愛車の売却を検討している人の中で、任意保険に加入している方は多いでしょう。車を売却したら、任意保険の手続きも必要です。
どのような手続きをするかは、車を売却した後どうするかによって変わってきます。
この記事では、車を売却した後のケース別にどんな任意保険の手続きが必要かについて紹介します。
これから車を売却するのであれば、自分はどんな手続きが必要なのかチェックしておきましょう。
車を売却する時の任意保険の手続き方法について
車を売却する方の事情は様々でしょう。車を買い替える方もいれば、もう車には乗らないという方もいます。
その時の状況によって、任意保険の取り扱いは変わってくるので、主要なケース別に任意保険の手続き方法について紹介します。
車を買い替えるのであれば、「車両入替」と呼ばれる手続きが必要です。
任意保険は車両に対してかけられる保険で、車両によって保険料も変わってきます。
車両入替とは、記名被保険者はそのままで、車両情報のみを変更する手続きです。次の車の納車日が決まり次第、手続きを進めましょう。
車を乗り換えた時点で、新しい車の保険料を支払わなければなりません。月の途中で乗り換える場合、保険料は日割りで計算されます。
もし前の車両情報のままで車両入替の手続きを行っていないと、いざ事故を起こして保険を使おうと思っても適用されない恐れもあります。
車を売却してから車を購入しなければ、任意保険も必要なくなります。売却してから車にもう乗らない場合は、速やかに任意保険の「解約手続き」を進めましょう。
ただし、当面は車に乗らないけれども、もしかするとまた車が必要になってまた所有するかもしれないという方の場合には「中断証明書」を発行しておくことをおすすめします。
中断証明書を発行してもらうと、今までの等級を10年間引き継げます。そのため、7等級よりも上の等級を持っているのであれば、中断証明書を発行しておきましょう。
もし中断証明書の手続きをせずに、今後また車が必要になって任意保険に加入したとすると、新規契約の扱いになるので6等級からのスタートになってしまいます。
中断証明書の発行に費用はかかりません。少しでも車に乗る可能性があれば、念のため中断証明書を取っておけば、いざという時に安心です。
車を買取業者などに売却するのではなく、家族や知人に譲渡するという方もいるでしょう。この場合、任意保険の名義を次の所有者に変更する必要があります。
保険会社に連絡すると、名義変更手続きのやり方について案内されます。その指示に従って手続きをするだけなので、難しくはありません。
ただし、等級を引き継ぐことができるのは、配偶者や同居の家族だけです。別居の家族や友人の場合は等級を引き継げないので注意しましょう。
また、もう一つの注意点としては、親が子供に車を譲渡する場合です。もし年齢や運転者限定の特約を付けていると、子供に名義変更することで保険料が上がる可能性があります。
それは、10~20代は事故リスクが高く、保険料も高く設定されているからです。親の年齢の場合は保険料が下がるけれども、子供の年齢だと保険料が上がってしまう恐れがあります。
名義変更してお得になるかどうかは、保険会社などの用意するシミュレーションなどを使って慎重に検討しましょう。
車を新車に買い替えようと思っている場合、任意保険の「新車割引」を活用しましょう。
新車割引は名前の通り、従来よりも保険料が割引されるサービスなので、とてもお得です。
ただし、新車割引が適用されるためには2つの条件をクリアしなければなりません。
②初度登録年月もしくは初度検査年月の翌月を始期として25カ月以内の車であること
※保険会社によっては条件が異なる場合があります。
新車割引については、自分で手続きする必要はありません。車両入替の際に車の情報を申告すれば、保険会社のほうで適用対象かどうかチェックしてくれます。
新車割引でどの程度安くなるかは、保険会社によって変わりますが、中には10%以上割引になるところもありますので、チェックしてみてください。
車に今後絶対に乗らないというのであれば、売却した段階で速やかに任意保険の「解約手続き」を進めましょう。
任意保険を満期日前に解約すれば、残期間分の保険料は返還されます。これを「解約返戻金」と言います。
解約返戻金は、年間の保険料に1から短期率を差し引いたものをかけた額です。短期率という言葉をあまり聞いたことがないかもしれませんが、契約の期間途中で解約した場合に返戻金を算出するための係数です。
短期率は経過期間によって変わります。7日まで~12カ月まで細かく分かれています。
契約してから期間が経過すると短期率が大きくなる、つまり返戻金が少なくなる仕組みです。そのため、車を手放したら早く手続きをしたほうがお金も多く戻ってきます。
車を買い替える際の任意保険の車両入替の手続きについて
車を売却する方の中で、新しい車に乗り換えるという方は多いでしょう。車を買い替える際は、任意保険の車両入替の手続きが必要です。
では、車両入替とはどのような手続きなのでしょうか?ここから詳しく見ていきます。
また、車両入替をしないとどんな問題があるのかも紹介します。
