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車を売却しようと考えている場合、どれだけ高く売れるかだけでなく、還付金にも注意を向ける必要があります。
車を売却した時に受けられる還付金にはどのようなものがあるのでしょうか?
しっかり還付金を受け取るために何ができるのでしょうか?
この記事では、それらの疑問について詳しく解説していきます。
車を売却する際には還付金にも注意が必要
車を売却する際、つい売却価格にだけ注目してしまうという方が多いのですが、車の売却時にはいろいろな税金も関係してきます。たとえ売却価格が高かったとしても、結果的には還付される税金分が上乗せされているだけかもしれません。
税金は車を売却する時期や支払金額によっても変わりますが、数万円の還付金を受け取ることができる場合があります。そのため、受け取ることのできる還付金の種類、また金額を大まかに把握しておくことは重要です。
上記の点を踏まえておけば、売却価格の内訳を見て還付金が売却価格に含まれているのかどうか、また税金の取り扱いについて事前に買取り業者に確認することができます。その結果、車の売却で損することを防げます。
還付される税金①:普通自動車の自動車税
普通自動車の自動車税は、排気量によって定められた税金を都道府県に納める地方税のことです。毎年4月1日時点で使用者として登録されている人が支払うことを義務付けられています。
車の所有者は、その年の4月~翌年3月分を5月末ごろまでに納めなければなりません。前払いで納めるため、支払い済みの期間内に車を売却した場合には未経過分を還付してもらうことができます。
ただし、自動車税は月割り計算のため、残りの期間が1ヶ月未満の場合には還付されません。
なお、国から還付金を受け取ることができるのは廃車時のみです。そのため、車を売却するときは買取業者の査定金額に自動車税の未経過分が含まれることになります。
しかし、自動車税の未経過分を支払うことは業者側に義務付けられているわけではないので、売却金額として提示された中に自動車税分も含まれているのか必ず確認することが大切です。
軽自動車の自動車税は、普通自動車とは違い一律で金額が決まっていて、届け出を行った市区町村に払う地方税となります。毎年4月1日時点で使用者として登録されている人が支払うことを義務付けられているのは普通自動車と同じです。
しかし、軽自動車の自動車税には還付金がありません。普通自動車は月ごとの自動車税を1年分まとめて支払いますが、軽自動車は月割りではなく、1年単位での課税となっているためです。
普通自動車の自動車税は支払い済みの税金を月で割り、未経過の期間分が返金されます。そのため、支払った金額によって還付金額も変わってきます。
例を挙げると、4月中に車を売却した場合には5月~翌年3月までの11ヶ月分が還付されるということです。以下が計算式となります。
なお、新車登録した時期や新車登録してからの経過年数によっても、税金額は変わります。
2019年10月1日以降に新車登録した普通自動車は税金額が引き下げられているのに対し、新車登録から13年以上が経過した車や、10年を超えるディーゼル車は15%増税となっています。
新車登録から年数が経過すると増税となるのは、古い車になるほど環境負荷が大きくなるという理由からです。
まず当然のこととして、自動車税をきちんと納めていることが還付を受けるための絶対条件です。自動車税が未納の場合は車を売却することはできません。
また、自動車税を納めると「自動車納税証明書」が発行されますが、これは車を売却する際に買取業者に提出する必要のある書類です。この書類を買取業者に提出すれば、税金の還付分を査定価格に加えてもらうことができます。
自動車納税証明書を紛失していることに気づいたなら、再発行手続きを行いましょう。税金をきちんと納めていれば再発行してもらうことが可能です。
ただし、再発行までには日数がかかるため、査定前に必ず確認をし、紛失していた場合には早めに都道府県の自動車税事務所やその支所、または各県税事務所で手続きを行うことが大切です。
請求用紙が各事務所で準備されていますので、必要事項を記入の上、車検証とともに窓口に提出することで、再発行を行うことができます。
車を売却する際のさまざまな書類の中で注意すべきなのは、自動車税の「還付委任状」です。
買取業者からの書類の中にこの書類があった場合には注意し、還付を受けたい場合には押印しないようにしましょう。
これは、自動車税の還付金を受けないという書類になります。還付委任状に押印してしまうと、自動車税は買取業者が受け取ることになってしまいます。
