目次
愛車を売却するにあたり、買取業者やディーラーから代金を受け取ればそれで終わりと思う方も多いかもしれません。しかし、車の売買の他にも、税金に関する手続きが必要になることがあります。
例えば、毎年支払っている「自動車税」がタイミングによっては還付されるかもしれません。還付だけでなく、逆にこちらが納税しないといけない場合も出てきます。
この記事では、車の売却時にどのような税金に関する手続きが発生するのかまとめました。
車の売却を検討しているのなら、以下で紹介する項目を押さえておきましょう!
車の売却時に自動車税は還付される?
自動車税は、毎年4月1日時点で車を保有している方を対象に発生する税金です。通常1年分の税金を前納する形になります。
もし年度の途中で車を売却した場合、残り期間の税金は還付されるのでしょうか?
自動車税に関して押さえておくべきポイントについて以下でまとめました。
原則、自動車税は還付されない
年度の途中で車を売却すると自動車税が還付してもらえると思っている方もいるかもしれませんが、これは間違いです。
自動車税が還付されるのは廃車手続きをした時に限られます。廃車せずに売却した場合には自動車税の還付は原則受けられません。
還付とは、国から残期間分の税金が返金されるということです。自動車税の場合、売却したら買い取った業者のほうから残期間分の返還がなされることがあります。
ただし、自動車税の未消化分の返還は義務付けられているわけではありません。返金してくれるお店もあれば、返金してくれないお店もあります。
自動車税の返金が買取価格に反映されているかは、売却する前にきちんと買取業者に確認しましょう。
自動車税は買取価格に上乗せされる場合がある
車を売却した場合、自動車税の残期間分の還付は国からは行われませんが、買取業者やディーラーから自動車税の未経過分の税額を返還してもらえる場合が多いです。これは不公平感を払拭するためです。
自動車税は、向こう1年分の税金を前納する形で納税しています。もし途中で車を売却した場合、売った側は数か月間余計に納税する形になります。
このままだと自分の売却した車を購入した方は、その年の自動車税を一切支払わなくてもいいことになります。これでは不公平なので、買取業者やディーラーは車を売却した方に残期間分の自動車税を返還します。
そして次に車を購入する方に、残期間分の自動車税を販売価格に上乗せする形で支払ってもらいます。
ただし、税金の返還方法はお店によって異なります。中には見積もりで買取価格とは別に税額を出してくれるところもありますが、一方で買取価格の中に含まれている場合もあります。
自動車税の扱いがどうなっているのかは、必ず担当者に確認しましょう。
自動車税の計算の注意点
買取価格の中に自動車税の返金分が反映されているか確認するために、自動車税の計算方法を覚えておきましょう。
そんなに複雑な計算ではありません。
自動車税は月割りで返金されます。加えて4月~来年3月分の税金を納めているので、車を売却して名義変更された翌月~来年3月分までの期間で算出をします。
注意しなければならないのは、2019年10月から自動車税の取り扱いが変わったという点です。
2019年10月から自動車税(種別割)に変更されました。税金が従来よりも引き下げられ、最大4,500円も節税されています。
しかし、種別割が適用されるのは2019年10月1日以降に新規登録をした自家用車が対象です。中古車の場合、多くの車は以前の税率が適用されるので、混同しないように注意が必要です。
車を手放しても自動車税の通知書がくる場合も
自動車を売却した後で、自動車税の納税通知書が届いてしまうことがあります。これは3月の年度末に車を売却した場合に起こりやすいです。
自動車税は4月1日時点で、車検証の所有者に記名されている方が課税対象です。年度末は多くの人が車を売却するので、名義変更手続きが滞る危険性があります。業者が4月1日よりも前に名義変更を完了していないと、車が手元にないのに納税通知書が届いてしまう可能性があります。
そうならないためにも、車の売却は余裕をもって行うのがおすすめです。できれば3月下旬のギリギリではなく、3月初旬の段階で車を手放しましょう。そうすれば1か月近く猶予があるので、名義変更が終わらないリスクもかなり低くなります。
自動車税の還付額の計算方法
自動車税の還付金は、日割りではなく月割りで算出します。
まず月割計算であるところに注意してください。車を売却した日にちが1日でも31日でも同じ月であれば、戻ってくる還付金額は一緒です。
特に31日近辺で売却した場合、名義変更手続きが翌月になってしまいます。すると還付金が1か月分少なくなってしまうので、なるべく月の頭に売却するのがおすすめです。
車種や売却したタイミングによっては、還付金額に端数が出てくる場合もあるでしょう。この場合、100円未満は切り捨てになりますので覚えておいてください。
車売却時に課税される可能性のある税金
車の売却時に自動車税が返還されるかもしれない半面、逆にこちらが納税しないといけない場合もあります。それは具体的にどのような税金なのでしょうか?
