車の買取り査定は時間を要すると言われていますが、どの位時間がかかるのか詳しく分からないという方も多いかもしれません。
査定をスムーズに効率よく進めるためには、査定の順序や所要時間を知っておくと便利です。
ここでは、買取査定の流れを順に紹介していきます。また、査定時間を少しでも短縮するための秘策なども解説しているので、査定時の参考にしてみてください。
車買取までの一般的な流れ
車の買取り査定では、まず中古車市場における買取価格を調べる所からスタートしましょう。自分の車がいくら位で取引きされているのかを事前に知ることで、算出される査定額が適正なのか判断しやすくなります。
次に、数社の買取業者を選んで大体の見積もりを出してもらいましょう。その中から3社ほど実際に車を査定してもらう業者を選んで、査定の予約を入れて査定額を算出してもらいます。
全ての査定が終わったら、査定額や評判などを比較しながら買い取ってもらう業者を決めます。
後は売買契約を結んで車を引き渡し、買取額の入金を確認すれば買い取りが完了です。
車買取り査定の方法
中古車買取業者が行う車の査定では、財団法人日本自動車査定協会(JAAI)が作成した中古車査定基準がベースとなっていることが多いです。
中古車査定基準では、車の外装や内装、エンジンルームや足回りなどの各部位でチェックすべき点を項目化し、加点減点方式で査定を行います。1点は1,000円に換算されます。
最終的な獲得点数を現金に置き換えて中古車市場における車の相場から差し引くもしくは足していく形です。
JAAIの査定基準をベースとして、買取業者独自の査定基準を加えて査定を行っている場合もあります。
車の買取り査定にかかる時間
査定では、車の内外、エンジンルームといった様々な部分に異常がないか、汚れや傷などがないかを見ていきます。そのため、多少時間はかかります。
全ての査定が終わるまでに、大体30分~1時間程かかるのが一般的です。
ただし、査定の所要時間は車買取業者によって差があるので一概には言えません。買取業者によっては、もう少し時間を要する場合もあるので、時間に余裕をもってスケジュールを組んでおきましょう。
車の買取り査定のチェックポイント
車の買取り査定では、車の査定順序が大体決まっています。
まず行うのが、車種や年式、修復歴などをヒアリングする前商談です。
次に、車の外装や内装、タイヤなどの足回り、ボンネット内のエンジンルームの順位査定が進んでいきます。それぞれにかかる時間はさほど長くはなく、数分で済むのが一般的です。
査定が終わると査定額が算出され、価格交渉が始まるという流れになります。
査定員が実際に車を見る前に、車に関する情報の聞き取りが行われます。査定前のヒアリングは前商談と呼ばれることもあります。
前商談では、車種や年式、走行距離や取扱説明書、スペアキーなどの付属品の有無を聞かれることが多いです。
さらに、社外品を装備するなどカスタマイズしている場合は、純正品の有無も聞かれます。純正品があれば査定額が上がる可能性もあるので、全て査定員に見せましょう。
査定額に大きな影響を与えるのが、修復歴の有無です。
修復歴というのは、交通事故などにより車の骨格部位が破損し、修理、部品交換を行ったことです。
修復歴がある車は故障のリスクが高くなるので、査定額が減額となる場合が多いとされています。
また、車を手放す理由や時期についても質問されることがあるので、答えられるようにしておきましょう。
前商談の所要時間は大体5~10分程度です。
査定では、まず車の外装に傷やへこみがないかを見ます。ざっと目視で車を一周しながら確認し、見えにくい車の下の部分も、かがんで見る等して細かくチェックしていきます。
JAAIの中古車査定基準では、傷の大きさやへこみの深さによって減点数が決まっています。傷が大きい、へこみが深いほど減点は大きくなり、減額される金額も増えます。
塗装の剥がれの有無やミラーの状態、モールやメッキ類の状態などもチェックされます。塗装は剥がれがなく色褪せも見られないなど比較的キレイな状態なら、プラス査定となることもあるでしょう。
また、ミラーやドアなどが交換してあれば減額となり、全塗装となると大きな減点となってしまいます。
車の外装の査定は、大体10分程で終了します。
外装のチェックが終わると、次は内装へと査定が続きます。
車の内装では、シートや天井、床などのシミや汚れ、シートの破れやほつれなどがチェックされます。
特にタバコのヤニ汚れやペットを乗せた形跡など、目立つ汚れや破れなどがあれば減点となります。また、臭いも査定では大きな減点となるので注意が必要です。
特にタバコやペット、食べ物などの臭いがシートに染み込みやすいので、買取業者が車内クリーニングを行うのに費用がかかります。完全に臭いが取れないレベルになると大きな減額となる可能性が高いでしょう。
