車内でタバコを吸うと、煙やヤニなどがシートや天井に付着します。蓄積されるとタバコの臭いや黄色いヤニ汚れが目立つようになるので、車を売却する際は査定でも問題となってしまいます。
そのため、査定額にどう影響してくるのか知っておくと役立つでしょう。また、既についてしまったタバコの臭いやヤニ汚れを査定前に綺麗にする方法についても紹介していきます。
車内でのタバコは買取り査定で減額になりやすい
車内で習慣的にタバコを吸うと、シートや天井などに臭いが染みつき、ヤニで黄色くなります。車を売却する際の査定では、そういった車は「喫煙車」として扱われ、査定額が減額になりやすいと言われています。
中古車を購入する側としては、少しでも綺麗で清潔感のある車のほうが良いと考えます。そのため、車種や年式など他の条件がほぼ同じで、喫煙車とそうではない禁煙車があれば、多少値段が高くても、ほとんどの方が禁煙車を選ぶ傾向にあります。
それくらい、喫煙車というのは敬遠されることが多いのです。
日本自動車査定協会の査定基準について
中古車買取業者は、車の査定を行う際に一般財団法人日本自動車査定協会の査定基準を参考にしています。
日本自動車査定協会の内装に関する査定基準では、タバコの臭い、ヤニ汚れ、焼け焦げなどがあった場合、程度や大きさなどに応じてマイナス評価にすることとなっています。
例えば、タバコ臭がある、天井や内張りにヤニ汚れがついていると-40点です。
内装のクリーニングが必要な場合は-10点、1㎝未満のタバコの焦げ跡、それが2個以内で-10点となります。また、1㎝以上のタバコの焦げ跡、1㎝未満の焦げ跡でも3個以上など内装の状態が著しく悪く、修復が難しい場合もあります。
そうなると、シートや天井、コンソールボックスはトランクルームなどの交換、張り替えが必要です。パーツにもよりますが-2点~最大で-100点もの減点となってしまいます。
特に本革のシートの場合、かなり減点が大きいので要注意です。1点が1,000円で換算されるので、最大で100,000円の減額となってしまうこともあり得ます。
以下では、これらの減額理由となる「タバコの臭い」「ヤニ汚れ」「焼け焦げの跡や穴」について詳しく解説していきます。
タバコの煙は狭い車内空間に充満すると、天井やシートなどに吸い込まれていきます。そういった臭気が蓄積されると、やがてタバコを吸っていない状態でも、車に乗るだけでシートなどからタバコの臭いを感じるようになってしまいます。
タバコの臭いはシートや天井に染み込みやすく、消臭剤をスプレーしたくらいではなかなか落とせません。車内の臭いというのは、普段乗っている方だと鼻が慣れていて気にならないでしょう。
しかし初めて乗る方には、かすかな臭いでも感じやすいものです。そのため、査定員が車内を確認すると、タバコを吸っていたかどうかはすぐに分かってしまうでしょう。
喫煙車の車内を見回すと、白い天井に黄色いシミが広がっていたり、シートが黄ばんでいたりすることがあります。タバコに含まれるタールという粘着性の強い植物樹脂が、黄ばみの原因です。
タールは黒色の物質ですが、煙となって白い天井やシートに付着して冷えるとネバネバした黄色いヤニになります。ヤニはシートや天井などにこびりつくと、ネバネバしているので拭いたくらいではなかなか落とせません。
このヤニ汚れは、タバコ臭の発生源とも言われています。黄ばんだシートは見た目にも不衛生であり、シートに座ったり触れたりするとべたべたして不快感があるでしょう。
車内でタバコを吸う際、運転に気を取られてつい灰皿に灰を落とすタイミングが遅れてしまうということもあります。灰がシートなどに落ちてしまい、熱で溶けて変形してしまうということもあるでしょう。
また、焦げて穴があいてしまうということもあります。そうなると、内装の傷やシートの破損ということで、売却時の査定額が下がります。始めから内装の一部が変形している、シートに穴があいているというのは見栄えも悪く、中古車としての価値も下がってしまいます。
