車の維持費についての疑問

車の維持費の計算方法とは?費用の各項目について解説

車の維持費の年間金額・および月の平均金額を計算するためには、税金のように年単位でかかる費用から故障時などに突発的に発生する費用など、さまざまな項目を把握する必要があります。

この記事では、そもそも車の維持費とはどのようなものを指すのか、その一般的な定義や分類をはじめ、項目ごとに費用を抑えるためのコツなどを解説します。

突然、意外な維持費がかかって慌てることのないように、内容をしっかり確認しておきましょう。

車の維持費は3種類に分類できる

車の維持費は3種類に分類できる
最初に、車の維持費について説明しましょう。

ここでは車の費用を「走行するための費用」「安全のための費用」「制度上の費用」の3種類に分けます。これは大まかな便宜上の分類で、公式なものではありません。

そして、この3種類ごとに具体的にどのような事柄でお金がかかるのかを説明します。

維持費を節約する方法も種類別に考えていきますので、車の維持費についての理解を深め、車の所有にかかるコスト削減に役立ててください。

走行するための費用

走行するための費用
車にかかる維持費のうち「走行するための費用」は、燃料や基幹部品といった「ないと走行できないもの」に関する費用です。

具体的には、ガソリンなどの燃料、エンジン、タイヤなどが挙げられます。

燃料

車の走行で必須なのが燃料です。主にガソリンと軽油があり、近年は電気を動力源とするEV車や電動バイクなども増えています。

ガソリンは、さらにレギュラーとハイオクに分けられます。これらを燃料単価が高い順に並べると、「ハイオク>レギュラー>軽油>電気」となります。

しかし、いわゆる燃費は車の状態や運転の仕方によって大きく変わってくるでしょう。

燃費を気にするなら燃料や動力源よりも、自分の運転スタイルと車そのものの燃費性能のほうが重要です。

基幹部品・タイヤ

次に車での走行に欠かせないものとして、基幹部品であるエンジンが挙げられます。車のパーツの中でもエンジンは最も高価となり、修理すると10万~20万円、交換すると30万円以上は必要になるでしょう。

また、タイヤも意外と高額で、交換するとなると約10万円かかることもありますし、雪国の場合はスタッドレスタイヤも必要なので、相当な支出になります。

タイヤは走行すればするほど摩耗しますし、摩耗が進めばそのままだと車検に通りません。3~4年おきに交換することを考えておいたほうがいいでしょう。

安全のための費用

安全のための費用
車にかかる維持費のうち「安全のための費用」は、車検や法定点検、自動車保険料やメンテナンス費用などがあります。

これらが欠けると安全面で問題がありますし、場合によっては法律で罰せられることにもなります。

車検

車検は走行時の安全や環境保護の観点から行われる検査です。一部のバイク等を除くと、ほとんどの車が定期的に車検を受ける義務があります。

一般的な自動車の場合、車検は2~3年おきに受けますが、その際に支払う車検代の高さは車の維持費の中でもトップクラスです。

普通自動車なら約10万円は見ておいたほうがいいでしょう。一方、軽自動車は60,000円~80,000円程度が相場ですが、車種によって大きく異なります。

法定点検

車検とは別に、車の持ち主は半年〜1年ごとに法定点検も受けなければなりません。法定点検は法律上の義務ではありますが、罰則はないので受ける・受けないは自由です。

一般的に12カ月点検の場合は約10,000円~20,000円がかかります。ただし、この金額は点検を行う業者によって異なりますし、車の状態にもよります。

劣化や摩耗が進んでいてパーツ交換が必要になれば、それだけ高額になるので費用を抑えたいなら不具合がないか日常的にこまめにチェックするようにしましょう。

自動車保険

自動車保険は、万が一車での事故に遭遇した場合、主に相手方の損害を補償するために加入します。未加入の場合、損害賠償は自己負担となるので、保険料はそうしたリスクを避ける「安全」のための費用と言えます。

自動車保険も、年間で数万円の支出となることがほとんどです。ひと口に自動車保険と言っても、大まかには「賠償責任保険」「傷害保険」「車両保険」の3種類の組み合わせによって成り立っています。

