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車を保有していると、税金や保険料など定期的に支払うものから、部品交換などで不定期に支払うものまで、様々な維持費がかかります。
しかも、そうした維持費の金額は車ごと・持ち主ごとに異なるもので、その高額ぶりに悩んでいる方は、どうして違いが生じるのか不思議に感じるかもしれません。
この記事では、車ごとの費用に差が生じる理由について、税金や保険料から燃料代やタイヤ代まで、項目ごとに細かく分けて解説していきます。
車ごとの維持費の違いはどこで生じるのか?
車を保有していると、税金、保険料、車検費用、燃料費、メンテナンス費用などをあわせた維持費がかかります。
この維持費の金額を年間・月間の平均で見ると、車種あるいはその持ち主によって異なります。
その違いはどこから生じるのか、節約する方法はあるのかを探っていきましょう。
車種の違い
まず、車の維持費は車種によって異なってきます。
車は道路運送車両法に基づき、車体の大きさや排気量を基準に軽自動車・小型自動車・普通乗用自動車に分けられますが、保険料や税金などはこの分類に従って金額が決まります。
中でも最も維持費が少なく済むとされているのが軽自動車です。排気量が少なくボディも小柄なことから、燃費も節約できるでしょう。
軽自動車に次ぐのが小型自動車、最も維持費が高くつくのは馬力があってボディも大きい普通乗用自動車ということになります。
具体的な維持費の金額は、以下のようになります。
車種 | 年間の維持費 | 月間の維持費 |
---|---|---|
軽自動車 | 約35万円 | 約30,000円 |
小型自動車 | 約40万円 | 約33,000円 |
普通乗用自動車 | 約51万円 | 約43,000円 |
ただし、これらの金額はあくまでも目安です。普段の車の扱い方によっては燃費も変動しますし、駐車場を借りるかどうかによってもトータルの維持費は変わってくるでしょう。
「購入」と「リース」の違い
車を入手する方法として、最近はカーリースも一般的的になっています。
カーリースとは、車の初期費用や将来的にかかる維持費を合算し、それを分割してリース料として毎月支払いながら車を利用するというものです。
この方法の優れた点は、税金や車検費用などの面倒な維持費の支払いは全てリース会社が行うという点です。最終的には車を返却することで残債を埋めることになり、上手に活用すれば車を購入するよりも安い維持費で済むでしょう。
ローンの利息の違い
ローン契約を結んで分割払いで車を購入する場合、ローンの種類や審査内容によって、毎月支払う金額も変動します。その内容について見ていきましょう。
自動車ローンには「銀行系ローン」「ディーラーローン」「オートローン」の3種類があり、どれを選ぶかによって金利の付き方も異なります。
自動車ローンの中で最も金利が低いのが銀行系ローンです。「マイカーローン」などと呼ばれている融資商品です。
銀行系ローンの金利は年1.2~4%程度で保証料は銀行が負担することが多く、繰り上げ返済をする場合もほとんどの場合手数料が無料になるなどの特徴があります。
そのかわり審査基準は厳しく、返済期間も長期に渡ります。
ディーラーローンは、自動車ディーラーが提携しているカード会社や信販会社によって提供される車用のローンです。
金利は3.5~9%と銀行系ローンよりも高めですが審査は緩く、車の購入時にあわせて手続きできるという利点があります。
オートローンは、販売店で車を買う時に、信販会社に一度代金を立て替えてもらい、それを分割で返済していくものです。
金利は4~8%と高めですが、審査が緩めの傾向があります。
ローンの利息は借りた額の大きさや返済期間などによっても異なってくるので、利率だけで単純に計算することはできません。
上記の3種類のローンではいずれも審査があり、審査に通るかどうかも個人差があるので注意しましょう。
税金の税額の違い
車にかかる税金として、まず自動車税と軽自動車税が挙げられますが、双方の金額にはかなりの差があります。
他にも車検の手続きの時に自動的に納めることになる税金もあります。
ここからは、車の税金について具体的な内容を見ていきましょう。
普通自動車と小型自動車には、年に一度、都道府県民税にあたる「自動車税」が課せられます。
車によって細かい金額は違いますが、その税額はおおむね3万円~10万円の範囲で、安くても最低25,000円はかかります。
自動車税は毎年4月1日時点の車の持ち主に対して課せられ、5月末までに納付しなければなりません。金額が大きいので、自動車税を節約したいのであれば、車を購入する時点で考えておく必要があります。
また、軽自動車に対しては「軽自動車税」が課せられます。課税義務が生じるタイミングや納付期限などは自動車税と同じですが、軽自動車税は市町村税にあたり、金額も10,000円~30,000円程度なのが特徴です。
4月1日以降に車を購入すると、普通自動車の場合はその年の自動車税の月割り分を支払わなければなりません。しかし、軽自動車はあくまでも次に課税されるのは翌年度となります。そのため、軽自動車は購入するタイミングによって節税効果が期待できるでしょう。
自動車にかかる税金は、自動車税と軽自動車税以外にも自動車重量税と環境性能割があります。
自動車重量税は、車両本体の重量0.5トンごとに税額が変動するもので、それに加えて車が登録されてからの経過年数によってさらにプラスされていきます。
環境性能割は、車が環境に及ぼす影響の大きさによって、金額が変わっていきます。