日頃から喫煙が習慣化している方にとっては、多少タバコの臭いがしたり、シートが黄ばんでいたりしても、あまり気にならないかもしれません。
しかし、普段からタバコを吸わない方や臭いが苦手な方にとっては、少しのタバコ臭でも気になってしまうものです。シートや天井の黄ばみも、清潔感がないように感じられます。
また、タバコ臭が強いと車を購入した後もずっと臭いに我慢しなければなりません。少し値段が高くなっても禁煙車を選ぶという方は、そういった理由があります。
査定前のタバコ臭や汚れ対策
日常的に車内でタバコを吸っていると、煙の臭いやヤニ汚れが気になるものです。そういった場合は、少しでも査定で減額されないように査定前に対策をしておきましょう。
シートに掃除機をかけて、天井や窓なども拭き掃除を行います。また、エアコンにもタバコの煙は入り込んでいるので、フィルターの洗浄や交換もやっておくと効果的です。足元のフロアマットにも臭いが染み込んでいるので、洗っておきましょう。
以下では、これらの対策方法を7つ紹介していきます。
タバコの灰がシートや足マットにこぼれ、吸い殻が落ちている場合もあります。拭く前にまずは掃除機をかけて除去しましょう。
特に灰は細かい粒子状になってシートの隙間に入り込んだり、隅に挟まったりしています。掃除機の先端を使って丁寧にかけることで綺麗になるので気を付けながら掃除をしてください。
天井のファブリックやシート、窓ガラスやダッシュボードなどのプラスチック内装などにもタバコの臭いや汚れが染み込んでいます。掃除機をかけただけでは、表面の汚れしか落とせません。
べたついて掃除機では落としきれない汚れやシミなども、綺麗にしたい所です。そのためには拭き掃除もやっておきましょう。
拭き掃除をすれば、ある程度ヤニ汚れや臭いが除去できます。車内をくまなく掃除するのは大変ですが、順序良く行いましょう。
1.必要な物を準備する
雑巾を数枚と車内清掃専用の洗剤、ガラスクリーナーを準備します。
2.掃除の順序を確認する
車内全体を効率よく掃除するには、順番を決めてから行うのがおすすめです。
まず、天井から始めて前と後ろのシートとそれぞれの足元へと進みます。それからダッシュボード、コンソールやドアの内側、最後にガラスの内側という順で行いましょう。
3.掃除のやり方
清掃用の洗剤をぬるま湯で溶かしてから、雑巾を浸して絞り、各部位を丁寧に吹き上げていきます。その後、真水で絞った雑巾で洗剤成分をふき取りましょう。
後は、乾いた雑巾で全体的に水分をふき取ります。ガラスに関しては、ガラスクリーナーを吹きかけてから、乾いた雑巾で拭いてください。
掃除終了後は、ドアをしばらく開けておき、中をしっかり乾燥させましょう。
車内の拭き掃除を行う場合、専用の洗剤をカー用品店で購入することをおすすめします。
タバコの臭いは強固なので、食器用洗剤などではなかなか落ちにくいです。さらに、洗剤に含まれる界面活性剤にはゴムを劣化させるリスクがあります。素材によっては家にある洗剤を安易に使うと、かえって内装を傷めてしまうかもしれません。
また、雑巾はマイクロファイバーだと汚れが吸着されやすくなります。
掃除をする場合は、順序を決めてから行うのが効率的です。車内といってもシートやガラスなど掃除する箇所が多く、どこをやったのか分からなくなってしまうこともあります。順番通りにスムーズに掃除を行えば、短時間で終わります。
拭き掃除を行う際は、あまり力を入れすぎない、強引にこすらないことも大事です。ゴシゴシこすると内装を傷つけてしまうかもしれません。
そして、雑巾で拭く際は絞り方が緩いと水分を含みすぎて、シートがべたべたになって乾きにくくなってしまいます。そのため、強く絞ってから使うようにしましょう。また、洗剤や汚れが残っていると後でシミやムラができてしまうので、しっかり拭き取ってください。
タバコの煙や空中に舞った細かな灰は、エアコンの中にまで入り込んでいます。
