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車を売却する際は、数社の買取業者に査定を依頼をし、査定額を比較してから買い取ってもらう業者を選んだほうが納得した金額で売ることができます。
ただし、そうなると選ばなかった業者には買い取りを断ることになります。熱心に営業してくる業者に対し、どうやって断ればいいか困るという方も少なくありません。
この記事では、買取業者への上手な断り方を査定前後や売買契約後といったタイミング別に紹介していきます。
車の買取業者は営業に熱心で断りにくいもの
車の買取業者は、査定後に査定額を提示すると、買い取りたいと営業をかけてきます。特に中古車市場における人気の車種、高値で取引きされやすい車の場合は、かなり熱心に売却をすすめてくるでしょう。
中古車の需要が高まる時期だと1台でも多く在庫が欲しい、在庫があればその分売れるチャンスがあるのでなんとしてでも車を獲得したいと業者は躍起になります。
熱心に交渉されるのはいいですが、査定してもらった業者への売却をまだ決めることができない方もいます。また、熱心に営業されると断りにくくなってしまうと感じるかもしれません。
車の買取り査定での断り方のポイント
買取業者の査定や買い取りを断るには、曖昧な態度や返事をしないことがまず大事です。
少しでも査定や買い取りのチャンスがあると思われると営業が加熱していき、より断りにくい状態になってしまいます。
また、連絡を無視し続けても連絡がなくなるわけではないので、効果はないでしょう。
断る時に怒るなど感情的になるとトラブルに発展することもあるので、気を付けてください。
査定員から熱心に買い取りをすすめられると、断りにくくて言葉を濁してしまうという方もいるかもしれません。
断るつもりなのに、つい「少し考えてみる」や「検討します」といった曖昧なワードでその場を何とか逃れよう、返事を先延ばしにしようという気持ちが生じるものです。特に相手にどう思われるか気にしすぎて、断ることが苦手だという方なら尚更です。
しかし、ここで曖昧な対応をすると、業者はまだ買い取りのチャンスがある、押せばそのうちイエスと言うかもしれないと手ごたえを感じ、さらに何度も連絡してくる可能性が高くなります。
先延ばしにしてても、結局いつかは断らなければならないため、曖昧にしている時間は無駄になります。始めの段階ではっきり断ることが大事です。
車買取業者と話し始めると、話が長くなってなかなか電話が切れないものです。それなら、いっそのこと電話に出ないでおこうという方もいるでしょう。
電話を無視しておけば、業者もそのうちかけてこなくなるだろうと考えるかもしれません。しかし、出るまで何度でも電話をかけてくる可能性は高いです。また、きちんと電話に出て対応することは、査定を依頼した側のマナーだと言えます。
断りにくいからと電話やメールを無視していても、解決にはなりません。いずれは断らなければならず、お互いストレスがたまるばかりです。
電話やメールを無視しないで、断るなら早めにはっきり伝えたほうが効率的です。
はっきり断っても、車買取業者は引き下がらずにもう一押ししようと交渉をすすめてくる場合もあります。やや強い口調で交渉してくるかもしれません。
しつこいと不快に感じ、早く交渉を終わらせたくてつい口調が荒くなって、強く言い返してしまうこともあるでしょう。しかし、お互いに言い合いになり電話口で揉めてしまっては、解決になるどころかトラブルに発展しかねません。
向こうはどうしても車を買い取りたい、ここで逃してしまっては利益を失うと必死に説得してきます。こちらは感情的にならず、落ち着くことが大事です。繰り返し「売却はしません」と冷静に断りましょう。
タイミング別の断り方(査定前の見積もり段階)
査定を受ける前に、複数の業者に見積もりを依頼するという方も多いでしょう。見積もり後に査定させて欲しいと連絡してくる業者は少なくありません。
この段階では、相手に直接会っていないので興味のない業者に対しては、電話できっぱり「査定は受けません」と断れば問題ないでしょう。
車の買取業者を探す際、査定を依頼する前に簡単な見積もりをしてもらうこともあるでしょう。数社分の見積額を集め、比較してから実際に査定してもらうか決めるという方もいます。
その場合、買取業者は査定に持ち込もうと営業をかけてきます。見積額が出た段階で、査定自体を依頼したくないという業者には、営業の電話があった時点で断ることになるでしょう。
査定で初めて業者と会うことになるので、見積もりの段階ではまだお互いに顔も知らないので、比較的断りやすいと言えます。
見積もり段階で提示された金額を他社と比較した結果、買い取りを断りたい買取業者も出てくるでしょう。この場合も電話で査定を断ってしまっても問題ありません。
