普段私たちが何気なく乗っている自動車ですが、交通手段としてなくてはならない存在となっています。
車を走らせるには、もちろん燃料が必要です。ガソリンスタンドに行くと、ガソリンのほかにハイオク、軽油と書かれているのを見たことがあるでしょう。
今回は、その中でも軽油を燃料とするディーゼル車について解説していきます。維持費やメリット・デメリットも紹介するので参考にしてみてください。
ディーゼル車について
「ディーゼル車」という言葉を耳にしたことがあるという方も多いでしょう。しかし、普段ガソリン車に乗っている方にとってみれば、なかなか馴染みがないかもしれません。
まずは、ディーゼル車とガソリン車の違いについて説明していきます。
ディーゼル車は、軽油を燃料とするエンジンを搭載しています。軽油は着火性が良いという特性があるため、ガソリン車よりも燃費が良く、パワフルな走行が特徴的です。
以前は大気汚染物質の排出が問題となっていましたが、今では有害物質の排出量が少ないクリーンディーゼル車が開発され、次世代のエコカーとして期待されています。
ガソリン車は、ガソリンを燃料とする車です。空気とガソリンの混合させたものをエンジン内部で爆発させることにより、エネルギーを生み出します。
そのように生み出されたエネルギーを動力に変えて走行するため、エンジン音や振動がやや大きいという特徴があります。
二酸化炭素や窒素を含んだ大気汚染物質が、大気中に放出されるということも課題です。
ディーゼル車の燃料について
セルフ方式のガソリンスタンドが多い今、間違えてディーゼル車にガソリンを入れてしまうということも考えられます。
ディーゼル車に搭載されているエンジンは軽油にしか対応していないため、レギュラーガソリンやハイオクなど、他の燃料を使用することはできません。
給油の途中で気づいた場合は、そのままガソリンスタンドのスタッフに声をかけましょう。スタッフに間違えてディーゼル車にガソリンを入れてしまったことを説明すれば、すぐに燃料を抜き取りエア抜きを行ってくれます。
ガソリンスタンドから発車してしばらく走行してしまった場合は、気づいた時点で速やかに安全な場所に停まってください。ロードサービスやJAFにお願いすると、自動車修理工場に運んでもらえます。そこで同様の処置をしてもらいましょう。
ディーゼル車のメリットについて
ディーゼル車には、どのようなメリットがあるのでしょう?
ここからは、ガソリン車とは一味違うディーゼル車のメリットを紹介していきます。
前述しましたが、軽油は着火性が良いという特性があります。そのため、発生する熱のエネルギー変換効率が高いです。
ガソリンエンジンと比べると、2割~3割ほど燃費が良いとされています。
軽油はレギュラーガソリンと比べると、1リッターあたり20円~30円ほど安く売られていることが多いです。燃料費は必ずかかるものなので、その20円〜30円の差が積もり積もれば大きな差となります。
特に長距離歩行を頻繁に行うのであれば、ランニングコストの節約につながりやすいでしょう。
ディーゼル車は、エンジンの回転により発される力が、低回転時でも最大限に発揮されます。
具体的には、ガソリン車が最大限に力を発揮する回転数は4,000〜5,000回転なのに対し、ディーゼル車は2,000〜2,500回転です。つまり、アクセルを踏み始めてすぐに最大限の力が出るため、加速性能が高いということです。
上り坂や追い越し時などで加速したい時でも、スムーズにパワフルな走行ができます。
開発されたばかりのクリーンディーゼル車は、騒音や振動が大きいというデメリットがありました。
騒音や振動が大きいと、ドライバーが疲れやすいという特徴がありますが、現在日本で発売されているクリーンディーゼル車は、そのような点もしっかり改善されています。
運動性能も向上しているため、ストレスのない走行が可能です。
ディーゼル車のデメリットについて
ディーゼル車のメリットを説明しましたが、一方でデメリットも存在します。
ここからは、どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。
ディーゼル車は、軽油を燃料とする特殊なパワーユニットを搭載しているため、製造コストが高くなります。そのため、自ずとガソリン車よりも新車の販売価格が高くなってしまいます。
車体価格だけを見れば、ガソリン車のほうが魅力的かもしれませんが、エコカー減税などもありますので、トータル的に考えることが大切です。
