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新車の購入を検討中、もしくは家庭の事情などによって、車を売却することを考えている人は多いのではないでしょうか。
車を保有していると、自動車税や自動車取得税、自動車重量税など、さまざまな税金を支払わなければなりません。しかし、これらの税金の中には車を売却することで還付される税金があるのです。
今回は、この還付される税金について詳しく解説していきます。あわせて還付手続きを行う際の注意点も紹介するので、参考にしてみてください。
車を売却すると一部の税金が還付される
車を売却した際に、一部の税金が還付されるケースがあります。
還付金があれば、次の車を購入する資金に充てられるといったメリットがあります。ただし、すべての税金が還付されるわけではありませんので、注意が必要です。
ここからは、どんな税金が還付されるのかを詳しく紹介していきます。
車の売却を検討している人は、還付される税金と還付されない税金のことをしっかりと把握しておきましょう。
車を売却することで還付を受けられる税金
車を購入する時はもちろん、所有している間はさまざまな税金を支払わなければなりません。
自動車取得税など、車を購入するときに課税される税金は還付の対象ではありませんが、「自動車税」と「リサイクル料金」は車を売却することで還付を受けることができます。
ただし、この2つの税金は名義変更をして買取業者などに車を売却しただけでは、還付金は受け取れません。「一時抹消」または「永久抹消」の手続きが必要です。
続いては、自動車税とリサイクル料金それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
自動車税は、毎年4月1日時点で自動車を所有している人に課せられる税金のことです。お住まいの地域によりますが、基本的に多くの地域では5月中に1年分を一括で支払うことになります。
計算式については、以下のとおりです。
年間自動車税ー(ひと月あたりの自動車税×支払い済みの月数)=還付金
例えば、4月1日に請求された車の自動車税が45,000円だったとしましょう。この場合、6月に車を売却すれば支払った自動車税が9か月分残っているということになります。
ひと月あたりの自動車税である3,750円にすでに支払っている3か月分を掛け合わせた11,250円を、自動車税の45,000円から引いてみると残りは33,750円です。
つまり、33,750円が還付され、手元に戻ってくるということです。
売却の際、多くの場合で還付金に相当する金額が査定に組み込まれています。ただし、必ずしも査定に含めなければならないものではないので、もしも査定金額に自動車税の還付金が含まれていない場合は、買取業者に確認するようにしましょう。
リサイクル料金は、車が廃車となった際にかかる費用のことで、車を購入した際にあらかじめ前払いで支払っているものです。
リサイクル料金は、その車を購入したオーナーが負担するべき料金だと考えられているので、支払いの義務も車と一緒に次のオーナーに引き継がれていく仕組みとなっています。
査定を依頼した時に、査定金額にリサイクル料金の返金分が含まれているか、しっかりと確認することが大切です。
リサイクル料金は売却時に返金されるべき費用なので、万が一査定金額に含まれていない場合は、詳しい内訳の説明を求めることをおすすめします。
また、還付金を請求する際は、リサイクル券の原本の提出が必要になることを覚えておきましょう。
車を売却しても還付を受けられない税金
自動車税やリサイクル料金などの還付を受けられる税金がある一方で、なかには車を売却しても還付を受けられない税金があります。
還付を受けられない税金は、車を購入する際にかかる「自動車取得税」「自動車重量税」「自賠責保険料」などです。これらは車を購入、あるいは所有するために必要な税金となっているので、車を売却しても還付金が発生することはありません。
続いては、自動車取得税、自動車重量税、自賠責保険料それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
自動車取得税は、車の取得時に課税される税金です。50万円以上の車を購入する場合は、新車、中古車を問わず必ず課税されます。
これらは自動車を購入、または所有するために発生する税金のため、自動車を売却しても還付金は発生しません。
税率は新車で購入した場合と中古車で購入した場合で異なり、さらには中古車でも高年式の場合と新車登録から年月が経過している場合で税率が異なります。
これまで、車を購入する際に課せられる消費税と自動車取得税の二重課税の負担が大きく、大きな批判を呼んでいました。このような背景もあり、自動車取得税は2019年10月の消費税が10%に引き上げられたタイミングで廃止になりました。
そこで、新たに燃費性能に応じて軽減される「環境性能割」が導入されるようになりました。
自動車重量税は、車の重量の増加に応じて課される税金のことです。自家用乗用車、軽自動車を問わず、新車購入時の初回登録時および継続車検時に支払う必要があります。
自家用乗用車、軽自動車ともに、新車登録から3年後に初回の車検が行われ、その後は2年ごとに車検を行いますが、自動車重量税は1年ごとに課税される仕組みです。そのため、新規登録あるいは車検時に車検証の有効期間に合わせた支払いが必要となります。