自動車重量税は新規登録時と車検時に支払うことになりますが、環境性能割は、車の購入時か譲渡を受けた際に納付しなければなりません。
保険料の違い
万が一、事故に遭遇した時のために加入するのが保険です。車の保険には「自動車保険」と「自賠責保険」の2種類があります。
両者の違いと保険料を節約する方法はあるのか、あるとすればどんなやり方になるのかを説明します。
損害保険会社などで加入する自動車保険には「型式別料率クラス」という基準があり、これに基づいて車種ごとに保険料がある程度決まります。あとは補償内容によって金額が変動するので、保険料を安くしたい場合は調整するといいでしょう。
具体的には、事故を起こした際に自分(加害者)の車の修理費用として使える車両保険の保険金を調整したり、車を運転する人を限定したりすることで保険料を抑えるのが一般的です。
ただし、事故を起こした際の補償に関わることなので、内容を変更するときは慎重に行うべきでしょう。
車を所有していると、ほとんどの場合で強制加入となるのが自賠責保険です。車の新車登録時や車検の時に自動的に加入・更新手続きが行われるので、普段あまり意識していない方が多いかもしれません。
自賠責保険は、補償内容も車種ごとの保険料の金額も全国一律で、あらかじめ決まっています。保険料を調整する方法は車そのものを変えるか、保険料が安い離島などの地域で手続きを行うか、料金が改正されるタイミングを狙って加入・更新するなどの方法しかありません。
車検費用の違い
多くの乗用車は2~3年に一度、車検を受けなければなりません。この車検の代金も、一回の支払額としては車の維持費の中で最も高い部類に入ります。
では、車検代の高い・安いの違いはどんな理由で生じるのでしょう。以下で詳しく説明していきます。
車の状態や車検を受ける業者が全く同じと仮定して比較すると、車検代は普通自動車よりも軽自動車のほうが安いと言えます。
車検費用は、法定費用・車検基本料・整備費用で構成されていますが、軽自動車は法定費用の部分が安いです。
法定費用は、車の規格や車両重量ごとにあらかじめ金額が決まっています。金額の目安としては、普通自動車の法定費用は40,000円~70,000円、軽自動車は約30,000円です。
車検基本料は、業者が自由に設定することができる料金です。また、整備費用は、車検時の整備内容によって異なります。
車検基本料と整備費用は、普通自動車が40,000円~50,000円、軽自動車が30,000円~50,000円というのが一般的です。
ちなみに、原付バイクや排気量250cc以下のバイクは「検査対象外軽自動車」に分類され、車検を受ける必要がありません。全体的な維持費も四輪車に比べると、はるかに安いので全体的な費用を抑えたい場合はこうした車両の購入を視野に入れてもいいでしょう。
前述した通り、車検費用のうち車検基本料は業者で自由に設定することができます。そのため、仮にひとつの車で複数の業者から車検代の見積もりを出してもらった場合、金額の違いはこの車検基本料や整備費用の違いだと考えていいでしょう。
金額の安い業者に依頼して車検費用を節約したいのであれば、このように複数の業者に見積もりを出してもらい、最も安いところに依頼する「相見積もり」というやり方がおすすめです。
ただし、安いところはメンテナンスをあまり行わず最低限の検査しか行っていないこともあるので、注意しましょう。
車検代を最も節約できる方法が、自分で陸運(支)局に車を持ち込んで車検を行う「ユーザー車検」です。
業者を通さないので、支払うのが法定費用だけで済むというメリットがありますが、車の専門知識や技術を必要とするので、ややハードルは高いでしょう。
燃費の違い
車を動かすためには、ガソリンや軽油などの燃料が必要です。燃料費は一回ごとにかかる金額は少ないものの、トータルで見ると高額になります。
燃料費の価格差はどんな理由で生じるのか、そしてどうすれば節約できるのかを見ていきましょう。
車の燃費の良い・悪いは、車種ごとの排気量によって異なります。車体のサイズが大きくパワーのある車ほど燃費が悪く、軽自動車のようにコンパクトな街乗り専用の車は燃費も抑えられています。
ただし、これは一概に言えないところがあり、古い車ほどエンジンが劣化しているので燃費は悪くなっていくでしょう。
また、軽自動車のように本来燃費がいい車でも無理な運転をすれば車両に負担がかかって燃料を浪費する結果になるので、ドライバーの運転次第というところもあります。
車の燃費の良い・悪いは、車種によってある程度最初から決まっています。しかし、いくら燃費のいい車でも、ドライバーの運転によってはその長所を活かすことができません。その車に適していない運転をすることで、結果的に燃費が悪くなることもあります。
まず、雪道、砂地、山道、峠、砂利道などではエンジンに負担がかかりやすく、平地に比べると燃料も浪費しやすくなります。また、急発進や急ブレーキを多用するような運転も同様なので、注意しましょう。
軽自動車も悪路での走行や乱暴な操作を繰り返せば、結果的に燃費が悪くなります。もともと軽自動車は馬力がなく「街乗り」を前提としているため、激しい運転をするとエンジンに余計な負荷がかかります。
他にも高速道路で長距離を走ったり、大人数・大荷物の状態で走行したりすると、それだけで燃費が悪くなります。
最初からエンジンに負荷がかかる運転をすると分かっているのであれば、それに見合ったエンジンを搭載した車を選びましょう。
ガソリンや軽油などの燃料は、ガソリンスタンドで給油します。給油する店舗によって燃料価格には差がありますが、どうして差が出るのでしょう?