ディーゼル車は、ガソリン車と比較するとオイル交換を頻繁に行わなければなりません。さらにクリーンディーゼル車の場合、オイルは専用のものを使う必要があります。
クリーンディーゼル車専用のオイルは、環境問題に配慮しているため通常のオイルよりも高価です。その上、オイル交換の期間も短いため、結果的に値段がかさみやすいでしょう。
また、クリーンディーゼル車には窒素酸化物の排出を抑制する装置がついています。この装置は定期的に取り換える必要があるため、ガソリン車にはないメンテナンス費用が発生することになります。
さらに、クリーンディーゼル車のエンジンをかける時は、ススが発生します。近くのスーパーに買い物に行ったり買い物を何カ所か回ったりといった「ちょい乗り」と呼ばれる運転をしていると、ススがたまりやすいため、メンテナンスをする回数が増えてしまうでしょう。
軽油は寒さに弱く、低温下では燃えにくい特性があります。さらに流動性が鈍り、寒冷地では凍結する可能性もあります。特に、気温が0度以下の環境下に長時間停めておいた場合は注意が必要です。
凍結や目詰まりを防ぐ方法としては、定期的な給油をすることが挙げられます。軽油がタンクの半分以下になった状態で、長時間駐車することがないように気をつけましょう。
寒冷地のガソリンスタンドでは、軽油に凍結防止用の添加剤が混ぜられていることが多いです。地域にあった軽油が販売されているため、雪の降らない温暖な地域から寒冷地へ向かう際は、道中や現地で給油することをおすすめします。
ディーゼル車の維持費について
ディーゼル車を所有するうえで、これからかかるであろう維持費を知っておくことは、少なからず今後のためになるでしょう。
ここからは、ディーゼル車の維持費について詳しく解説していきます。
自動車税(種別割)は、自動車を所有している人に課税される税金です。毎年5月頃に納税通知書が届きます。納税期限までに支払いますが、排気量によって納税する金額が異なります。
また、年度の途中に自動車の新規登録があった場合は、登録した月の翌月から年度末までの月数を支払います。廃車の場合も同様に月割課税となり、その期間は4月から抹消登録した月までです。
自動車を譲り受けたり、廃車にしたりした場合は、自動車検査登録事務所に登録変更または申告をしなければ、前の所有者に納税通知書が届いてしまうので注意しましょう。
また、自動車税(種別割)は、一定の条件を満たす場合に減免する制度があります。主に適用される車は、障がい者が使用する車です。減免制度について詳しく知りたい方は、一度調べてみてください。
なお、クリーンディーゼル車は、登録から10年経つと税金が10パーセント増しになります。そのようなことも念頭に置いて、購入を検討しましょう。
自動車税(環境性能割)は、自動車を購入した時や譲り受けた時など、新しく手に入れた場合に納付する税金です。これは新車、中古車を問わず必ずかかります。
金額は、排気ガス基準などの環境負荷に応じて異なります。そのため、環境負荷が小さい自動車であればあるほど税金が安くなる制度です。
自家用の乗用車であれば、電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、天然ガス自動車が非課税となります。
クリーンディーゼル車の場合、令和3年3月31日まで取得した車は非課税とされていましたが、税制改正により令和3年4月1日以降はガソリン車と同じ扱いになります。しかし、令和5年3月31日までの間に取得するクリーンディーゼル車においては、経過措置が取られます。
自動車重量税は、車の重量や用途区分、経過年数によって納める金額が異なる税金です。新車を購入した時や車検の時に、車検証の有効期間分を一括して支払います。
自家用乗用車の場合は、車両重量0.5トンごとに年間4,100円と決められています。さらに、13年~17年目は年間5,700円、18年目以降は年間6,300円です。
軽自動車の場合は、車両重量にかかわらず定額で年間3,300円と決められています。自家用乗用車と同じように、13年~17年目は年間4,100円、18年目以降は年間4,400円と、新規登録から時間が経過するほど税金が高くなる仕組みです。
環境性能に優れているエコカーの場合は、特例措置があります。2023年4月30日までに新車登録をすれば「25%減税」「50%減税」「100%減税」のいずれかが適用されます。
クリーンディーゼル車は、免税対象である「電気自動車等」から除外されたため、2022年5月1日以降は2020年度の燃費基準達成以上の車が減税の対象となります。