保険料を節約する場合は、これらの項目の補償内容を調整していくことになるでしょう。

メンテナンス・消耗品

車の安全性をキープするには、年単位で行われる法定点検だけでは不十分で、定期的にメンテナンスを行う必要があります。その結果、部品の摩耗や劣化、消耗品の不足などが見つかれば、修理・交換費用がかかります。

例えば、車が一定の走行距離に達したタイミングなどで、エンジンオイルとエレメントを交換しなければなりません。また、車の汚れは放置するとサビの原因になるので、洗車や掃除もこまめにしたほうがいいでしょう。

こうした費用は1回ごとの支出額は少ないものの、積み重なるとそれなりの金額になります。

また、地域によってはワイパーやタイヤも冬用のものが必要となるので、こういった費用も計算に入れておかなければなりません。

このように、車は定期的な部品・消耗品の交換と、あとは小さな不具合に気付いたらすぐに専門業者に点検・修理を依頼することが必要です。

古い車ほど不具合も起こりやすいので、こうした場合の費用も余裕を持って確保しておきましょう。

制度上の費用

制度上の費用
車にかかる維持費のうち「制度上の費用」は、車の走行や安全性について悪影響はないものの、支払わなければ何らかのペナルティが課されるものを指します。

以下では挙げませんが、これには車検費用も含まれます。

自賠責保険

自賠責保険は車の保険の一種で、法律に基づき、ほぼ全ての乗用車がこの保険への加入が義務付けられています。保険なので、先述した自動車保険と同様に「安全のための費用」に分類することもできるでしょう。

ただし、自賠責保険は強制保険となり、未加入の状態で公道を走行すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金、さらに違反点数6点となります。

このようなペナルティが設定されていることや、補償内容を自分で選べず保険料の金額や保障内容が最初から一律で定まっている点が自動車保険とは大きく異なります。

また、自賠責保険の補償対象は人的被害に限られます。死亡した場合は被害者1名につき3,000万円を限度、また怪我を負った場合は被害者1名につき120万円を限度として、それぞれ支払われることになっています。

税金

車を所有していると、税金もかかります。

普通自動車には25,000円~10万円の範囲で自動車税が、軽自動車には5,000円~10,000円の範囲で軽自動車税が課せられ、いずれも未納のままだと車検が受けられないなどのペナルティがあります。

また、車検の際に自動的に徴収される自動車重量税は、車両本体の重量0.5トンごとに課税され、車齢が高くなると高額になる点が特徴的です。

さらに、車が環境に及ぼす影響の大きさに応じて環境性能割という税金もかかります。

ローンの利息

車の購入に際してローンを組んでいる方は、元本部分が初期費用で、利息分が維持費用にあたると言えるでしょう。

ローンの支払いについても、滞納すると最悪の場合は差し押さえ等のペナルティを課されることがあります。

自動車ローンの支払額は、ローン会社や金融機関との契約内容によるので一概には言えません。契約内容によってはトータルで数十万円も利息を支払うことになりますので、余裕があるなら車の購入時に一括現金払いにするのが一番でしょう。

免許更新費用・反則金など

車そのものの維持費ではありませんが、運転するためには、運転免許証の更新費用も必要です。

基本的には更新手数料が一律2,500円かかるだけですが、違反などがあった場合は法定講習手数料として500円~1,350円がプラスになります。

交通違反で摘発された場合は、反則金を支払わなければいけません。これも厳密には車そのものの維持費ではありませんが、一度発生するといつかは絶対に支払わなければならず、金額も数万円にのぼることがあるので注意しましょう。

維持費が高い車とは?