内装の査定も外装と同じで、大体10分程の時間を要します。
足回りというのは、タイヤやマフラーなど車の走行に関する部分のことです。
タイヤでポイントとなるのが消耗度合いです。タイヤの溝がどの程度残っているか、スリップサインが出ていないかなどをチェックします。
ホイールは傷や汚れの有無、マフラーは傷やオイル漏れの有無などを見ていきます。
雪道を長期間走行している場合、道路にまかれた融雪剤によりボディの下の方が錆びついている可能性もあるので確認されるでしょう。
足回りの査定時間は、概ね5分程度です。
ボンネットを開けて、エンジンルーム内も見ていきます。
エンジンオイルは定期的に交換されているか、エンジンをかけて異音がしないかなどをチェックします。
また、ボンネットやフロントフェンダーのネジの脱着や新しいものと交換した形跡の有無、歪みや再塗装の跡の有無などは、修復歴を確認する上で重要なポイントとなるので注意深く見られるでしょう。
エンジンルーム内の査定も5分程で終わります。
一通り車の中や外を確認したら、いよいよ査定員は査定額の算出作業です。査定項目の減点、加点数を計算します。
そして、業者専用の中古車市場のオークションサイトなどにアクセスして、査定した車がいくら位で取引きされているのかを確認していきますそこで大体の相場を把握し、査定結果と照らし合わせて査定額が決定されます。
依頼主が価格を上げるように交渉してくると予想して、始めはやや低めの査定額を提示する場合が多いでしょう。そこから、査定員との査定額をめぐる価格交渉が始まります。
価格交渉にかかる時間は早ければ数分で終わりますが、価格に納得がいかず交渉次第では20~30分程度かかる場合もあります。
査定時間を短縮するには
査定時間を少しでも短縮するには、店舗に車を持ち込むより融通が利きやすい出張査定を利用するのがおすすめです。
さらに、申し込み後に営業の電話が多い一括査定よりも、自分で買取業者を探して依頼するほうが効率的です。
その他には、査定前に終了時間を査定員に伝えておいたり、質問には端的に答えることなどがポイントになります。
一括査定を利用すると、査定にかかる時間を短縮できると思うかもしれません。
確かに、一括査定のサイトで一度車の情報や個人情報などを入力し、送信すると複数の買取業者が査定額を提示してくれます。自分で1社ずつ査定を依頼するよりは、効率的な方法に見えるでしょう。
しかし、一括査定を依頼した後、複数の買取業者からどんどん連絡がくるので、その対応にまず時間を取られます。全ての買取業者に実際の査定を依頼すると、それこそ何日もかかってしまいます。その間にも、営業の電話やメールが入るのでまた手間と時間を取られるでしょう。
一括査定は便利な面もありますが、ピンポイントで利用できそうな買取業者を自分で選び、査定を依頼したほうがより効率的だとされています。
車を査定してもらう方法は、自分で買取業者の店舗に持ち込む方法と自宅まで査定員に来てもらう出張査定の2つがあります。
持ち込みは一見、自分の時間がある時に行けば良いので便利だと思われがちですが、店舗がすぐ近くになければ、そこまで行くのに時間もガソリン代もかかることになります。
また、混雑していれば待ち時間も要します。事前に予約が必要な店舗もあり、その場合は出直さなければなりません。
出張査定の場合も、事前のアポイントは必要です。しかし、約束の時間に自宅などで待っていれば査定員が来てくれます。時間の無駄もなく費用もかからないため、お得です。
査定時間を長引かせないためには、査定が始まる前に時間を区切っておくのがおすすめです。
「査定後に予定が入っているので何時までしか対応できない」「出かけなければならない」と事前に査定員に伝えておきます。
車の査定後の価格交渉で、査定員がやや強引に即決を求めてくる可能性もあります。断り切れずに困ってしまうかもしれません。押し問答をしていると、どんどん時間だけが過ぎてしまいます。
しかし、あらかじめ時間にさほど余裕がないと断りを入れておけば、困った状態になっても査定員に帰って欲しいと要求しやすくなるでしょう。
ただし、車の査定には30分~1時間程度は時間を要するので、査定開始時間から1時間程度は余裕をもっておいてください。
査定前にあまりに時間がないとアピールしすぎると、しっかり車を見てもらえない可能性もあるので気を付けましょう。
前商談では、いくつかの車の情報に関する質問がなされます。そこで詳しく話をしすぎると、時間を大幅にロスすることになるでしょう。
また、査定しながら時折車の各部位について質問される場合もあります。査定員は信頼関係を築くために、依頼主に話を振ってコミュニケーションを取ろうとする傾向にあります。