自家用乗用車は車の重さ0.5tごとに増税され、軽自動車は車の重さに関わらず税額は定額です。
また、新車の新規登録から13年以上経過した車は0.5tあたり年間5,700円増税、18年以上経過するとさらに0.5tあたり年間6,300円が重課税されます。
あくまでも車を購入した際に必要な税金なので、売却しても還付金は発生しません。
自賠責保険は、車を購入したときや車検をするときなどに必ず支払わなければならない損害保険のことです。
車を持っているのであれば、必ず加入しなければならないと法律で定められているため、車の所有者が誰であろうが、その保険は常に存在しているということになります。
この保険は人にかけるものではなく、車そのものにかけられているものです。そのため、売却した車が日本国内のどこかで走行することができる状態である限りは、自賠責保険は解約できないようになっています。
つまり、自賠責保険の加入期間が残ったまま車を売却したとしても、支払った保険料が戻ってくることはありません。
自動車税分は車の買取査定額に含まれていることも
車を売却する際に依頼する見積もりには、自動車税の残存期間分を査定金額に含んでいる場合が多くなっています。
そもそも車を売却する場合は、廃車にするときに適用される国からの還付制度は適用されません。その代わりとして、買取をするときに自動車税の残存期間分が査定金額に含まれる仕組みとなっているのです。
ただし、自動車税の残存期間分は必ずしも査定金額の中に含まなければいけないという義務はありません。そのため、査定をしてもらった際に自動車税分がきちんと含まれているかどうかを自分で確認したほうがいいでしょう。
買取価格を交渉する際に多少金額が上がっていたとしても、自動車税分をただ上乗せしただけという可能性もあるので、注意するようにしてください。
査定をしてもらった際の見積もり金額の中に、自動車税がきちんと含まれているかを確認するためにも、自動車税の計算方法を把握しておくことが大切です。
計算方法としては、支払った自動車税を名義変更の翌月から次の3月までの月数で割るという方法があります。
ただし、2019年10月1日から消費税が10%に増税されました。それに伴い、自動車税の取り扱いもこのタイミング変更され、税率の引き下げが行われています。引き下げ額は、最大4,500円です。
この引き下げ税率が適用されるのは、2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた自家用乗用車のみとなっています。
中古車や2019年10月1日以前に新車登録を行った車は対象外となるので、注意しましょう。
車の売却を行っただけでは、自動車税の還付金を受け取ることはできません。
国の還付制度が適用されるのは、車を廃車にした場合のみです。そのため、自動車税の還付金を受け取るには、まず一時抹消登録か永久抹消登録の手続きを行わなければなりません。
廃車には一時的に車を公道上で走行できないようにする一時抹消登録、車をスクラップにして所有権を永久に消滅させる永久抹消登録の2種類があります。
売却の場合は、この2種類から一時抹消登録を選んで、登録を行うと自動車税の還付手続きは完了です。
その後、およそ2~3か月後に自動車税事務所から支払い通知書が届きます。届いたら、通知書の指示に従って還付金を受け取りに行きましょう。
実際に車を買取業者などに売却する場合、残存月数に応じた未経過分の自動車税を買取価格に含めていることがほとんどです。そのため、なにか特別な手続きを行う必要はありません。
ただし、廃車後に自分で還付手続きをするという場合には、管轄の陸運局や自動車税事務所などに行く必要があるので、少し手間がかかってしまうでしょう。
初めて車を売却するのであれば、自分で行うよりは買取業者に依頼したほうが手間もかからないのでおすすめです。
車を売却した際の還付金を受け取るためには、注意しておきたいことがいくつかあります。
実は売却状況によっては還付を受けることができずに、損をしてしまうケースもあるのです。そのため、しっかりと還付を受けられる状態とタイミングを見極めて車を査定に出すことが大切です。
続いては、自動車税の還付を受けるために注意しておきたいことを詳しく解説していきます。
自動車納税証明書は、自動車税をコンビニや銀行などの金融機関などで支払ったときに受領証を押してもらうことで、支払ったことを記録するものです。
この証明書を買取業者に提出することによって、初めて車の買取価格に含まれている還付金を受け取ることができるようになります。
売却する際には、自動車税の納付はすでに済んでいる状態でなければなりません。納付済みかどうかを必ず確認してから売却を行うようにしましょう。
万が一、自動車税納税証明書を紛失してしまった場合は、「普通自動車は陸運支局」「軽自動車は役所(役場)」で再発行することができます。そのため、紛失してしまっても慌てる必要はありません。
再発行を行う場合は、主に車検証、納税を行った領収書、運転免許証、マイナンバーカードなどの身分証明書の提出が必要です。
お住まいの都道府県によって必要な書類が異なるため、あらかじめ各自治体のホームページなどで事前に確認をしてから、再発行申請を行いましょう。
自動車税納税証明書は車の売却以外にも、車検時にも必要な大事な書類ですので、日頃から紛失しないように大切に保管しておくことをおすすめします。
未納になっている自動車税がないか確認を!
