目次
車を売却もしくは廃車にした場合、税金が還付されるということを聞いたことがある方もいるでしょう。
実際のところ税金は還付されるのか、その条件についてここで詳しく見ていきます。
還付される場合、どのような手続きをすればいいのかについてもまとめました。
また、税金以外にも条件次第では、還付されるものもあります。どのようなものが返金されるのかについても見ていきますので、手続きする際の参考にしてください。
車の売却や廃車で税金の還付を受けられる?
車を売却もしくは廃車にした場合、本当に税金が戻ってくるのかについてまずは見ていきます。
結論から言うと、戻ってくるのは廃車にしたときです。ただし、車を売っても実質的にお金が戻ってくることが多いです。
どのような税金が還付の対象になるのか詳しく見ていきましょう。
還付金を受け取れる可能性のある税金
車を処分した場合、一般的に還付の対象になるのは「自動車税」や「自動車重量税」です。
自動車税は毎年、自動車重量税は車検のたびに納める税金です。自動車税はこの先1年分、自動車重量税は2年分を前納する形になります。
年度の途中で売却もしくは廃車にした場合、余計に税金を支払ったことになります。そのため、残期間分の税金が還付される可能性があります。
ただし、軽自動車は還付の対象にはなりません。軽自動車の所有者は軽自動車税を支払いますが、自動車税とは異なって還付は受けられないので、混同しないように注意してください。
還付金を受け取れるのは廃車にしたとき
年度の途中で車を処分した場合、自動車税や自動車重量税は還付の対象です。ただし、税金の還付を受けられるのは一時抹消登録もしくは永久抹消登録の手続きをした場合に限られます。
一時抹消とは、ナンバープレートを返還して車を公道で走れなくする手続きです。
永久抹消とは、いわゆる廃車にすることを指します。完全に解体して車を処分することです。
車を買取業者に売却して名義変更の手続きをした場合は、本来還付の対象ではありません。車を売っただけでは税金の還付は原則受けられないことは、頭に入れておきましょう。
車の抹消登録には、一時抹消登録と永久抹消登録があり、どちらの手続きをするかで還付される税金の種類が異なります。
自動車税の還付のみが受けられます。
一時抹消をしている期間は納税の義務がなくなりますので、しばらく車に乗れないときは手続きしておいたほうがいいでしょう。
自動車税に加えて自動車重量税も還付の対象になります。自動車重量税は次の車検の期間までの税金が還付対象です。
永久抹消は、廃車にする場合に手続きします。車の解体業者などに廃車依頼することになるはずなので、その時に税金の還付手続きを行ってくれるのか確認しておきましょう。
車を売却した場合でも実質税金は返還される
税金の還付が受けられるのは、車の抹消登録をした場合に限られます。本来買い取りや下取りに出しただけでは、還付の対象ではありません。
しかし、多くの買取業者やディーラーは、車を引き取ったときに残期間分の税金を査定金額に上乗せしてくれます。それは不公平感をなくすためでもあります。
もし残期間分の税金を返還しないと、売り手は無駄に税金を納めてしまいます。一方、次のオーナーからすれば、残期間分の税金を支払うことなく自由に運転できてしまいます。これでは売り手側だけが損をしてしまい不公平です。
そこで、売り手には残り期間分の税金を戻して、次のオーナーから残期間分の税金を支払ってもらうことで公平になるようにしています。
廃車によって還付金を受け取る流れ
もし車を廃車にするのであれば、自動車税や自動車重量税の残期間分の還付が受けられる可能性があります。
ただし、廃車にしただけで自動的に税金が戻ってくるわけではありません。還付を受けるためには、所定の手続きを済ませる必要があります。
では、具体的にどのような手続きをすればいいのでしょうか、以下で解説します。
まずは抹消手続きをしなければなりません。
廃車にする場合は永久抹消手続きを行います。手続きは陸運局で受け付けています。こちらに必要書類を持参して、手続きを進めましょう。
廃車に伴う抹消手続きをする場合に必要なものは以下になります。
- 車検証
- 運転免許証
- リサイクル券
- 自賠責保険証
- 実印
- 印鑑証明書
- ナンバープレート
もし引っ越して車検証に記載されている住所と現住所が異なる場合は「住民票」も併せて必要になります。
陸運局が開いているのは平日のみです。仕事などの都合で手続きできない場合、業者が代行してくれる場合もあります。代行してくれるかどうかは、業者にあらかじめ確認しておくと安心です。