維持費が高い車とは?
ここまでで、車の維持費を種類ごとに説明してきました。こうした維持費が高くつくか安く済むかは、車のタイプによって最初からある程度は決まります。

ここからは、特に維持費がかさみがちな車のタイプについて説明していきます。

中古車

維持費が高くつくタイプの車として、まず挙げられるのが中古車です。特に注目すべき項目は「自動車重量税」です。

自動車重量税は、車両本体の重量0.5トンごとに課税される税金で、車齢によっても金額が変動します。

例えば、車両重量が1トン以下の乗用車の場合は以下のように金額が変動します。

13年未満 16,400円
13年以上 22,800円
18年以上 25,200円

次に注意すべきなのが「自動車保険の保険料」です。

車両保険は、車種・年式・グレードによって補償額の上限が決まっています。そのため、古い車ほど十分な保険金額をつけられず、新車の場合と比べて相対的に保険料は割高だと言えるでしょう。

また、古い車は部品の劣化や摩耗が進んでいることが多いです。頻繁なメンテナンスが必要になり、その分の費用がかかります。

例えば、走行距離10万キロ超えだとゴム系の部品交換が、また30万キロ超えだとエンジンやミッションなど基幹部品の修理が必要になることも珍しくありません。

次に注意すべきなのが「燃料費」です。

エンジンの劣化が進めばもちろん燃費は悪くなります。技術の進歩によって車の燃費は向上しているので、新車と比較すると古い車は相対的に燃費が落ちることになります。

これらの理由により、中古車は維持費がかかりやすいと言えます。

車種による違い

車の維持費は車種によって異なりますが、単純に言えば、サイズが大きい車や、排気量が大きくパワー・スピードが出る車であればあるほど、維持費は高くなります。そのため、スポーツカーや輸入車、ミニバンは特に高くつきます。

目安として、車種ごとに月々の維持費の平均額を見ていきましょう。

軽自動車 約30,000円ほど
コンパクトカー 約36,000円ほど
Lクラスミニバン 約40,000円ほど

むやみに費用を節約する前に、まずはこうした車種選びから検討するのも大切です。

維持費を抑える方法

維持費を抑える方法
ここまでで車の維持費の種類と、中古車など維持費が特に高くつく車のタイプを説明してきました。

では、こうした費用を節約するにはどうするといいのでしょう?先に挙げた維持費の種類ごとに分けて考えていきましょう。

走行するための費用を抑えるには?

車の維持費を抑えるために、先述した分類のうち「走行するための費用」を節約することを考えてみましょう。

まずは燃費です。

車は「急発進」「急停止」「長距離」「高速」「悪路」「過積載」などの状態での走行を行うことでエンジンに負担がかかり、燃費が悪くなります。そのため、こうした運転は控えましょう。

もしもこれから車を購入するのであれば、ガソリン(レギュラーとハイオク)、軽油、電気のうち、単価が安いものを動力源とする車を購入する方法もあります。ただし、いくら単価が安くとも、燃料を浪費するような運転をしては意味がないので要注意です。

また、どこで給油するのかも重要です。燃料の単価は給油所ごとに違うのでこまめにチェックしてみてください。フルサービスかセルフかによってもだいぶ異なりますし、割引サービスが充実しているところを選ぶのもいい方法です。

さらに、エンジンに負担をかけるような運転は控えつつ、メンテナンスもこまめに行うようにしましょう。そうすれば基幹部品の劣化やタイヤのすり減りも抑えられます。

安全のための費用を抑えるには?

次に、車の維持費を抑えるために、先述した「安全のための費用」を抑えることを考えてみましょう。

まずは車検費用を節約する方法です。

車検を受ける際は、複数の業者から見積もりをもらって比較し、最も安いところに依頼するといいでしょう。ただし、あまりにも安いところだと最低限の点検しか行われないこともあるので注意してください。

また、車について知識や興味がある方なら、陸運(支)局に車を持ち込んで自力で車検を行う「ユーザー車検」もおすすめです。業者に依頼した場合と比較してかなりの金額を抑えられます。

次に法定点検の費用です。

法定点検は車検と違って受けなくても罰則はないので、一番簡単な節約法は「点検を受けない」ことです。

しかし、点検を受けることで安心してカーライフを過ごすことができます。また、自動車の故障を未然に防ぐこともできるため、結果的に節約になるかもしれません。

「受けないと節約になる」と安易に考えるのは止めて、きちんと検討しましょう。

次に自動車保険の保険料は、補償内容を見直すことで節約できるかもしれません。また、できるだけ日常的に車の状態をチェックすることで、メンテナンス費用も抑えられるでしょう。

このように、費用を抑えるにはいくつかの方法があります。しかしいずれにせよ車の安全に関わる費用なので、むやみに節約することで車の安全を損なうことがないように注意してください。

制度上の費用を抑えるには?