言っても言わなくてもいい世間話などをされるとさらに時間がかかってしまうため、時間短縮したいなら聞かれたことに対しできる限り短く答えるように心がけることが大事です。
査定の中で一番時間を要するのが、最後の価格交渉だと言われています。査定員は何とかこの場で買い取りたいと考えた場合、交渉を引き延ばしてでも即断させようとします。
この場では決めたくないと思っていても、査定員のペースに巻き込まれてしまえば断りづらくなり、時間だけが無情にも過ぎていくことになるでしょう。
そうならないように、事前に価格交渉のポイントを押さえておくことをおすすめします。
まず、買取相場を調べて自分の中で大体の希望買取額を決めておきます。その希望買取額よりも低い額ならば、買い取りに応じないことが大事です。
また、他社の査定額はあえて伝えないようにするのがおすすめです。他社の査定額を言えば、その金額に少し上乗せした形で一気に契約を決めようにしてきます。この場合、買取業者の限界がいくらなのか逆に聞いても良いでしょう。
そして、自分が決めた希望額は最後まで伝えないのが賢明です。希望額を言えば、その額よりも高くなることはまずありません。もし聞かれたら、少しでも高くなど具体的な数字は避けて答えたほうが良いでしょう。
とにかくその場の勢いに飲まれて、即断しないということが大事です。全ての業者の査定が終わってから冷静に査定額を比較し、決めるようにしてください。
同時査定とは?
同時査定というのは、複数の業者に同じ時間に集まってもらい、同時に査定をしてもらう方法です。
通常は時間を区切って1社ずつ代わる代わる査定を行ってもらいますが、同時に複数の買取業者に査定をしてもらえば、その分時間短縮になります。
自分の都合の良い時間に合わせて出張査定してもらうことで、一度の査定で全て終わらせられるため、とても効率的です。
ただし、競合する買取業者同士が同じ時間に同じ車を査定するのは、お互いに気まずいのではないかと、依頼した方が気が引けてしまうかもしれません。しかし、実際に同時査定を了承してくれる業者もいます。
買取業者側は同時査定の現場にも慣れているので、さほどこちらが気を遣う必要はないでしょう。
同時査定の最大のメリットは、やはり査定時間が大幅に短縮できるという点です。
査定は1社につき30分~1時間程度かかります。例えば、5社に依頼したとすると、最大で5時間以上査定に時間を取られることになるでしょう。一方、同時査定にすれば、5社依頼しても1時間程度で済みます。
1社ずつ前商談で車の状態などを説明する必要がないので、面倒がなくなるでしょう。また、複数の業者が査定額をその場で算出するので、査定の最高額がすぐに分かります。
売却先がすぐに決まり、契約や車の引き渡しなどがスピーディーに進むというのもメリットの一つです。
複数の業者が集められる同時査定では、業者同士が次第に顔見知りになっていく場合もあります。そして、お互いの利益を考えて、裏で相談して査定額を決める談合が行われている可能性もあります。
例えば、今回はA社に買い取りを譲るので、B社やC社はA社よりも高い査定額をつけないといった相談が、依頼主の知らない所で行われているかもしれません。そうなると、同時査定を依頼するメリットもなくなってしまいます。
また、同時査定をそもそも受け付けていない買取業者もあります。同時査定を利用する場合は、談合が行われないように同時査定に参加する業者名や査定目標額などを教えないことなどが大事です。
査定時間が短すぎるのも要注意
査定時間をできる限り短くしたい、早く終わらせて欲しいと思う方も多いかもしれませんが、時間を急ぐあまり時間がないことを査定員に伝えすぎると、査定時間がかなり短縮されてしまう可能性が出てきます。
査定員も、急かされると本来はもっとじっくり細かな部分までチェックする所をざっとしか見れない場合もあるでしょう。そうなると、より正確な査定額が出にくくなり、結果的に希望通りの査定額にしてもらう交渉もできなくなります。
また、きちんと車を査定しなかったことにより、車引き渡し後の業者側の入庫時点検で車の不具合が見つかって減額となってしまうリスクもあります。
一般的に査定は30分~1時間程度かかるので、その程度は対応できる日に査定依頼をしましょう。
車の買取り査定は面倒に感じる方も多く、できる限り効率よく終わらせたいものです。
しかし、車の外装や内装など様々な部分を見るので数分で終わるものではありません。また、買取業者によっては繁忙期だと出張査定の予約が取りにくいタイミングもあります。
査定は多少の時間はかかるものだと理解し、時間に余裕をもって進められるようにしましょう。