車を保有していると、使用頻度に関係なく税金・保険料・車検で万単位のお金がかかります。
また、不定期でかかるメンテナンスや消耗品の交換、給油の費用も1回ごとの金額は小さいかもしれませんが、トータルで見れば高額になるでしょう。
こうした費用を全てひっくるめて「維持費」と呼びます。
この記事では、車の維持費をできる限り安く済ませる方法について解説していきます。
車の維持費を安くするには?
車を保有し続けるには、税金、保険、車検、メンテナンス費用など、様々なお金を支払う必要があります。
これらをひっくるめて車の維持費と呼びますが、この維持費は項目ごとに節約することが可能です。
ここからは、維持費を安く抑える方法について詳しく解説していきます。
車の購入時点でできること
初めに、車を購入する時点でできる維持費の節約方法を説明します。
ポイントとしては、中古車ではなく新車を買うこと、燃費がよく税金も安く済む車を選ぶこと、将来的な車の売却も視野に入れているのであればリセールバリューの高い車を選ぶこと、が挙げられます。
維持費の節約ということで考えた場合、中古車よりも新車を購入したほうが効果があります。
中古車は言葉の通り「中古」なので、部品の劣化や摩耗が進んでいる可能性があります。そうなると、メンテナンス費用がかさんでしまうでしょう。一方、新車の場合はそういったリスクが少なくなります。
もちろん、中古車は前の持ち主が車を丁寧に扱っていたか、乱暴に扱っていたか、こまめにメンテナンスをしていたかどうかにもよります。そして、新車でも雑に扱えばそれだけ維持費もかかるので、一概には言えません。
また、新車は中古車と比べて維持費用は少なめですが、そのかわり購入時の初期費用がかかります。初期費用の相場は車両価格の1~2割とされているため、仮に200万円の新車なら、プラス20万円はかかることを考えておくといいでしょう。
しかし、こうした初期費用もローンの組み方によっては負担を軽減できます。初期費用を払いたくないから中古車にすると単純に考えずに、自分の欲しい車に合わせて計画的に費用を節約することも大切です。
車を所有していると複数の税金がかかります。そして税額は、車種や排気量、重量によって異なります。
例えば、軽自動車の「軽自動車税」は、普通車にかかる「自動車税」よりも安いので、節税するなら断然軽自動車がおすすめです。
また、車検時などに支払う「自動車重量税」は、車の重量と車齢によって金額が変動するので、コンパクトサイズの新車ほど安く済むことになります。
また、環境への悪影響が少ない車ほど「環境性能割」という税金も安くなります。
燃料費も、1回ごとの支払額は高額ではありませんが、年間で換算すると10万円以上になることがあります。
詳細は後述しますが、維持費を軽減したいなら、より燃費のいい軽自動車やEV(電気自動車)の購入を検討するのも一つの方法です。
直接的な維持費の削減とは少し違いますが、車を購入する時点で将来的なリセールバリュー(再販価値)の高さが期待できる車種を購入するというやり方もあります。
これは、車を手放す際に高額で売却することで、それまでかかった維持費などの分を取り返すという考え方です。
ただし、この方法は車の目利きができる方や中古車市場の動向に詳しい方、車の価値が下がらないうちに頻繁に車を買い替える方などが向いています。専門知識のない方にはあまりおすすめできません。
初期費用や維持費をかけずに車を所有する方法として、最近はカーリースも一般的になりつつあります。
カーリースは、車にかかる費用を全て合わせて分割したものをリース料として毎月支払うものです。税金や保険、車検などの手続きは全てリース会社に任せられます。
ただし、最終的にはその車を返却することでリース残額を完済することになります。傷がつくなどして車の価値が下がると、完済に満たない分は自己負担になるので注意しましょう。
メンテナンスはこまめに行う
前述した通り、車は古ければ古いほど摩耗や経年劣化が進むので、メンテナンスをこまめにすることで維持費節約の効果はますます大きくなります。
例えば、一般的に乗用車の寿命は走行距離10万キロと言われていますが、これくらいの走行距離になるとゴム系のパーツ交換が必要になります。またそれ以上になると、基幹部品であるエンジンも交換や修理が必要になるでしょう。いざ修理するとなると、それなりのお金がかかるものです。
しかし、車のメンテナンスをこまめに行うことで、不具合の芽を前もって摘んでおくことができます。そのため、後で高額な修理費用が発生するのを防ぐことができます。
保険料を調整する
次に、車の維持費を抑えるために、保険料を節約する方法を見ていきましょう。
自動車に関する保険には「自賠責保険」と「自動車保険」の2種類がありますが、自動車保険に限り、保険料が安くなるように調整することができます。