また、代行をお願いする場合は抹消手続きが完了したことを証明できる書類を提示してもらえるようにお願いしましょう。
抹消手続きが完了したら、今度は「自動車税事務所」で手続きを進めます。
多くの自動車税事務所は陸運局の近くにあるので、一度に手続きを済ませましょう。
陸運局は国土交通省の管轄になります。自動車税に関する案件は各都道府県にある税事務所が管轄しています。このように管轄が異なるので、別々に手続きをする必要があります。
自動車税事務所では、申告書に必要事項を記入して、窓口に提出します。申告書の作成はそれほど難しくはありません。陸運局で発行された書類を見ながら、該当する項目を記入しましょう。
廃車してしばらくすると、自宅に「還付通知書」が送付されます。
地域やタイミングによって若干違いがあるかもしれませんが、おおよそ1~2カ月もすれば郵送されるでしょう。
通知書を見ると金融機関が明記されているので、そこで還付金を受け取ることができます。
還付金を受け取るにあたって、持参するものが3つあります。
- 身分証明書
- 還付通知書
- 認印
都道府県税事務所では、自動車税の還付額だけでなく、住民税や固定資産税などの他の税金で滞納がないかについても調査します。もし滞納があれば、滞納額が差し引かれますので注意しましょう。
廃車手続きを行うにあたり、必要書類がいくつかあります。中には手元に書類がなくて、全て揃えるのに時間がかかる場合も出てくるでしょう。
この場合、書類が整うまで抹消手続きはできません。しかし、自動車を解体すれば、その段階で自動車税の支払いを止めることは可能です。
業者にお願いして車を解体してもらうと、自動車リサイクル促進センターのホームページにて解体された車両に関する情報が登録されます。
この解体報告日を自動車税事務所に申告すれば、その月をもって自動車税の課税を止めることが可能です。
自動車税事務所に解体報告日の申告ができるまで、解体から概ね1週間程度かかります。そのため、毎月20日くらいまでに業者に車両を渡して解体してもらえれば、その月で自動車税を止められるでしょう。
車種やタイミングによっては、税金の還付額が高額になるケースもあります。通常、還付通知書はハガキで届きますが、高額な場合は封書で送付されます。
高額な還付金が発生する場合、手続きが多少煩雑になりますので注意しましょう。
封書の中に口座振替依頼書があるので、自分の口座番号、氏名、住所、電話番号を記入して認印で押印してください。
口座振替依頼書の作成ができたら、自動車税事務所に返送します。すると、指定の口座にお金が振り込まれます。
なぜ口座振替になるのかというと、なりすましを防ぐためです。
また、どの金額から口座振替になるかは、自治体によって異なります。東京都の場合は50,000円以上になると口座振替になります。
車を売却した場合、税金を返還してもらうときの注意点
車を売却すると、多くの買取業者で税金の未消化分を返還してくれます。しかし、このときいくつか注意しなければならないポイントがあります。
税金の返還を受けるためには必要書類があったり、タイミングに注意したりしなければなりません。どのようなポイントがあるのか、以下にまとめました。
税金を返還してもらう大前提として、自動車税を納めていることが挙げられます。そこで自動車税を納めたことの証明となる納税証明書を準備しておきましょう。
毎年5月初旬あたりになると自宅に自動車税の納税通知書が送付されます。この通知書をコンビニや銀行に持っていって納税すると、ハンコの押された半券が渡されます。これが自動車税納税証明書です。
半券は小さい紙切れなので、中には捨ててしまったり、紛失してしまったりして手元にないという方もいるかもしれません。
その場合、自動車税事務所で手続きすれば再発行してもらえます。もし納税証明書が見当たらない場合には、速やかに再発行の手続きを進めておきましょう。
自動車税の未消化分を返還するのは、法律で定められているわけではありません。これは一種の買取業者のサービスで、中には返還してくれない業者もあります。
通常は、買取価格に上乗せする形で返金されます。そのため、見積書などを見て、税金の残期間分がきちんと反映されているかどうか確認してください。
税金の還付金は月割で算出できます。自動車税の金額を12等分して、残期間分の月数をかけて計算しましょう。
自動車税は毎年4月1日の時点で車を所有している人を対象に、5月初旬ごろに納付するための通知書が送付されます。もし4月以降~5月初旬までに車を売却すると、車を業者に売却した後で通知書が届く可能性があります。