車を買い替えた場合、任意保険は新しい車両に自動的に引き継がれるわけではありません。車両入替の手続きをすることで新しい車に対する補償が担保されます。
自賠責保険や任意保険はどちらも車両に対してかけられている保険です。新しい車が納車されて運転する時までには、車両入替の手続きを進めておかないと、保険に関するトラブルが起こりやすくなるので注意しましょう。
もし車両入替の手続きをしていないと、昔の車両に対する保険のままとなります。つまり、買い替えた車で事故を起こした場合、対象車両が異なるため保険が下りません。
任意保険の補償が受けられないとなると、事故による損害はすべて自分持ちになります。そのため、人身傷害保険など自分や同乗者のけがの治療費を保険金で賄えません。
加入が義務となっている自賠責保険では、対人賠償は補償されます。しかし、自賠責保険の場合は相手が死亡しても最大3,000万円までしか補償されません。
相手が死亡した場合、賠償は1億円前後になることもあります。自賠責保険でカバーできないところは、任意保険が使えないとなると自己負担となってしまいます。
このように車両入替の手続きをしていないと、事故を起こしても任意保険が使えないので経済的な負担が大きくなるでしょう。そのようなリスクを避けるためにも、車両入替の手続きは忘れずに行ってください。
車を買い替える場合、車両入替の手続きが必要です。ただし、車両入替をするにあたって一定の条件をクリアしなければなりません。
まずは、入替前の車を手放していることです。今まで乗っていた車を売却したり譲渡したりしていれば問題ありません。
一方、車を追加購入する場合には車両入替はできないこととなっています。それは前の車を手放していないからです。
また、入替前後の車両の用途が同じでないといけません。自家用5車種の中に収まっていないといけないのですが、自家用車であれば問題ないです。
ちなみに、自家用5車種とは以下のものです。
・自家用小型乗用車
・自家用軽四輪乗用車
・自家用小型貨物車
・自家用軽四輪貨物車
車両入替をするタイミングにも決まりがあるので注意してください。そのタイミングについては保険会社によって若干違いがありますので、加入している保険会社に問い合わせてみましょう。
一般的には、次の車を取得した翌日から30日以内に手続きしなければいけない場合が多いです。
乗り換えることが決まり、次の車が納車されるまでに手続きを済ませておくといいでしょう。なぜなら、納車前に手続きを済ませておけば納車した当日から補償が受けられるようになるからです。
もし期間内に車両入替の手続きをしていないと、新規契約をすることになってしまいます。そうすると等級が6等級からのスタートになるので、7等級以上ある方にとっては結果的に損をしてしまいます。
車両入替の手続きをするにあたって、必要書類がいくつかあります。不備のないように準備しておきましょう。
車検証には車両に関する情報が網羅されています。しかし、車の買い替えの場合は車検証が納車前に手に入らないという方もいるかもしれません。
その場合、販売店の担当者に「任意保険で車両入替の手続きをしたい」と言えば、新しい車の車検証のコピーを渡してくれるでしょう。
任意保険の中には、走行距離に応じて保険料が決まる商品もあります。この場合、乗り換え前後の走行距離の分かる書類を提出するよう求められるかもしれません。
その場合、オドメーターの写真などを準備しておいてください。オドメーターは積算走行距離計のことで、車が製造されてから現在に至るまでの走行距離を示す計器です。
車両入替をするのであれば、加入している保険会社にまずは連絡しましょう。「車両入替の手続きをしたい」と伝えると、オペレーターから手続き方法について案内されるのでその指示に従いましょう。
手続きの流れは、保険会社によって若干変わりますが、ほとんどの場合は保険会社から手続きの案内の入った書類が送付されます。書類に必要事項を記入して、必要書類を併せて返送する流れになるでしょう。
近年では、通販型の自動車保険も人気です。通販型の場合、手続きは全てネットで行うのが一般的です。車両入替の手続きもネットでできるので、パソコンやスマホを使って手続きしてください。
車両入替の手続きをうっかり納車日までにできないということもあるでしょう。仕事などで忙しかった場合、手続きするのを忘れることもあるかもしれません。
その場合、「自動担保特約」を付けておくと安心です。
自動担保特約とは、乗り換えた車の納車日の翌日から30日以内に車両入替の手続きをすれば、乗り換え前の保障が適用される特約のことです。
納車前に車両入替の手続きをせずに事故を起こしても、納車の翌日から30日以内であれば保険金が下ります。いざという時のために自動担保特約を付けておくと安心です。
ただし、30日を経過すると自動担保特約を付けていても補償が受けられません。特約があっても、できるだけ速やかに車両入替の手続きを済ませておくようにしましょう。
車を売却した時の自賠責保険の扱いについて
車を公道で運転する以上、自賠責保険への加入は義務となっています。もし自賠責保険に加入せずに公道で運転すると、処罰の対象となります。
車を売却した場合、自賠責保険の扱いはどうなるのでしょう?
