目次
車を売却する際には車検証などの書類が必要ですが「戸籍謄本」の提出が求められるケースもあります。それはどういった場合に必要になるのか、詳しく解説していきます。
また、戸籍謄本の取得方法についても説明します。
車の売却では、他にも「住民票」や「戸籍の附票」などが必要な場合もあります。それらの書類はどんなときに必要なのかも併せて説明します。
戸籍謄本とは?
戸籍は個人の身分を証明する書類です。そのため、相続や婚姻などの際に身分関係の証明書類として用いられることがあります。
戸籍内の全員の氏名や生年月日、続柄などが全て記載されているのが「戸籍謄本」です。全部事項証明書とも呼ばれています。
また、戸籍の一部を抜粋したものが「戸籍抄本」です。
同じ戸籍に入ることができるのは「2世代まで」と、戸籍法という法律で決まっています。そのため、祖父母もしくは孫の個人情報は同一の戸籍謄本内には記載されません。
戸籍謄本の有効期限
戸籍謄本は基本的に有効期限はありません。しかし、提出先によっては有効期限を設けていることがあるので注意してください。
車の売却で戸籍謄本が必要となる場合、提出先は運輸支局になります。
この運輸支局では、戸籍謄本の有効期限を「取得日から3ヶ月以内」と決めています。そのため、もし期限を過ぎてしまったら、再度取得しなければならないので気を付けましょう。
車の売却には基本的に戸籍謄本は不要
車を売却する際の必要書類は、普通車と軽自動車で異なります。
- 車検証
- 自賠責保険証明書
- リサイクル券
- 自動車税(種別割)納税証明書
- 印鑑証明書
- 実印
- 車検証
- 自賠責保険証明書
- リサイクル券
- 軽自動車税納税証明書
- 認印(実印でなくてOK)
普通自動車は動産として扱われ、購入時に国土交通省に登録しなければならないので、実印を用いることになります。
軽自動車の場合、軽自動車検査協会への届出で済むため、認印で問題ありません。
戸籍謄本は基本的には不要ですが、特別な事情がある場合に必要となってきます。
戸籍謄本が必要なケースとは?
車の売却で戸籍謄本が必要となるのは、車を購入してから氏名や住所が変更されている場合です。
車を購入した時に車検証に記載された住所や氏名と、現在の住所や氏名が異なっている場合は、車の本当の持ち主かどうかを公的に証明しなければ、売却することができません。
車検証記載の人物が車の売り主と同じだということを戸籍謄本で証明することができれば、売却は可能となるのです。
車を購入した当時と現在では、結婚や離婚で名字が変わっているという方もいるでしょう。
この場合、名字が変わった時点で手続きしていなければ、車検証には旧姓のままの氏名が記載されています。
住所に変更がなかった場合であっても、名字が変わっていれば車検証記載の人物と売り主が同一とは証明できません。
つまり、新名字の売り主と、車検証記載の車の所有者が同じ人物でであることを証明しなければならないということです。
戸籍謄本には婚姻歴や離婚歴なども記載されています。いつ結婚や離婚して名字が変わったのか、戸籍謄本にその履歴が記載されています。
戸籍謄本を見れば、事情を知らない第三者にも名字が変わった事実が一目瞭然です。そのため、売却手続きの際に提出が求められます。
親や配偶者が車を所有していて亡くなった場合、所有車を処分しなければならないこともあります。
家族なので、名義人が自分でなくても自由に車を売却できると思っている方もいるでしょう。しかし、現実はそう簡単にはいきません。
親や配偶者の車であっても「相続の手続き」が必要です。相続人が複数いる場合は、誰が車を相続するのかを決めなければなりません。
自分が相続人になった場合、始めに車の名義を亡くなった方から自分へ変更する必要があります。車を相続するには、亡くなった方の出生から死亡までの情報が記載された戸籍謄本が必要です。
他にも、相続人の印鑑証明書や実印など名義変更に必要な書類を準備していきます。車は動産(財産)ですから、相続人全員の同意がなければ名義変更ができません。
さらに、「遺産分割協議書」が必要です。これはその車の価値が100万円以上ある時に必要となります。もし100万円以下の場合は「遺産分割協議成立申立書」が必要です。
名義変更手続きが終わったら、後は通常通りの流れで車を売却することが可能となります。
車を購入する際に、ローンを組んで分割で購入金額を支払っているという方もいるでしょう。
ローン返済途中であっても、車を売却することは可能です。ただし、その際はローンの完済が必要条件となります。
また、ローン返済中は車の所有者がディーラーや信販会社になっている場合が多いです。その場合は車の購入者は使用者として車検証に記載されています。