自賠責保険は、車を所有している方は強制加入となり、手続きも登録時や車検時に自動的に行われます。
法律に基づく制度なので、あらかじめ保険料は全国共通で一律に決まっており、調整することはできません。
ただし、例外的に4月から保険料が値上げもしくは値下げとなるタイミングがあるので、それに合わせて入り直すという方法もあります。また、保険料が安くなる離島などの一部地域で手続きするという手もありますが、手続きにかかるコストや手間を考えると現実的ではないでしょう。
自賠責保険とは異なり、損害保険会社で加入・更新の手続きを行う自動車保険は、保険料の調整が可能です。
保険会社そのものを変える、車両保険の補償内容を変える、運転する人を限定するなどのやり方があります。
ひと言で自動車保険と言っても、厳密に見れば細かな保険商品の組み合わせで成り立っています。保険商品それぞれの補償内容を見直すことで、節約につなげることができるでしょう。
自動車保険の補償内容を見直すことで、保険料の節約につなげられる方法について紹介していきます。
まずは、代理店を介せずに契約手続きができるダイレクト型の損害保険会社に乗り換えることで、金額が安くなるというケースがあります。
また、事故を起こした際に自分(加害者)の車の修理などで使える車両保険の内容を見直すのもいいでしょう。補償内容を考慮しつつ一般タイプからエコノミータイプに変更したり、免責金額(自己負担額)を高めに設定したりするという方法が考えられます。
また、自動車保険では普段車を運転する人を限定することで、保険料を安くするサービスもあります。
例えば「年齢条件」として、運転する人を21歳・26歳・30~35歳以上の人に限定するといったやり方です。他にも、「運転者限定」として運転する人を本人やその家族に限定する方法も使えます。
誕生日を迎えたり、家族構成が変わったりした場合などは、検討してみるといいでしょう。
ローンの金利を抑える
ローンを組んで分割払いで車を購入する場合、毎月支払うことになる利息分も維持費として計算します。
この利息の金額を抑えるには、金利が安いローンを探す、キャンペーンを利用する、現金で一括払いをするなどの方法が考えられます。
車を購入する際、金融機関やローン会社とローン契約を結ぶという方も多いでしょう。車の維持費を計算する場合は、こうしたローンの利息分も費用として算入するので、あらかじめ金利の安いローン商品を探すのも維持費削減のために有効な方法です。
自動車ローンの支払額は契約内容によって異なるので一概には言えませんが、同じ車を買っているのに契約金利によっては支払総額(返済総額)が数万円から10万円以上も変わってしまうということがあります。
金利を比較して、少ない負担で返済できる借入先を探してみましょう。
金融機関やローン会社によっては、金利が安くなるキャンペーンなどを実施することもあります。キャンペーン期間中に借入できるようにタイミングを合わせて車を購入し、金利を抑えて維持費を安くするのも一つの方法です。
車を購入する際、ローンによる分割払いにせず、一括現金払いにすれば、そもそもローンを組む必要はありません。返済利息も発生しないので、長い目で見れば相当な維持費の削減になるでしょう。
もちろん、この方法は手元にお金がある場合に限られますし、車の維持費はローンの利息だけではありません。そのため、安易に一括払いにせずに現金は保管しておき、将来的な他の費用に振り分けることも考えておきましょう。
燃料費を抑える
車の動力源にはガソリン・軽油・電気がありますが、これらは1回の支払額は少ないものの、年間で計算するとかなりの金額になります。
これも、燃費のいい車を選ぶ、運転に注意する、給油所を厳選するなどの工夫で節約可能です。
新車を買うとしても中古車を買うとしても、車の購入時にできるだけ燃費のいい車両を選べば燃料費の節約になるでしょう。
例えば、ガソリンの普通車に比べれば、同じガソリン車でも軽自動車のほうが燃費がいいですし、EV(電気自動車)ならさらに燃料費を抑えられます。
ただし、燃費のよさというのも善し悪しで、軽自動車は普通車と比べて馬力がありません。燃費のいい車を買ってもエンジンに負担がかかる運転をすれば逆効果なので、自分の運転スタイルに合った車を選びましょう。
車の燃費を節約するためには、燃料を無駄使いしないことも大切です。燃料はエンジンに無駄な負担がかかれば浪費されます。そのため、急ブレーキや急発進を控えれば、燃料の節約にもつながります。
また、どのような道路を運転するのかも重要です。雪道、砂地などでは頻繁にブレーキをかけたり、アクセルを踏み込んだりする操作が必要になります。
さらに山道などでも長時間ブレーキを踏んで走行したりすることがあるので、いずれもエンジンへの負担は避けられません。
