自分の車を持っていると、すぐに買い物や旅行に行けて大変便利です。しかし、車は購入費用だけでなく、その後の維持費も考えなければなりません。車を動かすために必要なガソリン代は分かるとしても、その他の税金や保険にどれくらいの金額を見ておくべきなのでしょう?
この記事では、車を維持していくために必要な金額を税金や保険に注目して解説します。
車の維持費とは?
車を購入する場合、車両本体の費用だけでなく、その後所有し続けるために必要な維持費がどれくらいかかるのかも考えておくことが重要です。
維持費には「必ずかかるもの」と「そうでないもの」があります。まずは車の維持費にどんなものがあるのか、簡単に見ていきましょう。
①税金
②保険料
③ローン代
④駐車場代
⑤ガソリン代
⑥車検、整備代
上記のうち、任意保険に入っていない、家に駐車場がついているなどの場合には、その分の維持費はかかりません。
車の税金について知っておこう
車を所有し維持し続ける限り、定期的に税金を払い続けなければなりません。
ここからは、その税金が発生するタイミングとどれくらいかかるのかを詳しく見ていきましょう。
自動車税は普通自動車を所有している人に支払いが義務付けられている都道府県民税です。
軽自動車税は軽自動車を所有している人に支払いが義務付けられている市区町村税です。
2つとも毎年4月1日時点での車の所有者に請求されます。
自動車税は車の総排気量によって区分があり、税額は変わってきます。排気量が少なければ安く、排気量が多ければ高くなる仕組みです。
一方、軽自動車税は総排気量に関わらず一律の金額となっています。
自分の車の排気量は車検証(自動車検査証)から確認ができます。
なお、自動車税や軽自動車税は、2019年10月に税額が改定されました。そのため、2019年9月までに購入した車と2019年10月以降に購入した車では税額が異なるので注意しましょう。
2019年9月までに購入した車の場合、その車を買い替えない限り税金の額は改定前の税額が適用されます。
また、支払いを忘れていた場合は地域によって滞納が1ヶ月以内なら1%、1ヶ月以上過ぎたら7.3%加算されることがありますのでこちらにも注意が必要です。
自動車税や軽自動車税は、自家用と営業用の車で税額が異なります。
そこで、今回は自家用車の具体的な金額を紹介していきます。
1000cc以下 | 改正前25,900円 | 改正後25,000円 |
---|---|---|
1,000cc超~1,500cc以下 | 改正前34,500円 | 改正後30,500円 |
1,500cc超~2,000cc以下 | 改正前39,500円 | 改正後36,000円 |
2,000cc超~2,500cc以下 | 改正前45,000円 | 改正後43,500円 |
2,500cc超~3,000cc以下 | 改正前51,000円 | 改正後50,000円 |
3,000cc超~3,500cc以下 | 改正前58,000円 | 改正後57,000円 |
3,500cc超~4,000cc以下 | 改正前66,500円 | 改正後65,500円 |
4,000cc超~4,500cc以下 | 改正前76,500円 | 改正後75,500円 |
4,500cc超~6,000cc以下 | 改正前88,000円 | 改正後87,000円 |
6,000cc超 | 改正前111,000円 | 改正後110,000円 |
改正前 | 10,800円 |
---|---|
改正後 | 10,800円 |
自動車税や軽自動車税は、車の新車登録からの経過年数によっては増額となることがありますので、自分の車の年数には注意しておきましょう。
新車登録から13年以上経ったガソリン車またLPガス車もしくは11年以上経ったディーゼル車の場合、自動車税は約15%、軽自動車税は約20%高くなります。
ただし、ハイブリッド車については対象外です。
自動車重量税は普通自動車の場合は車の重さに応じて税金が定められています。一方、軽自動車の場合は重さに関わらず定額です。
新車であれ中古車であれ、車を購入した際に支払いますが、その後は車検ごとに次の車検証の有効期限までの分をまとめて支払います。
税額はエコカーであることにより減税されることもあれば、車の新規登録からの経過年数によっては増税となることもあります。
なお、車の重量とは車両総重量ではなく、自動車検査証に記載されている車両重量のことです。
自動車重量税は普通自動車だと0.5トンごとに税額が変動します。軽自動車は一律の金額です。
そして、後ほど説明するエコカー減税の対象車は免税とならない限りはエコカーの税額(本則税率)が該当です。
また、エコカー以外は車の新規登録からの経過年数によっても税額が変わりますので注意しましょう。
今回は車検期間2年の場合のそれぞれの金額を紹介していきます。
