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車の所有者の中には未成年の方もいるかもしれません。もし未成年の方が自分の車を売却しようと思った場合、成人している方と同様の手続きでいいのでしょうか?
この記事では、未成年者が車を売却するにあたっての手続き面での注意点についてまとめました。
また、2022年4月1日から日本における成人年齢が変わりました。成人年齢の引き下げで、車の売却がどう変わっていくのかについても見ていきましょう。
未成年が車を売却するのは可能?
未成年の方が車を売却する場合、成人の方の手続きとは若干異なります。それは、「親権者の同意書」が必要になる点です。
また、車の名義が誰になっているかによっても手続きの方法が異なります。
未成年の方が車を売却する場合、どうすればいいのか詳しく見ていきましょう。
親の同意があれば車の売却は可能
結論から言うと、親権者の同意があれば未成年者でも車の売却はできます。
未成年者は法律上、契約に関して一定の制約が設けられています。そのため、未成年者単独での売却はできません。
成人である親権者の同意があれば、成年が売買契約をしたのと同等の扱いとなるため、もし未成年者が車を売ろうと思うのであれば「親権者の同意書」を作成しましょう。
車を売却するにあたっての前提条件として、その車の名義が当人であることが挙げられます。
しかし、未成年者の場合は普段運転している車でも名義は親であることもあるでしょう。この場合、所有者に黙って車を売却することはできません。
所有者である親に相談して、承諾をもらってから売却手続きをします。
また、中にはローンを組んで車を購入している場合もあるでしょう。親権者の同意を得られれば、未成年者も条件次第でローンを組むことは可能です。
ただし、この場合はローンが完済していないと車両の名義はローン会社もしくはディーラーになっていることがほとんどです。そのため、いったんローンを完済して名義を自分にしてから売却することになります。
車の買取価格がローンの残債よりも多ければ、完済できるので問題ありませんが、もし買取価格が残債よりも少ない場合は、ローンの組み直しなどが必要になります。
未成年者が車を売る場合、親権者の同意が必要です。この同意を得るタイミングについては特に制約がありません。
通常は親権者の同意書を作成して、売買契約を結ぶというパターンが多いです。しかし、いったん売買契約を交わして、のちに親権者の同意書を作成しても構いません。
ただし、多くの買取業者では親権者の同意を取り付けるのが先としています。親権者の同意があって、はじめて売買契約は効力のある確かなものとなるからです。
いったん売買契約を交わしても、親権者の同意が取り付けられなかった場合、契約は不完全なのでキャンセルされる恐れがあります。
もし未成年者が車を売るのであれば、まずは親権者の同意を取り付けると手続きがスムーズです。
なぜ未成年者が車を売却するときに親権者の同意書が必要なのかというと、それは民法の第5条「未成年者の法律行為」という条項にあります。
この中には、未成年者の売買については取り消すことが可能と記載されています。
法律上、未成年者は「制限行為能力者」という扱いです。制限の付いた法律行為は不安定なので、たとえ未成年者の署名・捺印のある契約書でも、親権者によって一方的にキャンセルすることができます。
買取業者からすると、せっかく車を引き取っても後々キャンセルされるリスクがあります。そのリスクを回避するために、成年者である親権者の同意を求めるというわけです。
成年者の同意があれば、大人と契約を交わしたのと事実上一緒になります。安易にキャンセルができなくなるので、買取業者としては安心して車を引き取れます。
既婚者であれば親の同意なしで車を売却できる
年齢は未成年者でも親の同意なしで車を売却できる場合もあります。それは、結婚している場合です。
結婚している未成年者は法律上、一人前の大人として扱われます。それは、結婚すると自分で所帯を持ち、生活することになるからです。
例えば、車の売買や住宅の購入、賃貸契約を交わすにあたって、いちいち親権者の同意がないといけないとなると面倒です。それで生活に支障をきたす恐れもあります。
そこで、年齢的には未成年者でも結婚していれば成年者として取り扱うこととなっています。
未成年の既婚者であれば、親権者の同意なしで車を売却することが可能です。ちなみに、のちに離婚した場合でもいったん成人扱いになった以上、それは取り消されないので成人扱いのままとなります。
つまり、結婚経験のある未成年者なら、親の承諾なしで車を売買できるということです。
フリマアプリで車の売却は可能?