エアコンは車内の空気を取り込んで内部のエバポレーターという熱交換器で冷やし、送風する仕組みです。そのため、車内の空気を全て中に取り込むので、出てくる風がタバコ臭いと感じることもあるでしょう。
また、内部はヤニで黄ばんでいる可能性も高いです。エアコンをオンにして、送風がタバコ臭いと査定で減額の対象となってしまうので掃除しておく必要があります。
カーエアコンは、業者でなくても自分である程度掃除できます。
大きめのタオルとカー用品店などで購入できる、カーエアコン洗浄液を準備しておきましょう。手順としてはまず、カバーを取ってからフィルターを外します。外し方は車の取扱説明書で確認してください。
次にエアコンの送風を足元に切り替えておき、吹き出し口を全開にします。エアコンの下辺りに大きめのタオルを敷いて、洗浄液がこぼれないようにしておきます。フィルターを外した後に見えてくるエバポレーターに、洗浄液をスプレーしてからしばらく置きます。その後、10分以上送風をオンにして風を送り続けてください。
フィルターはよく洗ってから乾かし、元に戻してカバーを取り付ければ終わりです。
カーエアコンを掃除する際は、専用の洗浄液のノズルが細くなっているので、しっかり奥まで差し込んで噴射するのがポイントです。これはエアコンの奥の汚れをしっかり落とすためです。また、差し込みが浅いと周囲に洗浄液が飛び散ってしまいます。
洗浄液を噴射した後は、しっかりと送風をして乾かすことが重要です。洗浄液が残っていると、エアコンの故障の原因にもなります。その上、生乾きだと雑菌が繁殖してカビなどが発生する可能性もあります。水洗いしたフィルターも同様で、しっかり乾かしてから戻しましょう。
もしフィルターの汚れがひどい場合は、洗浄しても完全には落ちないので交換も検討したほうが良いかもしれません。
足元のフロアマットにも、タバコの臭いが染み込んでいるので綺麗にしておく必要があります。
雨などで濡れて湿気を帯びている場合もあるので、外したらすぐに天日干しをして乾燥させましょう。その後、ほうきなどで叩いて埃や泥などを落としてから、掃除機をかけます。
襟足の長いマットならブラシをかけておくと掃除しやすいです。水洗いをしたら、中性洗剤をつけてブラシを使ってゴシゴシ洗って汚れを落とします。後は天日干しをしてカラカラに乾燥させます。濡れたままだと雑菌が繁殖して悪臭の原因になるので、気を付けましょう。
フロアマットを洗浄し、シートや天井、ガラスなどを綺麗に掃除してもやや臭いが気になる場合もあるかもしれません。そんな時は消臭剤を車内に置く、シートなどにスプレーしてしばらく置いておくのが効果的です。
使う消臭剤はスチームタイプが良いとされています。スチームタイプならシートなどに消臭成分が染み込みやすく、消臭効果も期待できます。また、消臭剤を選ぶ際は香料が入っていない無香タイプがおすすめです。査定時には芳香剤の匂いもマイナス査定になるので、気を付けましょう。
天気の良い晴れた日に、車の全てのドアや窓、トランクルームも全開にして半日ほどおいておきましょう。車内が換気されてタバコの臭いも消臭されます。
できればシートなどに消臭スプレーをかけてから行うと、より効果的です。自然の風と太陽の直射日光には消臭、抗菌効果があるとされています。洗濯物も天日干しすると嫌な臭いが消えますが、車内のシートや天井のファブリックにも同様の効果が期待できます。
車を売却する前に、査定額を少しでも下げたくないからタバコの臭いやヤニ汚れを完全に消したいという方もいるでしょう。自分で掃除しても限界があるので、プロの業者に依頼したいと考えるかもしれません。
クリーニング業者は洗浄機器や技術などが備わっているので、しつこいタバコ臭やヤニ汚れも綺麗に除去できるでしょう。しかし、車内クリーニングというのはかなり高額な費用がかかるのが一般的です。
高額な費用を支払って車内を綺麗にしても、車を売却する際の査定額よりも高くついてしまう可能性があります。手間と費用がかかってしまうので注意が必要です。
電子タバコを吸っていたら喫煙車扱いになる?
