これから電気自動車の時代がやってくるとされています。燃料が電気に変わっても、車を長く乗り続けていくには維持費がかかります。
電気自動車の維持費はいくらくらいかかるのでしょう?また、電気自動車に乗るメリットやデメリットは何でしょう?
これらの疑問について詳しく説明していきます。
車を維持するには費用がかかります
車は人を目的地まで移動させたり、大きな荷物を運んだりすることができる便利な乗り物です。
しかし、車を所有すると様々な費用がかかります。例えば、車を走らせるための燃料代や事故を起こした場合の補償として自動車保険の料金などを支払わなければなりません。
車の維持費とは?
欲しい車を手に入れても、それで終わりではありません。車を維持していくためには費用がかかります。
ここからは、自動車保険の料金、車のメンテナンス費用や点検費用、自動車税や重量税などの税金、燃料代などの維持費について詳しく説明していきます。
自動車保険は、強制的に加入が必要な「自賠責保険」と任意で加入する「任意保険」の2種類があります。
自賠責保険は所有する車にかける保険であり、道路を走行する上で未加入だと自賠責法により処罰の対象となります。
自賠責保険の目的は被害者を救済することですが、補償する金額には上限があります。それ以上の金額が必要な場合は実費となります。
任意保険は自賠責保険の上限を超えた対人補償から無制限に補償が行われるため、出来る限り加入しておいたほうが安心です。
また、任意保険には対人補償以外にも対物、物損、車両など様々な補償があります。自分が必要な補償内容を選択して、万が一の場合に備えておきましょう。
車はあらゆる条件の道路でも走れるように、自動車製造メーカーで開発やテストを繰り返した上で新車として市場へ出てきています。通常の状態で車を使用されて起きる不具合に関しては、期間や走行距離に応じてメーカー保証により無償修理や交換を受けることが可能です。
自動車メーカーはあらゆる条件を想定してテストを繰り返し行い、ブラッシュアップしていくことで、トラブルの発生を極力起こさないようにしています。
しかし、使用者が日頃のメンテナンスを行わずに乗りっぱなしにしていると、本来耐久性のある部品に異常が発生します。摩耗や破損が起こり、最悪の場合には車の三大要素である「走る・曲がる・止まる」に関してトラブルを招く恐れもあるでしょう。
そのようなことが起こらないように、車に乗る前には日常点検や年に1度の定期点検を行うことをおすすめします。車の知識や経験がある方なら日常点検をできますが、一般的には点検を行うことは難しいです。そのため、整備工場で車の定期点検を行うことをおすすめします。
整備工場では、車の現状がどのようになっているのか、修理や交換すべき箇所を車の使用頻度を踏まえてアドバイスしてくれます。マイカーの健康状態を知り、メンテナンスの計画も立てることができます。
点検費用に関しては、国産車であれば5,000円~15,000円程です。交換する部品がある場合はプラスで費用がかかります。
また、点検を行うお店によって費用は異なります。どこに頼むか迷うかもしれませんが、安心して任せられるお店を探すようにしましょう。
車を所有すると「自動車税」と「重量税」の納税義務が発生します。
自動車税は、所有する車のエンジン排気量によって税額が決められています。エンジン排気量が大きくなればなるほど金額は高くなります。また、毎年4月1日現在の車の所有者宛に納税通知書が届けられるので、5月末までに支払いましょう。
重量税は、所有する車の重量によって税額が変わります。車検時に前払いで納付します。
維持費の中でも、最も費用が掛かるのが燃料代になります。車を走らせ続けるには燃料が必要で、給油する度に費用は嵩みます。
車を使用する頻度や距離などで燃料代は大きく変わりますので、月々の費用が大幅に掛かるのであれば、車の乗り換えも視野に入れて検討する必要があります。
維持費を抑えることができる車とは?
