車の査定についての疑問

買取り査定前に車のエアコンが故障してしまったら修理すべき?査定額はどうなるのか解説

エアコンが故障した車は買い取ってもらえるのか心配という方も多いでしょう。車の走行にかかわるパーツではありませんが、エアコンが故障した車では快適に走行できないのも確かです。

そこでこの記事では、エアコンが故障した車は実際に買い取ってもらえるのか、買い取ってもらえた際の査定額について詳しく解説していきます。

また、エアコンの故障部位とかかる修理代についても説明するので参考にしてみてください。

エアコンが故障した車でも買い取ってもらうことはできる

車のエアコンは、エンジンのように車の走行性能に関係するパーツではありません。エアコンが故障していても車の走行はもちろんできます。

しかし、夏はかなり車内が暑くなり、冬は寒くなるため実際にはエアコンが故障したままで過ごすのは難しいでしょう。

エアコンが故障した車では中古車としての価値もかなり落ちてしまい、再販できない場合がほとんどです。そのため、エアコンが故障したままでは車の買取業者に買い取ってもらえないのではと心配になるかもしれません。

しかし、エアコンが故障していても、修理すればよいので実際には買い取ってもらえます。

カーエアコンの仕組み

カーエアコンの仕組み
カーエアコンは、冷媒というエアコンガスを循環させて冷やした風により、車内の熱を外に排出させることで車内の温度を下げるという仕組みです。また、冷却水の熱を利用して温風を作り出し、車内の温度を上げるのが暖房の仕組みとなっています。

コンプレッサーでエアコンガスを圧縮して作り出されるのが、高温高圧の半液化状のガスです。そのガスがコンデンサーで冷やされて低温高圧の液状冷媒になり、レシーバーに一時的に蓄えられます。

その後、エキスパンションバルブで冷媒を低圧の霧状にします。この時に熱が奪われるので冷媒が急激に冷やされ、エバポレーターに送られます。

車内の熱い空気はブロアファンからエバポレーターに送られ、冷媒が熱い空気を冷やし、車内に冷風として送られるという流れです。

カーエアコンには様々なパーツが使われ、それぞれが重要な役割を担っていることが分かります。

エアコンが故障したときの症状

エアコンが故障したときの症状
車のエアコンが故障した際の症状で多いのが、「風が出てこない」「弱風しか出ない」といったサインです。

また、「送風されるけど冷たい風が出ない」「エアコンは作動するけれど風がかび臭い」「普段は聞いたことがない異音がする」というトラブルも多いです。

エアコンにはどのような不具合が生じやすいのか、以下で詳しく紹介していきます。

エアコンが全く作動しない・風が出てこない

エアコンの故障で多いのが、エアコンのスイッチをオンにしても全く作動しないというケースです。何か機械が動いているような音はしているのに、風が全く出てこないということもあります。

この場合、コンプレッサーの故障が原因だと考えられます。

コンプレッサーはエアコンの心臓部とされる重要なパーツです。エアコンガスを圧縮し、高温高圧の半液化冷媒へと変化させています。

コンプレッサーが作動しないとエアコンガスが圧縮されないので、そもそも冷風を作り出すことができません。

冷房が効かない

夏にエアコンをつけても、風は出てくるのに一向に冷風にならないというケースもあります。ずっと生ぬるい風が出続けるとなると、エアコンの故障を疑いましょう。

この場合、原因として挙げられるのがエアコンガスの不足です。通常は減ることはまずないですが、車の振動により漏れ出てしまうことがあります。

エアコンのパーツ同士をつなぐホースなどの劣化、損傷により亀裂が生じているとガスが循環中に外に漏れてしまう場合もあります。

また、コンプレッサーの不具合が生じていると、弱い風しか出ない、風が冷たくならないといったサインが出る可能性もあるので、注意しましょう。

暖房が効かない

風は出てくるのに温風にならないというように暖房が効かない場合は、サーモスタットの故障が疑われます。

暖房はエンジンの熱で温められた冷却水により空気が温められ、温風となって排出されています。サーモスタットは、エンジン内を循環する冷却水の流れを抑制する働きがあり、そこが故障すればエンジン内の冷却水の流れが止まらず、温まらないため暖房が効かなくなるのです。

また、冷却水の不足や漏れも要因とされています。冷却水がないと、そもそも空気が温まらないので温風にならないということです。

エアコン作動時に異音がする

エアコンから聞いたことのない異音がするという場合も、内部で不具合が起きている可能性があります。

「キュルキュル」「カタカタ」「キーン」という異音が聞こえると、ブロアファンモーターの不具合が疑われます。ブロアファンモーターは送風のためのパーツで、始動するとフィンが回り、扇風機のような動きをします。