どのような手続きが必要になるのか、以下にまとめました。
自賠責保険は車両に対してかけられている保険です。そのため、車を廃車にしない限り、自賠責保険は解約できません。もし車を売却するのであれば、自賠責保険の名義を次の所有者に変更します。
一方で車のコンディションが悪く、買取業者に査定に出しても値が付かないということもあるでしょう。この場合、今まで乗ってきた車は廃車処分される可能性が高いです。
廃車にする場合、自賠責保険の解約手続きをする必要が出てきます。解約手続きは、加入している保険会社に連絡して郵送で行うのが一般的です。
ディーラーなど、お店によっては保険会社の代理店もしているところが多いです。この場合、ディーラーで解約手続きができるはずなので相談してみましょう。
車を売却する時は、任意保険は自分で車両入替の手続きをしなければなりませんが、自賠責保険の名義変更手続きは、ディーラーや買取業者など車を売却するお店で通常やってくれます。
また、車を乗り換える場合、購入した車の自賠責保険の名義を自分に変更する必要があります。名義変更手続きも販売店が保険会社の代理店になっている場合が多いので、こちらで手続きしてくれるでしょう。
ただし、家族や知人に車を譲渡するような個人間取引の場合、自分たちで名義変更しなければなりません。
この場合、自賠責保険を取り扱っている損害保険会社の営業所や支店に窓口があるので、そちらに行って手続きをしてください。
また、先ほど紹介したように販売店では保険会社の代理店もしていることがありますので、こちらで手続きをしてもいいでしょう。
自賠責保険料は、次の車検の分までを前納する形で支払っています。もし満期になる前に売却した場合、残り期間の保険料はどうなるのか気になるでしょう。
通常は、買取業者など売却先のほうで残り期間の保険料は返還してくれます。それは査定金額に上乗せする形で返還されることが多いので、反映されているかは見積書などで確認しましょう。
ただし、自賠責保険の残り期間が3カ月を切っていると、基本的には返金されないので売却のタイミングの参考にしてみてください。
まれに自賠責保険の残り期間が3カ月以上あったとしても返還してくれない買取業者もいます。そのため、きちんと見積書を確認することが大事です。
高齢者の車売却時における任意保険の注意点について
近年、高齢者ドライバーの事故が社会問題になっていることもあり、高齢者の中には自主的に免許を返納する方も増えてきています。
免許を返納すると車も不必要なので、売却することになるでしょう。この場合、任意保険を解約しても問題ありません。
ただし、家族がいるなら任意保険を引き継ぐことも可能です。以下で詳しく説明します。
免許の返納は運転免許センターもしくはお住まいを管轄している警察署で受け付けています。
返納手続きをする際には、運転免許証を持参してください。
運転免許センターや警察署に返納申請用紙がありますので、こちらに必要事項を記入して提出しましょう。
また、希望すれば運転経歴証明書を発行してもらえます。運転経歴証明書を作るには、3cm×2.4cmの写真と手数料として1,100円が必要です。
運転経歴証明書は運転免許証と同じく身分証明として使えるので、作るのがおすすめです。
免許を返納して車に乗らないのであれば、任意保険を解約しても問題ありません。ただし、もし家族がいて家族が車を運転する場合には任意保険を引き継ぐことも可能です。
記名被保険者の「配偶者」や「同居家族」であれば、任意保険を引き継ぐことができます。
特に等級が7等級以上持っていれば、新規契約する時と比較して保険料がお得です。通常新規契約の場合、6等級からのスタートになります。
6等級であれば19%の割引率です。もし最高の20等級を持っていれば、63%の割引率になり保険料が半額以下になります。
今運転する家族がいなくても、任意保険の中断証明書を作っておけば10年間は等級を保持できますので、それを家族に引き継げます。