行が可能です。
海外特則の場合、一定の条件を満たさないと中断手続きができません。それは、記名被保険者が海外に出国した日が契約の満期日、もしくは解約日から6か月以内であることです。
つまり、解約してから6か月以内に出国しなければならないので、あまり前倒しで手続きをしないほうがいいでしょう。
妊娠特則とは、妊娠して車の運転ができなくなって一時的に契約を中断したい場合に適用されます。
妊娠特則の場合、他と条件が若干異なるので注意してください。
妊娠特則の対象になるのは、排気量125cc以下もしくは126ccを超えるバイクです。自動車については特則の適用外になりますので、注意しましょう。
また、契約の解約日までに妊娠の届け出を行っていることも条件の一つです。そこで手続きするにあたって母子手帳が必要になるので、忘れずに準備してください。
この妊娠特則は、どの保険会社でも用意されているわけではありません。妊娠特則を設けているかどうか、手続きする前に自身が加入している保険会社に確認しておきましょう。
中断証明書の再発行について
中断証明書は最長10年間有効です。長期間使える書類なので、いざ使おうと思った時に肝心の書類が紛失して見つからないということもあるでしょう。
その場合、中断証明書の再発行は可能なのかについて見ていきます。再発行の対応は保険会社によって異なるので、まずは問い合わせてみてください。
かなり前に中断証明書を発行してもらい、紛失してしまったのであれば、再発行は可能です。
中断証明書を発行してもらった保険会社に連絡すれば、再発行手続きしてもらえることが多いです。保険会社によって若干手続きが異なるので、連絡してオペレーターの指示に従ってください。
通常は「中断証明書再発行依頼書」などの書類に必要事項を記入して、提出することが多いです。しばらくすると中断証明書が再発行されます。
再発行までどのくらいかかるかはケースバイケースですが、2週間前後が目安です。
ある程度時間を要しますので、紛失が発覚した段階で、できるだけ早く手続きを進めておくと後々スムーズに再契約できます。
中断証明書は紛失しても再発行できるところが多いです。
ただし、再発行してもらうとなるとそれなりに時間もかかります。極力なくさないように管理しておきましょう。
そこで、おすすめなのはファイルなどに挟んで他の書類と一緒に管理する方法です。ファイルの表面もしくは付箋などにどのような書類が入っているかも記しておけば、中断証明書が必要な時にすぐに探し出せます。
特に引っ越しなどの時に中断証明書を紛失するパターンが多いので、どこに保管するか決めておくといいでしょう。
中断証明書をなくしてしまった場合、とりあえず保険会社に連絡しましょう。保険会社によっては、中断証明書の再発行をしなくても再契約できるところもあります。
保険会社のほうで中断手続きをした契約者のデータベースを持っているところは、中断証明書がなくてもデータベース上で確認ができるので、再発行をする必要がありません。
ただし、中断証明書を発行してもらったところと別の保険会社で契約する場合には、中断証明書の再発行が必要となるので、その旨保険会社の担当者に伝えましょう。