また、税金の種類によっては保有期間で計算が変わってくるなど、複雑な場合もあります。
車を売却する前に「何か課税されるものはないか」確認しておくと安心でしょう。
所得税
車を売却したことで、発生する税金として所得税があります。
この所得税が課税されるかどうかは車の「使用目的」で決まります。
「車を日常使いしていた」「自家用車として使っていた」という場合は、売却したとしても非課税です。
しかし、業務用やレジャー用として保有していた場合、車の売却益は「譲渡所得」という扱いになります。この譲渡所得は所得税の課税対象になるので注意しましょう。
例えば、自分でビジネスをしていて得意先を回るなどで車を運転していた場合、これは業務用扱いとなるので課税対象になります。
しかし、所得税が課税されるのは売却することで利益が出た場合です。例えば、車の購入価格よりも売却価格が低かった場合、譲渡所得を得ていないので納税義務はありません。
所得税の課税対象になった場合は「所有期間」も重要になります。
所有期間が5年以内なら「総合短期」となり、5年以上なら「総合長期」となってそれぞれ計算方法が違ってきます。
まず譲渡所得の場合、50万円が特別控除枠として設けられています。そのため、売却価格から車の購入価格を差し引いた時に50万円以下であれば、所得税は課税されません。
50万円を超えていた場合、所有期間が5年以内の総合短期であれば、所得税の計算方法は以下のようになります。
例えば、購入価格50万円の車を4年間保有し、120万円で売ったと仮定します。その場合の所得税は、120万-50万-50万=20万円と計算ができます。
所有期間が5年以上だと「総合長期」という扱いになり、所得税の計算方法も変わります。
売却価格から車の購入価格と特別控除の50万円を差し引くところは一緒です。しかし、総合長期の場合はこの差し引いて残った金額を「半分」にします。
つまり、5年以上の長期にわたって車を保有したほうが、税制面で優遇されるというわけです。
例えば、購入価格50万円の車を6年保有し、120万円で売ったと仮定しましょう。
売却価格120万-購入価格50万-特別控除50万=20万円が残ります。
5年以上保有していた場合は、ここから半分にするので10万円が課税額になります。
個人事業主の場合、車の売却を確定申告に反映させると「節税効果」が期待できる場合があります。
例えば、車の購入価格よりも買取価格のほうが安かった場合、車の売買によって損失を計上した形になるでしょう。このマイナス分を事業所得から差し引けば、税額を少なくできます。
車の価値は時間が経過すればするほど減少していくので、大抵が車の売買で損失を計上することになるでしょう。
もし愛車の買取価格が購入金額よりも低かった場合、確定申告の時に記録しておくことをおすすめします。そうすれば、節税できる公算大です。
消費税
車両によっては、消費税がかかる可能性がありますので注意しましょう。
消費税に関して課税されるかどうかは条件が4つあります。
①国内における取引きである
②事業者が事業として行っている
③対価を得て行うもの
④資産の譲渡や貸し付けなどである
ここでポイントになるのは2つ目になります。個人事業主でもプライベートで使用していた車を売却する場合、事業にあたりません。つまり、消費税は発生しません。
一方、業務用で使用していた車であれば、消費税が課税される可能性があります。この場合、消費税込みの代金を業者から受け取ります。そして「受取消費税」として税額分を仕訳して納税しなければなりません。
税金を払う場合の手続き方法
車の売却時に課税しなければならなくなったら、どう納税すればいいのでしょうか?