車には維持費がかかることをお伝えしていますが、車の選択によっては維持費を抑えることができます。
現在の車で主流となるのが、モーターとエンジンを搭載したハイブリッド車です。主に駆動をモーターで行い、モーターが使用する電気はエンジンで発電を行いバッテリーに充電していきます。
ハイブリッド車はエコカーと呼ばれ、自動車保険の割引や重量税の減免や減税そして燃費が良いことなど、維持費についても抑えることが可能です。
電気自動車のしくみ
電気自動車は、バッテリーに蓄えられた電気により駆動モーターを動かして車を走らせます。そのため、燃料を燃やすことで動力としていたエンジン車とは違い、排気ガスを一切出さずに走行できる電気自動車は、環境に最も優しい車と言えます。
走ることで電気を消費する分、全てではありませんが坂道や信号での減速時に駆動用モーターが回されることで電気を発生させ、バッテリーへ蓄えたり、パワーが必要な時にはアシストしたりする働きがある点が特徴です。
しかし、駆動の電気使用量の方が多いため、外出先での充電ポイントや自宅での充電設備によるバッテリーへの充電は不可欠です。スマートフォンのバッテリー残量が減れば充電するように、電気自動車でも同じように充電を行う必要があります。
電気自動車のメリットは、モーターにより走ることで振動や騒音が少なく、車内が静かであるということです。
また、重量物であるバッテリーをフロアーに置くことで、低重心化とバッテリーを支えるためのフレーム補強などによりボディがしっかりしていることから、足回り部品も本来の機能を果たせとても乗り心地が良く安心した走行を行うことができます。
電気自動車の1番のメリットは、電気代(燃料代)が安く済むことです。また、自動車保険や税金などの各種割引が受けられるので、維持費も抑えることができます。
電気自動車のデメリットは、バッテリーの持ち時間=航続距離だという点です。
電気自動車は駆動モーターを動かす力以外にも、冷暖房などの快適装備も全てバッテリーからの電気を使用するため、使えば使うほど航続距離は短くなっていきます。
また、使用した電気を回復する時間が非常に長く、エンジン搭載車のように数分で給油が終わらせられるわけではありません。1回の急速充電では満充電にはならず、航続距離が長く走れる大きなバッテリーを搭載している車種ではとても時間がかかります。
また地方では充電スタンドも少ないため、目的地までの充電ポイントをあらかじめ探しておくことや充電時間に取られる時間を考慮しておくことが必要です。移動時間に余裕を持った計画を立てなければいけないでしょう。
購入時や購入後に関しても国からの補助や様々な割引を受けることにより維持費を抑えることができます。
電気自動車とガソリン車の維持費の違い
電気自動車とガソリン車での維持費を比べると、最も変わるのが燃料代です。
電気自動車にかかる電気代を家庭で充電する場合、1回の充電が200円程で300~400km/h走行することができます。ただし、これはバッテリーの大きさにもよります。
出先での充電は1回の充電で300~500円程費用がかかりますが、ガソリン車と比べれば明らかに安上がりです。
ガソリン車の燃料タンクを仮に50L満タンにするには、レギュラーガソリン1リッターで約150円と仮定すると、7,500円にプラス消費税で8,250円となります。
毎回の給油代を比較しても、電気自動車の電気代はお財布に優しいでしょう。また、日頃のメンテナンスに関してもエンジンオイルなどの交換が無い分費用を抑えられます。
電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車には、「クリーンエネルギー自動車/インフラ導入促進補助金」を国から受けることができます。
補助金は国が年度予算として確保していますが、車を購入時するタイミングによっては、年度予算が少なくなっていて満額の補助を受けられない可能性もあります。
また、排気ガスが少なく燃費の良い車には、自動車重量税の軽減又は減免してもらえる「エコカー減税」を受けることができます。対象車は電気自動車はもちろんのこと、条件に当てはまる車両であれば適用を受けることが可能です。
自動車税に関しても、排気ガスが少なく燃費の良い車を対象に「グリーン化特例」の適用により減免を受けることができます。しかし、登録する年度月には期限があります。
電気自動車を所有する際に、自宅での充電についても考えておくことが必要です。家で充電できれば走行を終えた電気自動車を自宅で駐車している間に充電しておくことでバッテリーの電気を回復することができます。
充電するために車を出す必要はありません。出先での急速充電ばかりではバッテリーへの負担もかかるため、ゆっくりと時間をかけて充電を行うことも必要です。
自宅での充電設備は、電気自動車へ充電するためのコンセントを家の外へ設置する工事をしなければなりません。家庭内の電気ブレーカー(分電盤)から新たに配線を外部へ引き、電気のコンセントを取り付けることになりますが、建物の形状や立地条件によっては追加料金がかかる場合があります。
また、現在の電気会社との契約を見直す必要があります。契約しているアンペア数が電気自動車を使用できる契約となっているのかを電気会社へ確認しておきましょう。
充電ケーブルは電気自動車に搭載していますので、最低限200Vのコンセントが外部にあれば充電することができます。コンセントには壁掛けタイプやスタンドタイプなどもあります。
設置費用は一般的に4万~15万円程になりますが、国からの補助金が出されるのはマンションやアパートに充電スタンドを設置する場合のみです。地方自治体でも補助を行っている場合がありますので、確認してみてください。