理由を聞かれたら、素直に「金額に納得できない」と伝えてください。それでも強引に査定をすすめてくる場合は、曖昧な態度をとらないできっぱり「他の業者に買い取りを決めた」と言い切っても良いでしょう。
はっきりと意思表示しなければ、まだ検討してもらえる余地があると思われてしまうので注意が必要です。
タイミング別の断り方(査定直後)
買取り査定が終わった直後、業者はすぐに買い取ってもらえるように交渉に入ります。「この場で買い取りを決めれば今日の査定額で買い取れるが、数日経つと減額になる」など言葉巧みに誘導してくることもあります。
しかし、他の業者の査定が終わっていないという場合もあるでしょう。そのため、即答は避けて「時間がないので決められない、こちらからいつまでに連絡する」などの期限を設けてしっかり伝えておくことが大事です。
査定を受けて査定額が提示されると、査定員はすぐに買い取りを迫ってくるケースが多いです。
買取業者側は、返事を保留にされると他の業者の査定を受けられてしまうため、買い取りのチャンスを逃すと考えています。
しかし、勢いに押されて即決してしまうと、後から査定額の高い業者が現れて後悔することにもなりかねません。
断りにくい場合は、「この後予定が入っている」「仕事の時間が迫っている」など急いでいる様子を見せましょう。査定員に早く帰って欲しい雰囲気を出し、「後日返答します」とはっきり言い切ることが大事です。
時間がないので買い取りの交渉はできない、今日は返事をしないと言ってもなかなか引き下がってくれない買取業者もいるかもしれません。
急いでいるという事情が相手に通じない可能性もあるでしょう。その場合は、はっきりと「査定額に納得がいかない」「買い取りの条件に合わないので今日は契約しない」という旨をきちんと伝えることが大事です。
言葉を濁していても、伝わらない相手もいます。「他の業者の査定も検討しているので、今日は引き取ってもらいたい」とはっきり言いましょう。
車の買取業者の査定員は、買い取りの交渉に慣れているので、様々な切り口から契約を促してきます。
口下手で押しに弱いのではっきり断れない、自分では契約して良いか判断がつかないという方もいるでしょう。そういった方の場合、査定員の勢いに押されてつい契約してしまうという可能性もあります。
即決を回避するためには、自分以外にも家族や友人などに同席してもらうのがおすすめです。できれば車に詳しい方や、押しに屈しないような気が強い方が良いでしょう。
一緒にいて査定後の交渉で口添えしてもらえれば、心強いものです。自分で断れないなら、代わりにはっきり断ってもらうように事前に頼んでおくのも一つの方法です。
他社にお願いしている査定の予定があり、その結果と比較してから、買い取ってもらうか返事をしたいという場合は、即決を迫られてもはっきり断るのはためらうかもしれません。
断ってしまうと、もし他社の査定額が思ったより高くない場合、再度買い取って欲しいと頼みにくくなってしまいます。
検討するので時間が欲しいという場合、いつまでに決めるか期日を設けておくことをおすすめします。期限を決めることで、買取業者側もそれまでは待とうと思う可能性が高いです。
その間は連絡しても返事がもらえないということが分かるので、連絡を控えてもらうように頼めば聞いてくれるでしょう。ただし、断る場合であっても、期日までには必ず連絡を入れることを忘れないでください。
タイミング別の断り方(査定から数日後)
査定から数日経つと、そろそろ買い取りを決めて欲しいと買取業者から連絡が来る可能性があります。
その業者に売却しないなら「もう他の業者と売買契約した」と伝えましょう。または、「売却せずに乗ることに決めた」「友人にすでに譲った」というのも効果的です。
査定後に連絡してくる買取業者は、買い取りたいという気持ちで営業をかけてくるので断りにくいと感じる方もいます。その場合、「他の業者にすでに売却を決めた」と伝えるのが効果的です。
他への売却が決まれば、もうどんなに営業をかけても脈がないことが分かるため、意外とすんなり引き下がってくれるでしょう。
ただし、中にはいくらで売却したか、もう契約書は交わしたのか細かく聞いてくる買取業者もいます。それに答えてしまうと、他社の査定額より少し高くするので考え直して欲しいと迫られることもあります。
しかし、他社に売ると聞いてすぐに査定額を上乗せできること自体、信用できません。それで心変わりしてしまったら、後々理由をつけて減額される可能性もあります。
他社にいくらで売却したかは答えずに、契約書も交わしたと言えばもうキャンセルは難しいので、それ以上は強引なことを言わないでしょう。
自社に売却して欲しいと営業の電話がしつこい場合、はっきりと「売る気はない」と伝えるのもおすすめです。
「今後、買い替えを考える上で愛車の現在の査定額を参考までに知りたかっただけ」と言うのも効果的です。