0.5トン以下 | エコカー 5,000円 |
12年まで 8,200円 |
13年経過 11,400円 |
18年経過 12,600円 |
---|---|---|---|---|
0.5~1トン以下 | エコカー 10,000円 |
12年まで 16,400円 |
13年経過 22,800円 |
18年経過 25,200円 |
1~1.5トン以下 | エコカー 15,000円 |
12年まで 24,600円 |
13年経過 34,200円 |
18年経過 37,800円 |
1.5~2トン以下 | エコカー 20,000円 |
12年まで 32,800円 |
13年経過 45,600円 |
18年経過 50,400円 |
2~2.5トン以下 | エコカー 25,000円 |
12年まで 41,000円 |
13年経過 57,000円 |
18年経過 63,000円 |
2.5~3トン以下 | エコカー 30,000円 |
12年まで 49,200円 |
13年経過 68,400円 |
18年経過 75,600円 |
エコカー | 5,000円 |
---|---|
12年まで | 6,600円 |
13年経過 | 8,200円 |
18年経過 | 8,800円 |
自動車重量税のエコカー減税とは、燃費また排ガス性能が優れている車の能力に応じて、自動車重量税の税率を下げるものです。
対象となる車は以下の通りです。
- 電気自動車
- 燃料電池自動車
- 天然ガス自動車
- プラグインハイブリッド自動車
- クリーンディーゼル乗用車
- 環境性能に優れた一部のガソリン車
- LPG車
- ハイブリッド車
自分の購入する車が該当するかどうかは販売店に確認しましょう。
自動車重量税のエコカー減税の内容は「新車登録がいつであるか」「どのような車であるか」によって変わります。
車の維持費に大きく関わるのは、初回継続検査(車検)が免税される場合です。
今回は2021年4月30日までに新車登録した場合の減税内容を紹介します。
電気自動車 | 免税 |
---|---|
燃料電池自動車 | 免税 |
プラグインハイブリッド自動車 | 免税 |
天然ガス自動車 平成30年排出ガス規制適合 |
免税 |
クリーンディーゼル車 | 免税 |
電気自動車 | 免税 |
---|---|
燃料電池自動車 | 免税 |
プラグインハイブリッド自動車 | 免税 |
天然ガス自動車 平成30年排出ガス規制適合 |
免税 |
クリーンディーゼル車 | 免税 |
ガソリン車 | 新規検査(新車購入時) 初回継続検査(車検) 免税 |
---|---|
LPG車 | 新規検査(新車購入時) 初回継続検査(車検) 免税 |
ハイブリッド車 | 新規検査(新車購入時) 初回継続検査(車検) 免税 |
ガソリン車 | 新規検査(新車購入時) 免税 |
---|---|
LPG車 | 新規検査(新車購入時) 免税 |
ハイブリッド車 | 新規検査(新車購入時) 免税 |
ガソリン車 | 新規検査(新車購入時) 50%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
---|---|
LPG車 | 新規検査(新車購入時) 50%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
ハイブリッド車 | 新規検査(新車購入時) 50%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
ガソリン車 | 新規検査(新車購入時) 25%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
---|---|
LPG車 | 新規検査(新車購入時) 25%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
ハイブリッド車 | 新規検査(新車購入時) 25%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
上記に該当しない場合は、エコカー減税の対象外となります。
2021年5月1日~2023年4月30日までに新車登録した場合の減税内容は以下の通りです。
電気自動車 | 免税 |
---|---|
燃料電池自動車 | 免税 |
プラグインハイブリッド自動車 | 免税 |
天然ガス自動車 平成30年排出ガス規制適合 |
免税 |
クリーンディーゼル車 2020年度燃費基準達成 |
免税 |
クリーンディーゼル車 2030年度燃費基準120%以上達成 |
免税 |
電気自動車 | 免税 |
---|---|
燃料電池自動車 | 免税 |
プラグインハイブリッド自動車 | 免税 |
天然ガス自動車 平成30年排出ガス規制適合 |