近年、車の売買でフリマアプリやネットオークションを利用する方も増えてきています。
フリマアプリを利用すれば未成年者でも車を売却できるのでは?と思うかもしれませんが、それは難しいです。後々厄介なトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
フリマアプリやネットオークションでは年齢認証しないと出品できないサービスがあります。年齢認証では、公的な書類の提出が求められます。
中には親の保険証などを提出してごまかす場合もあるでしょう。しかしこのような年齢詐称をすると、大きなトラブルに発展するかもしれません。
未成年者の交わした契約は任意で取り消すことができますが、年齢詐称した場合はこれが適用できなくなります。
親権者の同意書の作成方法
未成年者が車を売却する場合、親権者の同意書が必要です。
この親権者の同意書を作成するにあたって、いくつか必要事項がありますので、以下で詳しく紹介します。
必要事項を網羅して正しく同意書を作成しましょう。
親権者の同意書に記載する内容は以下の4つになります。
①車両情報を記載
車検証に記載されている自動車登録番号・車名・型式・車台番号などを記入します。車検証を手元に準備しておくとスムーズに記入できます。
②手続きを行う未成年者の住所・氏名を記載
自分の住所と氏名を記載しましょう。
③同意書の作成日を記載
年月日の欄があるので、同意書を作成した日付を記載しましょう。
④親権者の住所と氏名を記載し、実印を押印
親権者の住所と氏名を記載し、実印を押印します。もし親御さんが何らかの理由でいない場合は後見人を立てて、その人の住所と氏名を記載します。
これらを記載すると、親権者の同意書として効力があります。
親御さんが両親とも健在という場合は、父と母両方の住所と氏名を記載しなければなりません。どちらか一方でいいと思っているかもしれませんが、両親ともにいる場合には、両者の同意を取り付けないといけないので注意してください。
片親の場合は、親権者1名の住所と氏名を記載すれば問題ありません。
親権者の同意書の用紙は、買取業者のほうで用意してくれることもあります。もし用意していない場合は、ネットでテンプレートがありますのでこちらを使うといいでしょう。
テンプレートを見ると、親権者の欄は2つ設けられているものが多いです。これは両親が健在の場合に両方の承諾が必要だからです。
親権者の同意書の中には、親権者の住所・氏名を記入する欄がありますが、実印での押印も必要です。
実印を使用するため、親権者の印鑑証明書も必要になります。忘れずに準備しましょう。
印鑑証明書を取得するには、印鑑登録していることが前提です。もし印鑑登録していなければ、登録手続きを早めに行うように親御さんにお願いしましょう。
また、親権者が両親の場合、2人は同じ苗字なので、印影で区別できる、複数の実印で押印しなければなりません。もし印鑑が一つしかなければ、もう一つ印鑑を用意しましょう。そして用意した印鑑を速やかに登録してください。
成人年齢引き下げで車の売却方法は変わるの?
2022年4月1日より、民法改正で成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
ニュースやワイドショーで「18歳でもローンやクレジットカード契約ができる」と話題になったのを目にした方も多いでしょう。
この民法改正で18歳から車の売却が親の同意なしで可能なのか、実情について見ていきます。
民法改正によって、18歳以上から成人扱いになりました。成人とは一人で有効な契約を交わせるという意味です。
未成年者の場合、契約するにあたって親権者の同意が必要です。しかし、18歳から成人となると、親権者の同意なしでも効力のある契約を交わせます。
この契約の中には、自動車に関する契約も含まれます。車の売買や登録など、18歳以上であれば全て一人で行えるようになりました。
高校生でも18歳以上であれば、成人扱いです。そのため、一人で車の売却手続きをして、売買契約を交わせます。
民法改正で18歳以上でも、車の売買契約を親権者の同意なしで手続きできるようになりました。しかし、これはあくまでも法律の世界での話です。
車の買取業界では今回の民法改正をどう考えているかというと、慎重な姿勢を崩さない傾向が見られます。
車の買取契約は、契約書を作成して車を引き取ることになります。もしかすると18~20歳のこれまで未成年者と言われていた人の中には、安易に契約を交わしてしまうこともあるかもしれません。そして、のちにキャンセルする可能性もあります。
その場合、引き取った車を返却するしないでトラブルになることも考えられます。
そのような場合を想定して、しばらくは親権者の同意を必要とするお店も多いかもしれません。
車売却を希望する方の中には、車の買い替えを検討している方も多いでしょう。18~20歳で次の車を購入する際、ローンを組もうと検討している方もいるでしょう。
今回の民法改正で、18歳以上であれば一人でローンの申し込みも可能となりました。ただし、ローンの申し込みはできても、実際審査に通るかどうかは話が別です。