他にも「ジー」「ギギギ」「ウィーン」「ガラガラ」という異音が聞こえる場合は、コンプレッサーの不具合が疑われます。

「ブーン」「ガラガラ」などの異音は、エアコンフィルターやエバポレーターの不具合、ホコリや汚れなどが詰まっている可能性が考えられます。

エアコンの風が臭い

エアコンの風がかび臭いような、汗くさいような異臭がするというトラブルもよくあります。それは、エアコンフィルターが汚れているのが原因です。

フィルターには、外からの空気に含まれるホコリなどをシャットアウトする役割があります。そのため、ホコリや花粉、細かなチリなどが付着しやすく、雑菌やカビが繁殖してフィルターの目が詰まってしまうことがあります。

フィルターが詰まると風に異臭がするだけでなく、空気の通りが悪くなって冷暖房が効きにくくなることもあります。

エアコンの故障部位とかかる修理費用

エアコンの故障部位とかかる修理費用
車のエアコンに不具合が生じたり、故障してしまうと修理が必要です。ただ、部品や修理方法によって費用はかなり差があります。

例えば、コンプレッサーやエバポレーターなどの主要部品は、故障して交換となると10万円以上かかるケースもあります。

ヒューズなどの細かなパーツの交換でも1,000円〜10,000円程になるでしょう。また、冷却水の補充程度であれば数千円で済むこともあります。

ここからは、エアコンのパーツごとにかかる修理費用を見ていきましょう。

エバポレーターの交換

コンデンサーで圧縮、冷却されたエアコンガスはエバポレーター内部を通り、噴射されて冷風として排出されます。

エバポレーターが故障すると、エアコンガスが冷やされず冷気が作れなくなります。一般的にエバポレーターの故障もしくは目詰まりの可能性があるので、交換もしくは洗浄することになるでしょう。

エバポレーターの洗浄となると、簡易洗浄、取り外し洗浄、高圧洗浄のどれかを行うことになります。洗浄方法によって費用は異なりますが、約6,000円~25,000円かかることが多いです。

また、エバポレーターの交換となれば、約50,000円~100,000円程と高額な費用が必要となります。

リレーやヒューズの交換

リレーというのは、電力をコントロールするパーツのことです。エアコンのスイッチをオンにすると、リレーがコンプレッサーに電力を流すことで作動します。

リレーが故障すると、電気が流れないのでコンプレッサーが作動しません。また、エアコンのヒューズが切れているとコンプレッサーが作動しない場合があります。

ヒューズは電流をシャットアウトし、過剰な電力が送られないようにする働きがあります。ヒューズが切れていると過電流が発生し、電気の流れが止まってしまっていることになります。

リレーの交換にかかる費用は10,000円~20,000円程、ヒューズの交換には1,000円~2,000円程です。

エアコンガスの補充

エアコンガスは継続使用しても自然に減っていくものではなく、基本的に交換や補充は不要です。しかし、振動により徐々に隙間ができて漏れてしまうというトラブルが起こることもあります。そうなるとエアコンガスが不足してしまうので、補充が必要です。

エアコンガスが漏れているかどうかの点検を行うと、約5,000円~8,000円かかります。

エアコンガスの補充は2,000円~5,000円程です。また、添加剤を入れるとエアコンがパワーアップします。添加剤はプラス4,000円程で追加できます。

コンプレッサーの交換

コンプレッサーはエアコンの要となる重要なパーツです。エアコンガスを圧縮し、液化してから気化させる際に冷気が発生しますが、この時空気を冷やすことで冷風を生み出します。つまり、コンプレッサーが故障すると、冷房が効かなくなってしまうのです。

コンプレッサーは高額で、交換するとなると約50,000円~100,000円程かかります。

サーモスタットの交換

サーモスタットは暖房に関係するパーツです。エンジンから発生した熱は冷却水の循環によって冷やされ、オーバーヒートを防いでいます。この冷却水の流れを調整する弁のような役割を担っています。そのため、サーモスタットが故障すると温風が出てきません。

サーモスタットの交換には約10,000円~15,000円程かかるとされています。

冷却水の補充

冷却水は自然に蒸発するので、車を使っていれば多少は減っていきます。しかし、ごくわずかなので急激に不足することはありません。

急に減って暖房が効かないということなら、冷却水が循環するラジエーターホースの亀裂などが発生していることが考えられます。

ラジエーターホースの交換は約10,000円~30,000円程、冷却水の補充なら約2,000円~5,000円程でできるでしょう。

冷却水は劣化するので、2年ごと(車検ごと)にごっそり交換しなければなりません。交換には5,000円~10,000円程必要になります。

ブロアファンモーターの交換

ブロアファンモーターは、車内に風を送る役割を担っているパーツです。フィンが回転して送風する扇風機のようなものです。

異常が起こると送風されなくなり、エアコンから風が出てきません。また、キーキーなどの異音で不具合に気づくことが多いです。

ブロアファンモーターを交換する場合は、20,000円~40,000円程かかります。

エアコンが故障したら査定前に試してほしいこと

エアコンが故障したら査定前に試してほしいこと
エアコンが故障したかもしれないと思っても、実は故障でない可能性もあります。

故障と決めつける前にまずはエアコンフィルターを確認し、汚れていたら掃除をしたり、交換をしてみましょう。

また、冷風が出ない場合は、特にA/Cボタンがオフに、外気導入がオンになっている場合があります。一通りチェックしてみると冷風が出てくるケースもあるので、確認してみてください。