次に、車の維持費を抑えるために、先述した「制度上の費用」を抑えることを考えてみましょう。

まず、自賠責保険料については保険料が全国一律で体系的に決まっているので、自動車保険のように費用を調整することは基本的にできません。

どうしても自賠責保険料を節約したいなら、最初から保険料が安い車種を購入することです。また、保険料が変動し値下がりしたタイミングで加入・更新したり、離島など保険料が安い地域で手続きをしたりするという方法もありますが、あまり現実的ではないでしょう。

税金に関しては、「エコカー減税制度」を利用する方法があります。これは環境に優しいとされる電気自動車などのエコカーを購入すると、初回あるいは2回目の車検まで、自動車重量税が減税・免税されるという仕組みです。

あとはローンを組む時点で、できるだけ金利の安い金融機関を探して契約を組んだり、頭金を可能な限り多めに払っておいたりするのも有効です。そうすることで、今後の支払い利息を減らすことができるでしょう。

車は初期費用もかかる

車は初期費用もかかる
車の購入時には、店頭表示などで示されている車両価格のほかにも「初期費用」がかかるので、覚えておく必要があります。

維持費とはまた別にかかるこの初期費用の内容と、これを節約するための方法を説明していきます。

新車は初期費用が高い

新車を購入する場合は、特に初期費用が高くつきます。一般的に、初期費用は車両価格の1割から2割が相場と言われています。

例えば、200万円の新車を買ったら、総額で220万円はかかると考えるといいでしょう。

一方、中古車はこうした初期費用がほとんどかかりませんが、中古ゆえに故障や不具合が起きやすいというリスクもあります。そのため、維持費のほうが高くつく可能性があります。

そのため、車を購入する場合は初期費用と維持費、どちらが高くなるほうを取るか、という話になるでしょう。

初期費用を抑える方法

車を購入する時にかかる初期費用を抑えるには、前述したように新車ではなく中古車を買うという方法があります。

また、初期費用の節約とは少し違いますが、数年後に車を売却することを見越して、高値で売却可能な車を選ぶというやり方もあるでしょう。

最近では「カーリース」というサービスもあります。これは車の初期費用や維持費用をあらかじめ全て込みにして、毎月返済しながら車を利用することができます。しかし、最終的に精算する段階でトータルで見るとかえって高額になるというケースもあるので、利用する際は注意しましょう。

車は売却費用や廃車費用もかかることがある

車は売却費用や廃車費用もかかることがある
車にかかる費用は初期費用と維持費だけではなく、処分する際にも発生するので覚えておきましょう。

例えば、売却するとしても、査定費用、名義変更手数料、印紙代、書類発行代などで20,000円~30,000円が必要になり、査定額から差し引かれることがあります。

また、廃車にする場合も解体費、運搬費、登録抹消手数料などが発生する可能性があります。

車を処分する際はこれらも考慮しておくといいでしょう。

まとめ

①車の維持費は「走行」「安全」に関わるものと、支払い義務があるものの3種類に分類できる
②走行に関わる費用は、燃料代と基幹部品・タイヤの費用が挙げられる
③安全に関わる費用は、車検や点検費用、自動車保険料、メンテナンス費用などがある
④自賠責保険や税金などは支払い義務がある
⑤中古車や排気量が大きい車は維持費が高くなりがち
⑥反対に、新車は初期費用がかかる
⑦売却・廃車時に費用がかかることもある
※本記事は公開時点の情報のため最新と異なる場合があります。
カータル編集部
カータル編集部
この記事は中古車の売却、査定などについての知識が豊富な私たちが執筆しています。車を少しでも高く売るコツや必要な書類、手続きに関する疑問や質問にお答えしています。

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