しかし、車の売却は車の所有者にしか許されていません。そのままではディーラーや信販会社にしか車を売却する権利がないので、購入者は売却できないということです。
車の名義が異なるので、所有者をディーラーや信販会社から購入者に変更してもらう必要があります。この手続きを「所有権解除」と言います。
所有権解除するにはディーラーへ連絡して、ローンを完済後に名義変更などの必要な手続きを行ってもらう必要があります。その際に車検証記載の住所と現住所や使用者名に変更がある場合は、つながりを証明できる住民票もしくは戸籍謄本などが必要になります。
車を売却する時以外に廃車にする場合も、戸籍謄本が必要となるケースがあります。
売却時と同様に、車購入後に結婚もしくは離婚をして、車検証に記載されている氏名と現在の氏名が異なる場合が当てはまります。
親や配偶者などの血縁者が亡くなった場合、所有していた車を廃車にする際にも同じく戸籍謄本が必要となってくるので、覚えておきましょう。
廃車にする際は、車の登録を抹消する手続きが必要です。その登録抹消手続きには2つの種類があります。
- 車の使用を一時的に中止する「一時抹消登録」
- 永久的に登録を抹消する「永久抹消登録」
廃車の場合、車を解体して使用できなくするため永久抹消登録の手続きを行うことになります。
戸籍謄本の取得方法
戸籍謄本の取得は、基本的に本籍地を管轄する市区町村の役所に直接出向いて手続きを行います。
役所は平日の昼間しか窓口が開いていないので、時間的に自分で行けない場合は代理人に依頼して取得することも可能です。その際は委任状が必要です。
また、本籍地が遠方の場合などは直接出向かなくても、郵送の手続きを取れば取得することもできます。
他にも、マイナンバーカードを持っていればコンビニのマルチコピー機を使って取得する方法もあります。(※地域によって対応していない場合あり)
戸籍謄本は、本籍地を管轄する市区町村の役所や、出張所の窓口で取得することが可能です。その際に必要な持ち物は以下になります。
- 印鑑(実印ではなく認印でもOK)
- 本人確認書類(運転免許証や健康保険証、パスポートなど)
- 手数料(数百円程度かかります。)
窓口のそばには申請書が置いてあるので、1枚取って氏名や本籍地など必要事項を記載します。
申請書を窓口に提出し、しばらく待つと戸籍謄本が発行されます。受け取る際に内容に間違いがないか確認し、手数料を支払いましょう。
役所は平日しか開いておらず、時間が取れないので自分で手続きに行けないという方もいるかもしれません。戸籍謄本は代理人でも請求できるので、家族などに依頼して取得してきてもらうことも可能です。
代理人が手続きに行く際は、本人が依頼したことを証明する委任状と印鑑、代理人の本人確認書類が必要です。委任状の書式はネットからでもダウンロードできるので、印刷後必要事項を記入して持参しましょう。
記入例なども記載されているので間違えないように慎重に作成してください。代理人が取得に行く場合は、戸籍謄本を何に使うのかを明確にする必要があります。
この場合、「車の売却」が使用目的になります。
遠方に本籍地があって、戸籍謄本を直接取得しに行くのは難しいという方もいるでしょう。また、本籍地の近くに取得を依頼できる人もいないという場合には、郵送という手段があります。
郵送で依頼する場合は準備するものがあります。
- 請求書
- 本人確認書類のコピー
- 手数料
- 返信用封筒
請求書は市区町村の役所のホームページからダウンロードできます。本籍地や請求者などの必要事項を記載して印刷します。
パソコンがない場合は自筆も可能です。コピー用紙などの白い紙に以下の必要事項を記載すれば、請求書の代わりになります。
- 必要な戸籍の本籍
- 筆頭者
- 除籍等の区別
- 必要枚数
- 請求の理由
- 請求者の氏名、住所、連絡先 など
返信用の封筒は忘れずに切手を貼ってください。
郵便事故が心配なら、簡易書留や特定記録郵便などの利用がおすすめです。手数料は定額小為替を必要料金分郵便局が購入し、同封します。
役所の所在地によっては手元に届くまで数日間かかることが多いので、時間に余裕を持って依頼しましょう。
戸籍謄本を発行できるマルチコピー機を、管轄内のコンビニに設置している市区町村もあります。
ただし、マルチコピー機を使って戸籍謄本を取得するには「マイナンバーカード」もしくは「住民基本台帳カード」が必要となります。
マイナンバーカードのみ可能としている市区町村もあるので、確認しておきましょう。また、マルチコピー機が設置されているコンビニも限られているので、事前に役所に問い合わせておくと効率的です。
マルチコピー機が休止している時間帯もありますが、コンビニであれば時間や曜日を問わず、いつでも手続きに行けるので便利です。
- まずはマルチコピー機の「行政サービス」のボタンを押し、メニュー選択をしてマイナンバーカードを読み取ります。