自賠責保険料とは、事故を起こしてしまった際に被害者を救済するための保険です。本来であれば加害者が負うべき負担を補填することにより、対人賠償の確保を目的としています。
自動車の運転により他人を死傷させた時のための保険なので、対物事故は対象外です。また、人身事故の場合でも自らの治療や自動車の修理に対しては使用できません。あくまでも被害者のための保険です。
自賠責保険は、被害者しか対象にならない強制保険ですが、任意保険は、被害者の車両やケガもちろん、自分の車両やケガも補償してくれます。
補償内容は保険会社ごとに様々です。どの程度の補償をするかによって金額も異なってきます。
任意ではありますが、幅広い補償をしてくれるので入っていれば万が一の際も安心です。
車検とは、所有している車が国の定めた基準に適合しているかを確認するための検査です。自家用の普通乗用車や軽自動車の場合は、新車登録後から3年目、それ以降は2年おきに検査する必要があります。
車検費用は、自動車重量税や自賠責保険などの「法定費用」、24カ月定期点検料や測定検査料などの「車検基本費用」、部品交換や追加の整備が必要な場合にかかる「部品交換費用」で構成されます。
車検費用の目安は、軽自動車であれば約6万円、普通乗用車であれば約9万円です。しかし、これは部品交換費用を除いたおおよその金額です。車検基本費用も車検業者によって変わりますので、あくまでも参考程度に考える必要があります。
維持費の中でも大きな割合を占めるのが燃料代です。
クリーンディーゼル車は軽油を使用するため、ガソリン車よりも燃料にかかるコストが低くなります。また、ディーゼル車はガソリン車よりも燃費が良いことも理由の一つです。
維持費の中で忘れがちなのが駐車場代です。
持ち家に住んでいて、駐車するスペースをあらかじめ所有している方であれば問題ありませんが、駐車場がない賃貸住宅に住んでいたり、1台分の駐車場はあるけれど2台目が停められなかったりするといった車の保管場所がない方は注意が必要です。
道路に停めるわけにもいかないので、どこか駐車場を借りなければなりません。費用は毎月発生するため、維持費として頭に入れておきましょう。
上記で挙げたほかにも、車を快適に走らせるためにはメンテナンスが必要です。
タイヤは必ずすり減るので、数年おきに交換しなければなりません。寒冷地であれば夏用とは別にスタッドレスタイヤを準備する必要があるため、その分費用がかさむでしょう。
また、オイル交換やフィルター交換も定期的に行うことが理想的です。
ただし、メンテナンスをしていても故障が起きないわけではありません。万が一故障した場合は、整備工場で修理してもらうことも合わせて考えておくと良いでしょう。
維持費を削減する方法について
車を所有しているだけで維持費はかかりますが、できるなら少しでも削減したいのが本音でしょう。
ここからは、維持費を抑える方法について説明していきます。
万が一のことを考えると、手厚い補償に加入しておいたほうが安心です。しかし、必要以上に補償を付けていると、その分保険料が高くなってしまいます。自分に合った保険内容なのかを見直すことが、保険料を下げることにつながるでしょう。
また、保険会社自体を変えるのも一つの手です。近年は、インターネットから保険の申し込みを行うことが可能になってきました。インターネットの保険は、代理店を通すよりも価格が低くなりやすいです。ただし、どの程度補償されるのかを理解したうえで申し込みましょう。
車検は、依頼する業者によって費用に差が生まれます。特に、ディーラーで車検していた場合は、民間に依頼をすると費用が抑えられる可能性があります。
しかし、ディーラーはその車のメーカー専門なので、品質の高い車検が魅力です。金額だけで判断するのか内容まで吟味するのかは人それぞれなので、自分に合った業者を選びましょう。
維持費の中でも大きな負担となる駐車場代は、契約するサイズや場所によって料金がぐんと下がることがあります。身近に別の駐車場がないか、もう一度探してみるのも一つの手です。
また、ガソリンスタンドによっても燃料価格が異なります。国道沿いや大きな港の近くでは、やや安い傾向にあるでしょう。
洗車を行うことで、1リットルあたり数円の値引きをするところもあるようです。現金払いかプリペイドカード払いなのかによっても差が生まれます。
小さな差でも積み重なれば大きな差となりますので、細かな工夫をしていきましょう。