還付される税金②:リサイクル料金
リサイクル料金とは、自動車リサイクル法に基づき、車を廃車や解体する時にかかるエアバッグなどの処理費用を車を購入した際に支払う預託金のことです。
リサイクル料金の内訳は「情報管理料金」「資金管理料金」「シュレッダーダスト料金」「フロン類料金」「エアバッグ類料金」となります。
リサイクル料金のうち「情報管理料金」と「資金管理料金」は、新車のオーナーが負担することになっています。そのため、新車を売却する場合は「シュレッダーダスト料金」「フロン類料金」「エアバッグ類料金」のみを還付金として受け取れます。
中古車を売却する場合は、中古車購入時に支払った「シュレッダーダスト料金」「フロン類料金」「エアバッグ類料金」がすべて還付されることになります。
なお、リサイクル料金が査定金額の中に含まれているのか、それとも別で還付されるかは買取業者によって異なります。そのため、必ず買取業者に確認をするようにしましょう。
また、リサイクル料金を納めた証拠であるリサイクル券がないと、リサイクル料金の還付を受けることができません。リサイクル券は次の車の所有者に渡す必要もありますので、紛失しないように保管しておきましょう。
リサイクル料金は、フロン類を無害化したり、別の材料や原料にしたりするための処理への手間料金として用いられています。
車のパーツの約90%はリサイクルが可能です。
例えば、シュレッダーダスト(車を破砕した際のくず)は熱エネルギーになったり、くずからガラスなどを取り出したりして利用されています。
また、エンジンやボディは中古部品として使用されたり、鉄やゴムなどの原材料として加工されたりします。v
還付される税金③:自賠責保険料
自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法に基づき、公道を走るすべての自動車に加入が義務付けられている強制保険です。
新車登録時や車検時に、次回車検までの期間分を支払うことになります。
保険の期間が3ヶ月以上残っていれば、すでに支払った保険料の一部が車の売却価格に上乗せされて戻ってきます。
ただし、自賠責保険は車にかかっている保険であるため、車が存在している限り保険自体は解約されません。そのため、保険料が戻ってくるとはいえ、厳密には還付ではないと言えます。
なお、自賠責保険料が査定価格に上乗せされているのか、買取業者から説明してもらえない場合もあるでしょう。見積もりの内訳をよく確認し、不明であれば買取業者に確認することが必要です。
還付されない税金①自動車重量税
自動車重量税とは、車の重さ、用途の区分、経過している年数に応じて支払う国税のことです。新車購入時や車検の際に支払います。
自動車重量税は車を売却した際には還付されません。これは普通自動車も軽自動車も同様です。
ただし、車を廃車する場合には還付金を受けることができます。
還付されない税金②:自動車取得税
自動車取得税とは、50万円以上の普通自動車、軽自動車を購入した場合に課せられる税金のことです。
新車で購入した場合と中古車で購入した場合でそれぞれ税率は異なります。そして、中古車の場合は新車登録からの経過年数によっても税率が変わります。
自動車取得税も、車を売却する際には還付金がありません。
なお、消費税が10%に上がったことに伴い、自動車取得税は廃止となりました。現在は環境性能割(車を購入した際に課税される、自動車税の中に新たに追加された税金)が導入されています。
任意保険は解約か引継ぎ手続きを
自賠責保険だけでは事故の際の補償が足りなくなる場合があるため、一般的には任意保険にも加入している方がほとんどです。
保険料が安くなるため年間契約をしているケースが多く、先払いした任意保険の期間が1ヶ月以上残っていれば、解約時に未経過分の保険料の一部を返金してもらうことができるでしょう。
ただし、自動車税や自賠責保険とは異なり、任意保険は買取業者で手続きを行ってはもらえませんので、自分で契約した保険会社に連絡をする必要があります。
任意保険料は保険が開始された日(1/20が開始日であれば毎月20日)から計算されることが多いため、手続きが遅れると1ヶ月無駄な保険料がかかってしまいかねません。そのため、保険会社には早めに手続きを依頼することが重要です。
ただし、車を売却し別の車に乗り換える場合は、解約ではなく「車両入れ替え」の手続きを行ういましょう。解約してしまうとこれまで積み上げた等級がリセットされてしまい、新たに任意保険を契約する場合に保険料がアップしてしまうこともあります。