納税方法は、毎年税務署で行っている確定申告で手続きします。その際、税金の計算をどうするか、どう書類を作成すればいいのかについてまとめました。
確定申告では「減価償却」をして資産を計上します。
減価償却とは、車(固定資産)を購入した費用を何年かに分けて計上する方法です。
車(固定資産)には「耐用年数」が決められています。これは購入から年数が経つと徐々に資産価値が下がるという考え方です。
例えば、個人事業主が新車を150万円で購入し、4年後に120万円で売却したとします。新車の耐用年数は6年と決まっていて、1年あたりの減価償却率は16.7%です。
減価償却費を求めます。
150万円×0.167×4年=100万2,000円
現在の車両の価値(取得費用)を求めます。
150万円-100万2,000円=49万8,000円
所得税の計算方法は、車の売却価格から取得費用や経費、50万円の特別控除を差し引きます。
車の売却代金120万円-(取得費用49万8,000円+経費5万円)-特別控除50万円=15万2,000円となります。
また売却するにあたり、手続き代行を買取業者にお願いする場合もあるでしょう。この時発生した手数料は経費として差し引くことができます。
このようにもろもろの費用を差し引いて50万円を超える金額が残れば、それが所得税の課税額になります。
もし車の売却益が50万円を超えた場合、確定申告書Bの「譲渡所得」という項目に金額を記載します。
税額の計算は車を5年以上保有していたかどうかで変わります。しかし、どちらの場合でも譲渡所得の中にある「一般分」というところに所得金額を記入してください。
ちなみに「必要経費」という項目には売却時の経費や減価償却費など差し引く金額の合計を記入しましょう。
譲渡所得が算出できれば、所得金額の「総合譲渡・一時」の項目に記入します。
この時、特別控除の50万円の反映をせずに申告してしまう方もいるようなので忘れずに計算してください。
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表)という書類があります。この中に「譲渡所得金額の計算をします」という箇所があるはずです。
こちらに収入金額と必要経費、差引金額とともに「特別控除額」という項目があります。こちらに「500,000」と記載してください。
確定申告の手続きの流れ
もし車を売却したことで課税額が発生したのであれば、確定申告での手続きが必要です。
個人事業主や自営業者の方は、毎年手続きをしているかもしれません。しかし、今までサラリーマンだった方は会社に任せていたので、やり方が分からないという方もいるでしょう。
ここからは、確定申告の手続きの流れについて説明していきます。ぜひ参考にしてみてください。
まず、確定申告を行う期間を説明します。
例年、確定申告は2月中旬~3月中旬にかけて行います。2022年の場合は2月16日~3月15日までが期間でした。
たまたま日付が土日にあたる場合には、日にちがずれ込むこともあります。
その年の期限がどうなっているかは、国税庁のホームページなどで予め確認しておきましょう。
この期間を超えても、確定申告の手続きは可能です。しかし、この場合は延滞税といって本来支払わないといけない税金が上乗せされてしまいます。期限を過ぎるとこのようにペナルティが発生します。
確定申告は期間内に平日の空き時間を使って着実に済ませるようにしましょう。
確定申告の手続きをする際には、確定申告書の他にいくつか必要書類が発生します。「どの控除を受けるのか」などによって必要書類は変わるので、注意してください。
例えば、生命保険や地震保険に加入している場合、保険料分は税金の控除が受けられます。その代わり、保険料控除証明書が保険会社から発行されるので、こちらを添付しなければなりません。
また年間で一定額以上医療費に使った場合、医療費控除の対象です。この場合、医療費に使ったことを立証する領収書などを添付する必要があります。
医療費控除は自分だけでなく、家族の費用も合算できます。大きな病気やけがをして、かなり医療費を負担した場合には医療費控除を受けましょう。
自分の場合、何が必要なのか確認して不備のないように手続きを進めましょう。
準備した書類や決算書の情報をもとにして申告書を作成してください。
申告書は少し前までは手書きが主流でしたが、近年ではパソコンで作成することも可能です。税務署に出向かなくても、国税庁のホームページの中に作成コーナーが設けられています。こちらに必要事項を入力し、プリントアウトして提出すれば申告手続きは完了です。
中には「確定申告書を自分で作成できるか自信がない」という方もいるでしょう。その場合、税務署に作成コーナーが設けられています。何台ものパソコンが用意されていて、こちらで作成することができます。
もし作成方法で分からないことがあれば、税務署に職員がいるので質問してみましょう。
作成し終わったら税務署内のプリンターでプリントアウトして提出できます。
最後に申告書を税務署に提出します。
提出方法は、税務署に持参して職員に直接提出するか、郵送で送付するなどの方法があります。
そして、現在では「e-Tax」を利用して提出する方法が人気です。これはオンラインで提出するので、税務署にいちいち出向く必要がありません。
e-Taxは当初、マイナンバーカードを作成して、カードリーダーを購入しないと利用できませんでしたが、今はIDとパスワードを発行してもらえば、e-Taxでの提出も可能です。
IDとパスワードを発行してもらうためには、税務署に出向かないといけません。ただし、一度発行してもらえばそれ以降はネットで提出できるようになるので、積極的に活用するのがおすすめです!
確定申告をして税額が確定したら、納付しましょう。ここで確定申告の提出期間と納付期間は一緒なので、注意してください。
納付方法は、銀行などで納税しに行くか、自分の口座から引き落としてもらう方法があります。
口座引き落としであれば、自分でわざわざ納付する必要がありません。仕事の関係でなかなか金融機関に足を運べない方におすすめです。
また、一度口座情報を提出すれば、以降税額はその口座から引き落とされます。そのため、引き落とし期日までには必要な金額を預金しておきましょう。
そして最近ではクレジットカードで納付する方法もあります。カードの場合、分割やリボ払いの支払いに対応しているので、期限までに全額納税できない時に利用してみるといいでしょう。