禁煙目的でアイコスやグローといった電子タバコを吸うという方も増えています。紙タバコはタバコの葉が燃えることでタールなどを含む煙が生じ、シートや天井などに臭いが染み込みます。
一方で、電子タバコは蒸気が発生するだけで煙は出ません。そのため、車内で電子タバコを使用していれば、車売却時の査定でも問題ないと思っている方もいます。しかし、電子タバコを車内で吸っていた車に対する取り扱いは、査定を依頼する業者によって異なるので注意しましょう。
電子タバコは確かに煙は出ないですが、蒸気による独特な臭いを感じると言われています。特にタバコを吸わない方はタバコの臭いに敏感なので、少しの臭いでも臭いと感じてしまう可能性があります。
買い取りを依頼する際は、電子タバコが喫煙車となるかどうか、あらかじめ業者に確かめておいたほうが良いでしょう。
車内でタバコを吸いたい場合の対策
車内でどうしてもタバコを吸うのをやめられない場合、煙が出ない電子タバコに変えるのも一つの臭い対策となります。
電子タバコであっても蒸気が出るので、窓を開けて換気しながらが吸うのが効果的です。また、消臭剤を使ったり、空気清浄機を置いたりして臭いがこもらないように工夫してみましょう。
以下では、これらの対策方法を4つ紹介していきます。
車を売却する際、喫煙車として査定額の減額を避けるには従来の紙タバコをやめて電子タバコに変えるのがおすすめです。
確かに電子タバコであっても、蒸気による独特な臭いがするかもしれません。しかし、紙タバコのようにシートなどへ煙が吸い込まれ、臭いが染み込むということはないと考えられています。
蒸気が発生したら、しばらくは臭いがこもりますが、紙タバコのようなタバコ臭は残りません。買取業者によっては、電子タバコを吸っている車を喫煙車として扱わない場合もあります。
どうしてもタバコがやめられないという方は、電子タバコにすると臭い対策になるでしょう。
タバコを吸う場合、車の走行中は窓を開けるようにしましょう。綺麗な空気が常に車内に入ってきて、車内の煙が外へと排出されます。よく運転席側の窓だけを開けがちですが、それでは不十分です。対角線上にある窓を開けると空気の入り口と出口ができるので上手く換気ができます。
運転席でタバコを吸う場合は、助手席側の後部席の窓を開けてください。助手席なら運転席側の後部席の窓を開けるということになります。
また、窓は全開にしたほうが煙がより出ていきやすい思われがちですが、かえって煙が車内を循環してしまうことになり逆効果です。前の席は10㎝ほど、後部席は5㎝ほど開けるに留めておきましょう。
車内でタバコを吸ったら、こまめに消臭するのも効果的です。車を降りる際に消臭スプレーをシートにかけておくだけでも、消臭成分が染み込んで煙の臭い成分をその都度除去してくれます。
完全にタバコ臭は除去できないかもしれませんが、使わないよりは臭いが染み込みにくくなるので効果があるでしょう。ただし、香料入りの消臭スプレーは逆に香料が残ってしまうので、無香タイプがおすすめです。
車内に設置できる空気清浄機も、タバコの臭い対策に効果的です。
雨の日や花粉、黄砂の季節などは、こまめに窓を開けにくい時期もあります。空気清浄機を備えておけば、窓を開けにくいシーズンでも十分換気できます。
車内用の空気清浄機は様々なタイプの物があるので、よく調べることが大事です。ダッシュボードの上などに置く据え置きタイプ、ドリンクホルダーに置けるボトル形状タイプ、エアコンの送風口に差し込むクリップタイプの物などがあります。
イオン発生型やフィルターで煙を吸い込んでろ過し綺麗な空気を送りだすタイプなど、機能性にも富んでいます。
価格が5,000円以下の物もあるので探してみましょう。
喫煙車は査定額の減額になるので要注意
車内での紙タバコの喫煙は、臭いやヤニがシートや天井などに知らず知らずのうちに染み込んでしまいます。そして、査定時に「喫煙車」という評価になると禁煙車よりも査定額は減額となってしまう可能性が高いです。
減額を防ぐためには、こまめな掃除や換気などをしてタバコ臭を残さないようにしましょう。