- 市区町村の選択、暗証番号の入力などを順に行います。
- そして手数料を入金すると、コピー機から戸籍謄本が印刷されてきます。
戸籍抄本との違い
戸籍謄本と似たような書類に戸籍抄本があります。似た名前でも内容は大きく異なります。
戸籍謄本は戸籍に入っている全ての方の氏名や住所などが記載されています。
それに対し、戸籍抄本は戸籍内で指定した方のみの住所や氏名などが記載された書類です。
また、戸籍謄本は「戸籍全部事項証明」と呼ばれていますが、戸籍抄本は「戸籍一部事項証明」と呼ばれています。
車の売却の場合、自分名義の車を売却するだけならば、戸籍謄本でなくても戸籍抄本で問題ないでしょう。
戸籍謄本を出した場合、必要のない家族の個人情報まで買取店に明かすことになるので、個人情報流出を心配するなら戸籍抄本にしておくのが無難です。
しかし、親や配偶者などの車を売却する場合、自分と家族の関係性を証明する必要があるので戸籍謄本が必要です。
引っ越しにより車検証の住所が異なる場合は別書類が必要
戸籍謄本は車検証記載の氏名と現氏名が異なる場合や、亡くなった家族の車を相続して売却する際などに特別に必要となる書類です。
他にも、引っ越しをして車検証記載に住所と現住所が異なる場合も、別途書類が必要となってくるので覚えておきましょう。また、引っ越し回数に応じて必要な書類が異なります。
1回のみの引っ越しの場合は「住民票」、2回引っ越した場合は「住民票」や「住民票の除票」が必要です。
引っ越しの回数が複数回に及ぶ場合は、住所の履歴が乗った「戸籍の附票」を取得しなければなりません。
車を購入後に1回引っ越しをした場合でも、車検証の住所変更をしていなければ車検証には前の住所が記載されたままです。現住所とは異なるため、そのままでは車売却の手続きはできません。
売却時には、車検証の住所から現住所へ転居したことを証明する住民票の提出が必要です。
住民票には前の住所から転出し、現住所へ転入したという経緯が記載されており、一つ前の住所がどこかも分かります。
住民票を見れば車検証記載の住所と現住所をつなぐことができるので、売却が可能となります。
車を購入した後に引っ越しをして住所が変わり、再度引っ越しをした場合も車検証記載の住所と現住所は異なります。その上、住民票を取得しても現住所と一つ前の住所しか結びつけることができません。
そうなると、一つ前の住所地を管轄する市区町村の役所で「住民票の除票」を取得しなければなりません。
住民票の除票とは、引っ越しによって転出した際に、住所登録が抹消された住民票のことです。過去に住民票があった役所では「住民票の除票」という呼び方をします。
「住民票」と「住民票の除票」この2つを取得することで、車検証記載の住所と現住所をつなぐことができます。
住民票の除票は保管期間は5年でしたが、2019年6月20日から150年に変更となりました。保存期限が既に過ぎてしまったものは保管されていないかもしれません。そのため、取得前に役所に問い合わせて確認しましょう。
2回以上引っ越しをしている場合は、書類を揃えるのが大変です。
車購入時の住所から現住所までの住所履歴を全てたどり、住民票や住民票の除票を揃えなければならないので、時間と費用がかかってしまいます。
そのため、住民票や住民票の除票ではなく「戸籍の附票」を入手すれば良いとされています。
戸籍の附票とは、過去の住所の履歴が全て記載されている書類です。
戸籍の附票は、本籍地を管轄する市区町村の役所で取得できます。ただし、本籍地が途中で変わっている場合は住所の履歴が途切れてしまうので注意が必要です。
以前の本籍地における住所の履歴は、以前の本籍地を管轄する市区町村の役所で取得しなければなりません。
遠方で直接手続きができない場合は、郵送でも可能なので確認してみましょう。
また、戸籍の附票の保管期間は5年でしたが、2019年6月20日から150年に変更となりました。保存期限が既に過ぎてしまったものは保管されていないかもしれません。そのため、取得前に役所に問い合わせて確認しましょう。
場合によっては車検証記載の住所まで履歴をたどれないかもしれません。その場合は、できる範囲で住所履歴をたどった旨を記載した「理由書」を付けることで手続きが進められる場合もあるので、買取業者などへ確認してみましょう。
車の売却に必要な書類は、場合によっては遠方まで出向いて取得しなければならないものもあります。また、郵送で依頼するにしても予想以上に日数がかかるので、なかなか揃わないということもあるでしょう。
車検証なども思いがけず紛失していることに気づいたら、再発行の手続きが必要となり、さらに日数が必要となります。
売却予定がある程度決まっているなら、早めに必要書類を把握し、取得に向けて動きだしておくことが大事です。