売る気もないのに査定を依頼したと買取業者が思い、気分を害するかもしれない、悪いことをしたな…と感じる方もいるでしょう。
しかし、直接会うこともなく電話で断ればいいだけの話なので、さほど気にする必要はありません。
買取業者にとっても、売買契約まで行き着かない査定はたくさんあるので慣れています。相手に売る気がないと分かれば、それ以上営業をかけても無駄なので連絡してくることもなくなるでしょう。
「売るのはやめて、このまま乗り続ける」もしくは「家族や友人に譲った」と、買取業者に伝えるのも断り方の一つです。
自分から査定を依頼して受けたのに、今更売りませんというのは言いづらいかもしれませんが、はっきり伝えましょう。
それでも引き下がらない場合は、査定額よりも高い金額を提示するなど、買取業者が諦めざるを得ない状況にもっていくのも有効的です。
タイミング別の断り方(売買契約後)
既に売買契約を締結した後で断るとなると、ハードルがかなり高くなります。
売買契約書に署名、押印して相手に渡してしまうと、法律的に契約が成立している状態になります。
契約のキャンセル自体を不可としている業者も多いです。自動車はクーリングオフの対象外となっているのが、キャンセルできない理由の一つだとされています。
それでも、キャンセルするなら高額な違約金の請求をされるケースがほとんどでしょう。そのため、事前に契約内容を確認しておくことが大事です。
買い取ってもらうことを決めて、売買契約が締結した後に契約をキャンセルするのはかなり難しいです。
買取業者によってはキャンセルを受け付けてもらえる場合もありますが、契約後のキャンセルを不可としているところがほとんどなので、受け付けてもらえないことが多いです。
契約を結ぶ際は、本当に売っても大丈夫か十分に検討することが重要となります。
契約の手続きに入っており、まだ契約書が手元にあって署名や押印をしていなければ契約は成立していないので、キャンセルは可能でしょう。
契約書に署名、押印して買取業者に渡してしまうと、契約完了となるのでキャンセルはできません。しかし、契約書を渡した後でも、直後ならばキャンセルに応じてもらえる場合もあります。
契約前にキャンセルについて契約内容をきちんと確認しておくことが大事です。
中古車の買い取りにおける契約が一般的にキャンセルできないのは、クーリングオフ制度に関係しています。
クーリングオフとは、売買契約後であっても、一定期間ならば契約を解約できるという特定商取引法の制度の一つです。
具体的には、強引な業者の営業により十分に購入するかを考える余裕のないまま、売買契約をさせられた消費者を救済するためのものです。
このクーリングオフが適用されれば、契約は解約できます。しかし、自動車はクーリングオフの対象外となっているので、基本的に契約締結後は解約できないことになっています。
売買契約を締結した後で車の買い取りをどうしてもキャンセルしたい場合は、まず契約内容でキャンセルできるかを確認しましょう。
キャンセル可能であっても、ほとんどの場合違約金が発生します。
売買契約が完了すると、買取業者は再販のため車の洗車や車内のクリーニング、点検やメンテナンスを行います。さらに名義変更などの手続きも進めるでしょう。
メンテナンスやクリーニング、手続きなどに当然費用が発生してくるので、かかった費用を違約金という形で請求しなければ、買取業者側は損することになります。
買い取りをキャンセルしたとしても違約金が高くつくケースが多いので、買い取ってもらうかの判断は冷静に慎重に行う必要があります。
断っても電話してくる場合は専門機関に相談を
車の買い取りを断っても、車買取業者から頻繁に電話がかかってくるというケースもあります。
まずは、通話を録音するか、かかってきた日時と通話時間、通話の内容などをメモにして記録しておくことをおすすめします。その際は、相手の口調はどうだったか、強引で荒っぽかったかなど様子も記載しておきましょう。
買取業者のお客様相談窓口に連絡を入れるか、査定員の上司などに相談してやめてもらうように相談してみてください。
それでも解決できない場合、こういったトラブルを相談できる専門機関に話してみるのも一つの手です。国民生活センターに相談すれば、アドバイスをしてもらえるでしょう。
断る際は曖昧にせずに相手に期待を持たせないことが大事
複数の業者に見積もりを出してもらったり、複数の業者から査定を受けたりしても買い取ってもらう業者は1社のみです。そうなると、後の業者は断らなければなりません。
断ると「時間を割いてもらったのに悪い…」という気持ちになる方も少なくないでしょう。しかし、中途半端に返事をして期待を持たせれば、逆に熱心に営業をかけられて相手の時間を無駄にしてしまうことになります。
また、電話の回数が増えて煩わしく感じるかもしれません。スムーズに買い取りを済ませるためには、きっぱり断ることが大事です。