こうした悪路での運転は「シビアコンディション」と呼ばれています。
もしも車で頻繁に走行する道路の3割がシビアコンディションである場合は、エンジンのみならず車全体に負担がかかっている可能性があります。そうなると、燃費の節約のためには、車の操作だけではなく普段のメンテナンスにも注意しなければなりません。
経年劣化が進んだり、エンジンに負担がかかったりすれば全体的に燃費が悪くなり、ますます燃料の浪費も進むという悪循環に陥ります。新車登録からある程度の時間が経った車の燃費には、注意を払うようにしましょう。
給油先を厳選するのも燃費の向上につながります。
油種の仕入れ先や給油スタイルなどによって、ガソリンスタンドごとの価格は異なります。自分が立ち寄りやすい場所で、より油種の価格が安いところを選びましょう。
また、ガソリンスタンドでは、割引サービスやプレゼントなどの企画を行っています。給油先を1ヵ所に絞ることで、こうしたサービスやイベントに気付きやすくなり、お得に給油できる機会が増えるでしょう。
車検費用を抑える
車検費用の支払いは2~3年に1度ですが、1回の支払額は車の維持費の中でもかなり高額な部類に入ります。そのため、車検費用を抑えればかなりの節約効果が期待できるでしょう。
ここからは、車検費用を節約するために有効な方法をいくつか紹介していきます。
車検費用を節約する方法として、各種車検業者から見積もりを出してもらい、「相見積」をすることで最も安いところに依頼するという方法があります。
ただし、この方法は、各業者に問い合わせて車の状態を見てもらう必要があるなど、手間がかかるのが難点です。そのため、最初から「安さ」を売りにしている業者に依頼するのもいいでしょう。
車検は車の販売店や自動車ディーラー、カー用品店、ガソリンスタンドなど多くの専門店で行っているので、近隣の業者を探し出すのは難しくありません。
ただし、車検代の金額が業者ごとに異なるのには理由があります。多くの場合、車検では事前に法定点検とメンテナンスを行い、不具合がある箇所などを交換・修理して確実に検査に通りるようにしてくれますが、そこを省くことで金額を抑えることもあります。つまり、他の業者が行っているサービス部分を削って、最低限の検査しか行わない業者もいるということです。
車検代には、法律であらかじめ金額が決まっている部分と業者が自由に設定できる部分があります。後者がどのような内容になっているのかを確認すると良いでしょう。
車検業者によっては車検の割引サービスを行っているところもあるので、費用節減のために狙ってみるのもいいでしょう。
こうしたサービスの例としては、Web申し込み限定の割引、車検の有効期限が来る前の早期予約の割引、リピート割引などがあります。
また、これも業者によりますが、友達紹介や平日限定の割引、クーポン券利用による割引などが利用できることもあります。後は車検の見積もりを出してもらい、メンテナンス費用で割引できるものがないか交渉してみるのもいいでしょう。
車検費用は、車検専門店に持ち込めば6~10万円、自動車ディーラーなら8~15万円がかかるとされています。
車の持ち主が自分で車検を行うユーザー車検なら、この費用が3~5万円は節約できるでしょう。
ユーザー車検は、業者に車検を依頼せず、自分で陸運(支)局に車を持ち込み、手続きを行います。
ただし、あくまでも専門の知識や技術がある人向けのやり方です。また、陸運(支)局は平日しか窓口が開いていないので、その点にも注意が必要です。
その他に維持費を節約できる方法
ここまでで、車の維持費を抑える方法をいくつか紹介してきましたが、他にも見落としがちなものとして、タイヤの費用と駐車場の賃貸料が挙げられます。
ここからは、この2つについてどのような点に注意するといいか、解説していきます。
車を購入する際は車両もタイヤもまとめた金額で買うことになるのであまり意識しないかもしれませんが、タイヤだけを個別に買うと意外と値が張ります。
サイズにもよりますが、新品なら4本セットで約10万円になることもあるでしょう。
タイヤの費用を節約したいなら、タイヤ専門店で中古品を購入するという手があります。ただし、すり減ったタイヤをつけて走行するのは危険ですし、状態によっては摘発対象となるので注意が必要です。
車を保有する場合は、普段の駐車場も考えなければいけません。
もしも自宅の敷地内などに適当な場所がなければ、駐車場を借りることになります。この賃貸料も、年間で計算するとそれなりの金額になるでしょう。
賃貸料は安いに越したことはありませんが、安いからという理由で自宅から遠い場所に借りたりするのは非効率的です。
また、借りる際は車のサイズと駐車スペースが合っているかも重要なチェックポイントですので、駐車場を検討する際は注意しましょう。