免税 |
クリーンディーゼル車 2020年度燃費基準達成 |
免税なし |
クリーンディーゼル車 2030年度燃費基準120%以上達成 |
免税 |
ガソリン車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 初回継続検査(車検) 免税 |
---|---|
LPG車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 初回継続検査(車検) 免税 |
ハイブリッド車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 初回継続検査(車検) 免税 |
ガソリン車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 免税 |
---|---|
LPG車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 免税 |
ハイブリッド車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 免税 |
ガソリン車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 50%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
---|---|
LPG車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 50%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
ハイブリッド車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 50%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
ガソリン車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 25%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
---|---|
LPG車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 25%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
ハイブリッド車 2020年度燃費基準達成 平成30年排出ガス基準50%低減車 |
新規検査(新車購入時) 25%減税 ※本則税率からの減税となります。 |
2030年度基準60%未満の場合は、エコカー減税の対象外となります。
車の保険について知っておこう
車の保険料も、車を所有している限り定期的に支払う必要のある維持費です。通常は一定期間分をまとめて支払うため、それなりに高額になります。
ここからは、保険の内容と費用について説明していきます。
自賠責保険は加入が義務となっていますが、任意保険はそうではありません。しかし、事故が起きた時のことを考えると任意保険も加入しておいたほうが良いでしょう。
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法に基づき、原動機付自転車を含む全ての自動車の加入が義務となっています。事故の被害者を救済し、加害者が交通事故の賠償で経済的に多大な負担を抱えるのを補うことが目的となっています。加入しないことは法律違反であるため、車の維持費では必須となります。
車を購入した際に自賠責保険に加入するのが通常の流れです。最短1ヶ月、最長37ヶ月が加入期間となります。新車であれば37ヶ月、2回目以降は車検ごとに24ヶ月か25ヶ月で加入することが多いでしょう。
自賠責保険は対人補償が基本です。注意したい点として、対人とは被害者のことであり、加害者(自分)は含まれていないため契約者である本人への補償がありません。
また、対人補償額が傷害の場合120万円まで、死亡の場合3,000万円まで、後遺障害の場合4,000万円までという上限があり、必要最低限だけが補償される保険とも言えます。
さらに対物補償がないため、被害者・加害者を問わず車や物を破損しても補償されません。
自賠責保険の契約期間ごとの保険料は以下の通りです。
37ヶ月分 | 27,770円 |
---|---|
36ヶ月分 | 27,180円 |
25ヶ月分 | 20,610円 |
24ヶ月分 | 20,010円 |
13ヶ月分 | 13,310円 |
12ヶ月分 | 12,700円 |
37ヶ月分 | 27,330円 |
---|---|
36ヶ月分 | 26,760円 |