車の売却を検討しているという方は、まずは自動車税を全額納付しているかどうかを確認しておきましょう。このとき、自動車税が未納のままの状態では、原則車の売却はできません。
車の売却することによって、自動車税が未納になってしまう状況を避けるために、名義変更の手続きをする際には、自動車税を納めていることを証明する自動車税納税証明書を提出することが義務付けられています。
買取業者の中には、未納分の自動車税があったとしても買取をしてくれる業者もいます。ですが、これはあくまでも未納分を納付する手続きを買取業者が代理で行ってくれるだけのこと。いずれにしても査定金額から未納分を引かれるか、別途未納分の自動車税を請求されてしまうことになるでしょう。
例えば、未納分の自動車税があったとして、すでに自動車税の納付期限を過ぎていたとします。この場合、数日以内であれば納付書の納付期限が過ぎてしまっていても納税することは可能です。
しかし、期限が過ぎてしまうとコンビニ払いで支払いできたものが、銀行などの金融機関のみでの取り扱いになってしまうことを覚えておきましょう。
また、納付期限を大きく過ぎてしまうと振り込み用紙が同封された督促状が届いてしまいます。
また、納付が遅れた場合は、遅延金が加算されるパターンがほとんどです。これでは最終的に支払う金額が増えてしまうだけですので、納付書が届いたら早めに支払うようにしましょう。
時期によっては自動車税請求の可能性も
車を売却する時期によっては、たとえ売却後であったとしても自動車税の支払いが必要なことがあります。特に、年度末に車を売却した際に発生しやすくなっています。
この理由は、多くの買取業者が車の名義変更の手続きを翌月か翌々月に行うためです。年度末の3月に売却しても、車の名義変更が行われるのは4月や5月ということになります。
自動車税は、毎年4月1日時点で車を所有している人に納付義務が発生するため、4月や5月に名義変更を行った場合では、4月1日時点の所有者のもとに納付書が届いてしまうのです。
このような状況が発生した場合、車の売却後であっても支払う義務は自分にあるということなので、年度末の売却には注意しましょう。
基本的には年度末に車の売却を行うことは、避けるのが無難です。
しかし、どうしても年度末に車を売却しなければならない場合もあるでしょう。そんなときは、買取業者に4月1日までに名義変更が完了するのかどうかを確認してみてください。
また、必ずしも対応できるとは限りませんが、できるだけ早く名義変更に取り掛かってもらえるように相談してみるのもおすすめです。
これらの手段を講じても、名義変更が間に合わない可能性が高い場合は、自動車税の支払いはどう対処することになるのかを、しっかりと確認しておくようにしましょう。
車検後、すぐに車を売却するのはおすすめできません。なぜなら、自動車重量税を余計に支払うことになる可能性があるからです。
そもそも自動車重量税というのは、車検ごとに支払いが発生する税金のため、車を売却したとしても手元に戻ってくることはありません。そのため、車検を行ったあとにすぐに車を売却してしまうと、乗用車の場合では2年分の重量税の費用を無駄にしてしまいます。損をすることになりかねません。
ただし、車検の残存月数によっては査定のプラス要素として、売却金額が上がる可能性があります。
支払った自動車重量税と同等の金額が戻ってくるとは限りませんが、念のため買取業者と交渉してみるのもいいでしょう。
支払った自動車税の還付金を受け取るまでの期間は、おおよそで1か月後から2か月後です。
買取業者に依頼した廃車の手続きが完了し、抹消登録が済んだタイミングで、登録手続きの際に提出した印鑑証明書に記載されている住所に還付通知書が届きます。
通知書が届いたら、還付通知書、印鑑、身分証明書を持参して金融機関で還付金を受け取りに行きましょう。
また、還付通知書の有効期間は1年間なので、期限切れには注意してください。
まとめ
車を売却することで還付を受けられる税金には、自動車税とリサイクル料金があります。しかし、ただ車を売却するだけでは還付金を受け取ることはできません。
還付手続きを行うには、まず一時抹消登録か永久抹消登録する必要があります。また、この手続きを行うには自動車納税証明書の提出が必要です。
万が一、未納の自動車税がある場合は納税証明書が発行できず、車の売却ができないので注意しましょう。
さらに、売却を行う時期によっては名義変更が間に合わず、翌年分の自動車税や自動車重量税を余分に支払う可能性もあります。
どうしても年度末や車検後に車を売却しなければならない場合は、4月1日までに名義変更を完了するか、間に合わなかった場合の支払いの対処方法を買取業者に確認しておくことが大切です。