この場合、車の買取価格には税金が反映されません。その代わり後日税金を業者に支払ってもらうことが多いので、どういった処理になるのか確認しておきましょう。
稀に還付ではなく逆に車両を売却したことで納税しなければならないケースもあります。それは、車を売却したことで利益が発生した場合です。
車を購入した時の金額よりも買取価格が上回り、利益が50万円を超えた場合、車両の用途が業務用やレジャー用などであれば、所得税を支払う必要があります。
利益が50万円を超えたとしても通勤用など日常生活に必要な車両と認められれば、課税対象にはなりません。
もし所得税を納税する場合、確定申告の手続きが必要です。自分では判断できない場合、税務署で相談するといいでしょう。
普通自動車の場合、毎年課税されるのは自動車税です。一方、軽自動車の場合は「軽自動車税」という税金の納税義務が生じます。
普通車も軽自動車も年度ごとに1年分の税金を前払いします。しかし、軽自動車税の場合は1年の途中で車を手放しても税金の還付は受けられません。
特にこれまで普通自動車に乗っていて、軽自動車に乗り換えた場合には勘違いをする可能性があるので注意が必要です。
また、軽自動車に対しても自動車重量税が課税されます。この自動車重量税は軽自動車の場合でも還付の対象です。
しかし、1カ月当たり数百円単位と非常に安価です。残り期間が少ないと、還付申請の面倒の割にはあまり還付されないということも起こりえます。
自動車税は、毎年4月1日時点の車の所有者を対象にして課税される税金です。そのため、3月31日までに車を売却して名義変更が済んでいれば、翌年分の自動車税は課税されません。
しかし、3月は新年度にあたって車を購入する方が多いです。また、多くの業者にとって決算月に当たるので、一台でも多くの中古車を確保するために高値が付く傾向が見られます。
そのため、特に3月末になると買取業者は繁忙期になります。すると、3月末に車を売却できても、名義変更手続きが4月になってしまうことも起こりえます。
そうなると、売却したのにも関わらず、自動車税の納税通知書が届いてしまうかもしれません。
そうならないためにも、できれば3月の頭くらいまでには車を買い取りに出すのがおすすめです。
税金以外にも戻ってくるお金
車を売却することで、税金以外にも戻ってくるお金があります。ただし、車の売却のタイミングによっては戻ってこない場合もありますので、注意してください。
具体的にどのようなお金が戻ってくるのか、以下で紹介します。
自賠責保険は、車を公道で運転するにあたって強制的に加入しなければならない保険です。
自賠責保険に加入するためには保険料を納めないといけません。この自賠責保険料は、次の車検までの金額を一括で支払うのが一般的です。そのため、保険の残期間があれば未消化分の保険料は戻ってきます。
還付金額は月割で算出されます。月初めでも月末でも同じ月なら、還付額は一緒です。ちなみに、残期間が1カ月を切っている場合は還付を受けられません。
自動車リサイクル法に則って、車を購入する際には車両の処分にかかる費用を負担しなければなりません。
実際には、リサイクル費用を負担するのは車を廃車にする際の最後のオーナーです。
車を売却するということは、最後のオーナーにはなりません。そのため、購入時に支払っていたリサイクル料金は戻ってきます。
リサイクル料金は車種、グレード、装備の内容などによって変わってきますが、大体6,000~18,000円程度と言われています。車を購入したときにリサイクル券がもらえるので、こちらで愛車のリサイクル料を確認することが可能です。
車を売却する際、リサイクル料金に関する説明は省かれがちです。買取価格にきちんと反映されているかどうか、確認するのを忘れないようにしましょう。
自賠責保険だけでは、事故を起こしたときの補償が不十分だとされています。そこでいざというときのために、任意保険に加入している方がほとんどでしょう。
任意保険の保険料の支払いは、月契約の方が多いです。この場合、車を売却したときに解約すれば、翌月から保険料の支払い義務がなくなります。
一方、任意保険の加入者の中には、年間契約している方もいるでしょう。このような長期契約することで、保険料がお得になるメリットがあります。
年間契約の場合、未経過分の保険料は返還してもらえます。返還してもらうためには、まず加入している保険会社もしくは代理店に連絡してみましょう。
また、もし車を売ってから新しい車を購入する場合、新しい車に対する任意保険の保障内容を変更する必要があります。そのときは「車両入替」という手続きが必要になりますので、納車される前に手続きを済ませましょう。