25ヶ月分 | 20,310円 |
24ヶ月分 | 19,730円 |
13ヶ月分 | 13,150円 |
12ヶ月分 | 12,550円 |
一部の地域(沖縄県や離島など)は価格が異なりますので注意が必要です。
任意保険は自賠責保険のように義務ではなく、必要だと判断した人が自分の意志で加入する保険です。
また、自賠責保険は被害者への補償が主であるのに対し、任意保険は被害者、加害者に関わらず補償の対象です。
被害者への賠償額が大きく自賠責保険だけではまかなえない時に、任意保険に加入していれば補償してくれます。また、車などの物が破損した場合の補償もあります。
保険の内容をまとめると以下の通りです。
- 対人賠償責任保険
- 対物賠償責任保険
- 人身傷害保険
- 搭乗者傷害保険
- 無保険車傷害保険
- 自損事故保険
- 車両保険
それぞれの保険で一般のプランとエコノミープランが用意されている場合もありますので、各保険会社に確かめましょう。
補償内容を考えると任意であるとはいえ、よほどの理由がない限りは加入し、維持費として含めるべきでしょう。
任意保険の保険料は契約者の状況によって異なります。そのため、自賠責保険のように一定の金額というわけではありません。
任意保険には「等級」というものがあり、初めて加入する場合は基本的に6等級から開始します。1年間保険の利用がなければ翌年度の更新時に等級が1つ上がり、保険料が値下げされる仕組みです。
保険の支払いが必要な事故を起こさなければ、最短では14年で上限の20等級に到達します。事故に遭う危険が高ければ保険料も高く、危険が低くなれば保険料も低くなるのです。
保険料に反映される項目は以下の通りです。
- 年齢
- 性別
- 地域
- 運転歴
- 車の種別
- 安全装置の有無
- 車の使用目的(営業用、自家用など)
- 年間走行距離など車の使用状況
- 車の所有台数
どの項目を採用しているかは保険会社によって異なりますが、保険料率は保険数理や統計に基づいて決定されます。
任意保険の平均的な保険料を各年代ごとにまとめてみました。車両保険を付けた場合の年間の金額になります。参考までに確認しておきましょう。
21歳~25歳 | 10万~15万円前後 |
---|---|
26歳~29歳 | 5万円~10万円前後 |
30代~60代 | 4万円~6万円前後 |
ただし、個人によって状況も車も異なり、それによって保険料も変わります。平均より大幅に上回っていたり下回っていたりしたとしても、補償が重複していなくて自分に合った保険内容なのであれば問題ないでしょう。
任意保険には各種割引があります。適用されれば数%、または数百円ほど保険料が安くなります。
各保険会社によって割引内容は異なりますので、事前に確認しておいて有効に活用しましょう。以下は一例です。
- 早期契約割引
- 新車割引
- インターネット契約割引
- サポカー割引
- ゴールド免許割引
- 保険証券発行なし(Web証券)割引
- エコカー割引
- 福祉車両割引
- 運転性向(走行特性)割引
- ノンフリート多数割引
- セカンドカー割引
車の年間維持費と車選び
では、車の年間の維持費はどれくらいになるのでしょう?
平均的な金額は以下の通りです。
軽自動車 | 年間30万~40万円ほど |
---|---|
小型自動車(5ナンバー) | 年間40万~50万円ほど |
普通自動車(3ナンバー) | 年間50万~60万円ほど |
ただし、都内は駐車場代が他の地域に比べて高いといった地域特有の要件もあれば、毎日乗る場合とそうでない場合にはガソリン代にも差が出ますので、金額も変わってくるでしょう。
年間維持費を抑えるために車の買い替えを検討することもあるかもしれません。その際には、それぞれの車のメリット・デメリットを理解し、車の用途や乗る人数を考えた上で選びましょう。
車の年間維持費は車種によっても変わることが分かったでしょう。維持費を安く済ませたい場合は軽自動車にすればいいと安易に考える方もいるかもしれません。
しかし、軽自動車、小型自動車、普通自動車にはそれぞれのメリットとデメリットがあります。その点を理解した上で車を選ぶことが大切です。
- 維持費や高速料金が安い
- 小回りが利くため走行・駐車しやすい
- 5人以上は乗車不可
- 車体が軽いため衝撃に弱い
- 長距離運転に向かない
- 燃費が良く小回りも利くなどコストパフォーマンスが良い
- 5人乗り可
- 有料道路の料金は普通自動車と同じ
- 普通自動車よりパワーが弱く長距離運転に不向き
- 長距離運転をしても疲れにくい
- 5人以上乗車可、小型自動車より広い
- 運転中の音が静か
- 荷物がたくさん載せられる
- 維持費が高い
- 車体が大きいため小回りが利かない
維持費を考慮することも大切ですが、自分のライフスタイルに合った車を選ぶことが大切です。