18~20歳の方の中には、すでに仕事をしている方もいるでしょう。収入はあってもまだキャリアが浅いので、安定して給料をもらっていると判断されないかもしれません。そうなると、返済能力が不十分と判断される可能性が高いです。
審査をクリアするためには、十分な経済力を持った親権者に保証人になってもらう必要があります。
このように車を購入する場合、法律上は自分一人で手続きができますが、経済面がネックとなって、親権者の同意を求められるケースは今後も残ると考えられます。
未成年者が車を売るときの注意点
未成年者が車を売却する場合、親権者の同意が必要です。民法が改正されても18~20歳までの方はトラブル回避のため、今後も親権者の同意書を求められる可能性が高いです。
その他にも未成年者が車を売るにあたって注意すべきポイントがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
民法改正で18歳以上であれば、親権者が同席しなくても買取交渉が可能になりました。しかし、未成年者だけで商談をする場合、業者に足元を見られる恐れがあります。
「未成年者だから買い取りの相場なんて分からないだろう」と思って、安く買い叩いてくるかもしれません。
相場よりもかなり安い買取価格でも未成年者だと気づかずに、それで売買契約を交わしてしまう恐れがあります。
もし安く買い叩かれるような事態を回避したければ、査定に出す前に情報収集する必要があります。ネットなどで自分の車の買取価格の相場について把握しておきましょう。
自分一人で商談するのが不安であれば、両親などに同席してもらうと安心です。
未成年者が親権者に内緒で勝手に車を売却した場合、これはルール違反です。
本来、未成年者が親の同意なしで車を売却した場合、任意で契約をキャンセルできます。しかし、ルール違反をした場合、業者からペナルティとしてキャンセル料を請求される可能性があります。
キャンセル料は契約書に記載されているはずなので、目を通しておきましょう。
また、18歳以上から成人となるので、ルール違反をしていなくても契約を交わした後でキャンセルした場合は、キャンセル料が請求されます。
売却した後でキャンセルすると、厄介なトラブルに巻き込まれるかもしれません。本当に売却していいのか、慎重に検討しましょう。
未成年者が車を高く売却するためのコツ
車を売る場合は、少しでも高値で売却したいところです。高値で売却するにあたり、未成年者でも実践できるポイントがあります。
ここからは、車を高く売るコツについて紹介します。車を売却しようと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
同じ車でも売るタイミングによって買取価格は異なります。
車が高く売れるのは1~2月と7~8月とされています。いずれも買取業者の決算期である3月と9月の直前になります。
買取業者では決算期の近くになると少しでも業績を良くするために、1台でも多くの車を在庫として確保しようとします。
また、4月になると私生活のために中古車を購入する人も増えるため、高値が付きやすいです。
その他に車が高く売れるタイミングは、モデルチェンジの前です。モデルチェンジがされると旧型のモデルが多く中古車市場に出るため、値崩れを起こします。
旧型のモデルの価値が安くなってしまうため、モデルチェンジをする前に車は売却しやほうがいいです。
モデルチェンジの情報は、自動車専門誌やポータルサイトで紹介しています。自分の車が近々モデルチェンジするのであれば、早めに売却しましょう。
車をカスタマイズしている方もいるでしょう。カスタマイズしている車をそのまま査定に出すと、マイナス査定になることが多いです。
買取業者は買い取った車を中古車として販売しますが、カスタムカーだと好き嫌いが別れるので、売りにくいという側面があります。
しかし、もしカスタマイズする前の純正パーツが手元に残っていれば、話は別です。査定に出すときに、わざわざ純正パーツを車に取り付ける必要はありません。査定のときに査定士に純正パーツを見せて、「きちんと元のパーツが残っている」と伝えればいいでしょう。
特に古い車の場合、純正パーツをもう生産していない可能性があります。その希少性を評価され、プラス査定になるかもしれません。
車の査定額をアップするために、洗車や車内の掃除をするのは重要なポイントだとよく言われます。それは査定士からの印象が良くなるので、好意的に査定してもらえるからです。
特に車内清掃で押さえておきたいポイントは「臭い」の対策です。車内の臭いは自分では気づかなくても、他人からすると気になるケースは少なくありません。
特に車内で喫煙する、ペットを乗せる、香水をつけて外出する人の車は強い臭気を帯びている可能性が高いです。
臭いの対策方法としては、まず車のドアを開けて換気しましょう。それでも臭いが残っているのであれば、消臭剤を使用します。
臭いが残っているのとそうでないのとでは、買取価格に差がでるので査定前に済ませておきましょう。