その理由は、元売り会社の仕入れ値の違いが挙げられます。また、店舗ごとの給油スタイルによる違いもあります。
かつて一般的だったフルサービスよりも、近年急速に普及しているセルフ式のスタンドのほうが価格は安いです。他にもセミセルフやスタッフ給油というスタイルもあります。
さらに油種の価格には輸送費用も反映されているので、製油所に近いスタンドと遠いスタンドとでは、値段が大きく異なります。
この他にも、競合店舗が多いスタンドは価格が比較的安いといった状況によって値段設定が変わることもあります。
燃費の節約を心がけるのであれば、こうした店舗ごとの価格の違いを踏まえて給油をするのがおすすめです。ただし、安いからと言ってわざわざ遠隔地の給油所まで車を走らせて給油しては本末転倒なので、程よい移動距離の範囲で給油所を探すようにしましょう。
メンテナンス費用の違い
車は定期的あるいは不定期にメンテナンスが必要です。そうすることで修理や整備の費用、または部品や消耗品の交換費用が生じることがあります。
ここからは、自分でメンテナンスを行う場合と、業者に任せる場合の違いについて説明していきます。
車は、自分で日常的にメンテナンスを行うことで、不具合が起きても早めに対処することができます。そうすれば、大きな故障に発展する前にパーツ等を交換したり、専門業者に依頼して直してもらったりできるので、結果的に維持費を抑えることになるでしょう。
車の知識がない方でも、こまめな洗車をしたり、タイヤやワイパーなどの摩耗具合のチェック、冷却水やエンジンオイルの残量確認などは日常的にできます。
こうした小さなメンテナンスが、大きな故障を予防することになるでしょう。
車のメンテナンスは持ち主が普段から日常的に行うのが理想的ですが、もちろん業者に依頼することもできます。
車に故障や不具合が見つかれば、いずれにせよ専門業者に修理してもらうことになるので、結果としては同じでしょう。
業者に依頼すると費用はかかりますが、プロに任せられるので安心です。しかし、頻繁に見てもらうのは難しいので、車の安全性を保つ意味でも普段から車の調子には気を配り、小さな異常にもすぐ気づけるようにしましょう。
タイヤの違い
単なる消耗品だからと侮っていると、いざ交換が必要になった時にその高額さに驚かされるのがタイヤです。
タイヤはサイズやその他の要素によって品物の価格が決まります。その費用面での注意点について、見ていきましょう。
タイヤはサイズによって値段が大きく異なります。サイズがひとつ大きくなるだけで、品物によっては数倍の開きが出てくることもあります。
これは単純に大きさの違いだけが原因ではなく、強度の違いなどによる生産コストの差が反映されています。
そのため、今までタイヤのことを意識していなかった人が、検査などで摩耗を指摘されて慌てて買いに行ったら、その値段の高さに驚くということはよくあります。
タイヤは新品なら4本セットで約10万円になることもあるので、覚えておきましょう。
雪国ではいわゆる「夏タイヤ」「冬タイヤ」の使い分けがあり、冬には凍結した路面でも安全に走行できるスタッドレスタイヤが使われます。
こうした地域では常に2種類のタイヤを保有する必要があり、タイヤの維持費も2倍になります。そうなると、タイヤサイズが大きい車を保有していれば、それだけ維持費もかさむでしょう。
また、金額的には大きなものではありませんが、シーズンごとのタイヤ交換を業者に任せる場合は、それも維持費の一つとなります。
駐車場の違い
車は必ず駐車場を決めておき、普段からその場所に停めておかないと法律違反になります。
自宅の敷地内に停められるスペースがあれば駐車料金は無料ですが、スペースがなければ駐車場を借りなければなりません。
こうした駐車スペースの賃貸料も、年間の維持費として計算すると数万円にのぼることがほとんどです。
また、借りる際は自宅から近い場所や車のサイズに合ったスペースをきちんと探す必要があるので、費用の問題も念頭に置きながら自分にあった場所を探しましょう。