もし車の売却だけして乗り換えをしないという場合は、「中断証明書」の発行を保険会社に依頼しましょう。次に車を購入することになった際、等級を引き継ぐことができます。
還付金で損をしないために車売却時の手続きを理解しておく
車を売却する際の手続きの流れをあらかじめ知っておきましょう。
流れを理解し、どの書類がいつ必要か分かっていれば、手続きを止めてしまうことなくスムーズに進めることができます。
売却が完了する時期によって還付される金額も変わってくるので、最大限の還付金を受け取るためにも重要なことです。
買取業者に依頼する場合の売却の流れは下記となります。
- 買取業者を選ぶ
- 車の査定をしてもらう
- 必要書類を提出し手続きを行う
- 車の引き渡し
- 入金の確認
買取業者にはいつまでに売却したいかも明確に伝えることが大切です。
普通自動車の場合は自動車税の還付を受けることができますが、売却する時期によっては売却後に自動車税を払わなければいけないケースがあるため注意が必要です。
なぜなら、自動車税は毎年4月1日時点での車の所有者から徴収されるものだからです。
事務処理の関係で名義変更が4月1日以降になってしまうと、納税の義務が発生します。それは売却が決まっており、すでに自分の手元に車がない場合であっても同様です。
自動車税を一度支払ってから返金してもらうという余計な手続きが必要となってしまうことがあるので注意しましょう。
普通自動車を売却する際は、4月になる前に名義変更が完了するよう余裕をもって手続きをすることが大切です。
ただし、軽自動車には自動車税の還付がないため普通自動車以上に注意が必要です。手続きが遅れて4月に入ってからの名義変更となってしまうと、まるまる1年分の無駄な軽自動車税を払うことになってしまいます。
普通自動車よりもさらに期間に余裕をもって、2月くらいまでに売却するようにすれば安全です。
売却時期を考える上で、自動車税だけでなく自動車重量税についても考慮が必要です。
自動車重量税は売却時には還付がなく、車検のたびに支払いが発生する税金です。そのため、車検後にすぐ売却するなら、車を使用しない期間の余分な自動車重量税を支払ってしまうことになります。場合によっては、2年分の自動車重量税を損することになりかねません。
上記のことも踏まえて、車の売却時期をよく検討しましょう。
新車登録から10年以上経過した車を売却する場合、買取業者から「処分費用がかかる」「査定額は0だけど引き取ります」と言われたら注意が必要です。
売却する時期が4月から数ヶ月以内であったり車検がまだそれなりの期間が残っていたりするなら、廃車にしたほうが還付金が受け取れるケースがあるからです。
廃車にすると、自動車税、自動車重量税、自賠責保険料が返金されますが、場合によってはそれが100,000円を超えることもあります。
また、車を処分する費用はリサイクル料金として支払い済みであるため、処分費用が別途かかることはありません。
そのため、10年以上経過している古い車の場合には、売却価格と廃車にした場合の還付金額を比べてみるといいでしょう。
車売却時に税金がかかるケースもある
場合によっては車の売却時に還付どころか税金がかかってしまうケースもあります。
以下では、かかってしまう税金について紹介します。
所得税とは、1月1日~12月31日までの1年間に得た個人の所得から、所得控除を引いた金額に課税されるものです。
車の売却は給与以外の収入になります。そのため、使用目的によっては所得税がかかる場合もあります。
所得税が課税されるのは以下のような場合です。
- 業務用(仕事でしか使用しない)
- レジャー(趣味のコレクション用)
- プレミアがつく特殊な車(売却価格が新車で購入した金額を上回るようなケース)
通勤や家族の送迎、買い物など、日常生活で使用する場合には所得税の課税対象とはなりません。
また、日常生活以外の使用目的でも売却価格が購入価格よりも50万円を上回る場合は、特別控除として課税されます。
もし所得税の課税対象であるなら確定申告をしなければなりません。確定申告は翌年の2月16日~3月15日までの間に申告し、税金を納める必要があります。
一般的に買取業者は消費税が含まれた税込価格で買い取りを行っており、買取業者が消費税を納めています。そのため、基本的に個人であれば消費税について考えなくても問題はありません。
ただし、事業などでの売却になると、支払い義務が発生する可能性があるため、頭の片隅に入れておきましょう。
買取業者は、消費税の仕組みを利用し利益を得ていることがあります。もし消費税分を査定価格に上乗せしてもらえないか交渉してみようと思う場合には、査定価格に消費税が含まれているのかどうか、買取業者に確認してみてください。