電気自動車を自宅で充電する場合、契約プランによっては日中に充電を行うのと深夜(午前1時から午前6時まで)に充電を行うのでは、料金が異なることがあります。
あるプランでは日中の充電を午前1時から午前6時を除く時間を全て充電に充てると1kWhあたり約25.8円となり、19時間充電すると490円です。車種に搭載しているバッテリーにもよりますが、実際には19時間も充電しなくとも満充電になります。
また、夜間に重点する場合は1kWhあたり約17.8円となり、5時間の充電となりますので89円です。深夜料金が安く設定されていることが多いですが、契約されている電気会社のプランを確認しておくと良いでしょう。
電気自動車は、電気によりモーターを駆動させて走行します。モーターの特性として低回転からトルク(車を押し出す力)があり、アクセルを踏めば力強く加速していきますが、加速し続けるとその分電気を多く消費してしまいます。
電気自動車は、車が走っている状態からアクセルを離すことで慣性により進む力をモーターを回す力に変えることで、モーターが発電しバッテリーに充電することができます。
しかし、発進や停止が多い市街地、負荷がかかる坂道などアクセルを踏み込む操作が多い道路では電力消費が多くなりますので、消費に対して回収を補うことは難しいです。
任意保険に加入すると「等級」と呼ばれる数字が割り当てられます。等級は1等級から20等級まであり、新規加入時は6等級よりスタートします。
加入から1年間無事故により保険を使用せず更新を行うと、1等級数字が大きくなり6等級だったのが7等級になります。つまり、等級の数字が大きいほど事故を起こさない人ということです。
万が一、事故により保険を使用することになると等級は3等級下がり、次の更新月より3等級下がった割引率の少ない保険料を支払うことになります。これは事故によるペナルティとなりますので、元の等級に戻すには、無事故を3年間継続し、1年毎に1等級アップしていくことが必要です。
また、電気自動車やハイブリッド車などのエコカーと呼ばれる車は、保険料の割引を受けることができます。等級割引に加えて受けられる割引を契約時に確認しておくことも維持費を抑える方法のひとつです。
電気自動車を運転する際に気にかけておくことは、「目的地までの距離」「充電ポイントの場所」「自車のバッテリー残量をモニタリングしておくこと」です。
近距離を使用する分には自宅で充電を行えば良いのですが、遠出先では途中充電しないと目的地まで到着することが難しく、充電ポイントに立ち寄る必要性が出てきます。
日本の充電ポイントの多くは、充電サービス会社から発行される専用カードを使用して充電を行うことができます。しかし、カードを持っていない方やカードを忘れた方は、ゲストとして専用サイトから個人情報の入力操作を行うことで充電パスワードが発行され、利用することが可能となります。
毎回ゲストでの充電は割高となるため、充電サービス会社や自動車メーカーが行っているサービスと契約することで、外出先でもお得に充電を行うことが可能です。
サービスの利用料として月々一定額を支払うことになります。充電形態の組み合わせによりお得に充電を行うことができますが、契約プランによって支払金額は異なります。
充電サービスのプランは各社様々ですので、ご自身の車の使用用途や方法を確認した上で充電プランを決めましょう。
電気自動車は、エンジンの代わりに駆動するモーターとモーターの制御を行うことで、車としての部品点数が少なくなることで、点検での確認項目も減り、メンテナンス代としても安く抑えることができます。
また、エンジン車では定期的に交換を行っていたエンジンオイルの交換も、電気自動車では必要ありません。
電気自動車の特徴である慣性を利用してバッテリーへの充電を得ながらも、モーターを回す負荷を利用して車の速度を落とすことができます。
この特徴により、車は停止するほどまで減速しますが、車を停止させておく力は無く坂道での停止では車は動き出すため、ブレーキペダルを踏む必要があります。しかし、車を減速させるブレーキの使用頻度が少ないため、ブレーキのパッドなど消耗品はほとんど減らなくなりました。定期交換部品としてもロングライフとなり、メンテナンス代も抑えることができます。
電気自動車の電気を蓄えるバッテリーは、充放電を繰り返すことで徐々に劣化していきます。
身近なものだとスマートフォンの充電と置き換えれば、イメージができるでしょう。劣化が進むと満充電にならない他、電気消費も激しくなりバッテリーの持ち時間も短くなります。
これを電気自動車で置き換えると、充電をしても満充電にならず走行できる距離も短くなります。
しかし、電気自動車はスマートフォンのように簡単にバッテリー交換とはいきません。電気自動車のバッテリーは何本もの電池をフロアーに敷き詰めており、容易に取り外すことができないのです。
そのため、メーカーによってはバッテリーの劣化による保証を設けています。8年16万キロ程までバッテリーの無償交換を行っている自動車メーカーが多いです。
それだけの年月と走行距離を保証するということは、自動車メーカーとしても自信がある証でもあります。しかし、状況によっては保証を受けられない可能性がありますので、注意が必要です。
電気自動車の今後の課題
電気自動車は、環境に優しい乗り物ではありますが、電気自動車が普及するにつれて電力不足や電力設備の増設なども、国としてどのように確保していくのかを早急に検討し対応する必要があるでしょう。
世界的にも電気自動車へシフトする動きが始まっています。しかし、日本においてはインフラ整備が全土に整っていないため、今すぐ電気自動車を購入するのは得策とは言えない現状があります。
今後の国や自治体の動向を見て、しっかり見極めることが必要です。