フィルターの掃除や交換

冷房や暖房の効きが悪いなどエアコンが故障したかもしれないと感じたら、まずはフィルターを確認してみましょう。

フィルターにホコリが詰まっていると、空気の流れが遮られるので風が通りにくくなります。冷風や温風の風量が弱まり、効きが悪いと感じることがあります。

エアコンフィルターは、車の助手席の前にあるグローブボックスの奥にあることが多いです。ただし、車種によっては別の場所に取り付けられている可能性もあるため、車の取扱説明書などで確認してください。

グローブボックスを取り外すとフィルターカバーが見えるので取り外し、さらにその奥のフィルターも外しましょう。古い歯ブラシなどを使ってホコリをざっと払えば、ある程度汚れが取れます。

家庭用のエアコンはフィルターを水洗いすることができますが、車用のフィルターは紙製のものが大半です。水洗いすることはできないので気をつけましょう。

内気循環にして温度を下げ、風量を上げる

エアコンから冷風が出てこない場合、A/Cボタンが押されていない可能性もあります。

A/Cボタンというのは、コンプレッサーを作動させ、冷たい風を作るためのエアコンディショニングシステムのスイッチです。オンにすると冷房、除湿機能が作動し、オフの状態では送風のみになります。

よくこのA/Cボタンを押してなくて、いつまで経っても冷風にならないというケースもあるので確認してみましょう。

また、車内の空気循環が外気導入ではなく、内気循環になっているかもポイントです。

外気導入は外の空気を取り入れて、車内を換気する場合に使います。一方、内気循環は外気をシャットアウトして車内の空気を循環させる時に使います。

外気導入は、車のマークに矢印が車の外から中へと向かって表示されているボタンです。内気循環は、車のマークに矢印がUの形で車の中に表示されているボタンなので、間違えないように押してみましょう。

そして、エアコンの風量を最大限にして、しばらく待ってみてください。それでも冷えない場合は、設定温度を一番低くしてみます。

特に暑い日は外に車を長時間駐車しておくと車内の温度がかなり高温になり、すぐに車内は冷えません。しばらく様子を見て故障の有無をチェックしてみましょう。

エアコンの故障は査定でどの位の減額になるのか?

エアコンの故障は査定でどの位の減額になるのか?
中古車の査定は、JAAI(一般財団法人日本自動車査定協会)が定めた中古車査定基準を参考にして行う買取業者が多いです。

JAAIでは、査定項目でそれぞれ基準を設けています。項目ごとに基準を上回ると点数が加算され、基準を満たさないと点数を減点する形を取り、最終的な点数を計上します。

そして、1点につき1,000円、10点単位で査定額に反映させていきます。つまり、10点減点となると査定額が10,000円減額になるということです。

エアコンの故障に関しての査定基準における減額対象は、ガス不足とエアコンの故障の2項目となります。

ガス不足の場合は-10点で10,000円の減額、エアコン故障では-40点で40,000円の減額となります。

エアコンは修理しないで査定に出したほうが一般的にはお得

車の買取前にエアコンの故障に気づいたら、修理しなければ査定額が下がってしまうと焦るかもしれません。しかし、故障部位によっては修理にかなりの費用がかかります。

例えば、ブロアファンモーターの交換では約20,000円~40,000円、コンプレッサーやエバポレーターの交換となると約50,000円~100,000円と高額な修理代となります。

その上、どこが故障しているか分からないので、業者に点検を依頼するだけでも工賃がかかってしまうでしょう。

しかし、そのまま査定に出せば、最大でも約40,000円の減額で済みます。比較すれば、修理しないで査定に出すほうが一般的にはお得だと言えるでしょう。

エアコンが故障していることは査定時に伝えましょう

エアコンの故障は車に関するトラブルの中でもよくあるケースなので、査定時には動作確認をして、故障の有無を調べます。そのため、エアコンの故障をあえてこちらから伝えるまでもなく、言わなくても問題はありません。

しかし、質問された時に故障を隠すために嘘をつくのは問題です。後で発覚した際にトラブルとなり、査定額の減額に発展するリスクもあるので気をつけましょう。

エアコンが故障した車でも諦めずに査定してもらおう

エアコンが故障した車でも諦めずに査定してもらおう
車を買い取ってもらう際に、エアコンが故障しているともう買い取ってもらえないと諦める必要はありません。

エアコンは車の走行に大きな問題があるわけではなく、修理すればまた使えることが多いので十分買取対象となります。

故障しているので状態によっては査定額は減額されてしまいますが、自分で修理するよりは損は少なくて済むことが多いので、諦めずに買い取ってもらいましょう。

まとめ

①エアコンが故障した車でも買い取りは可能
②エアコンの故障には風が出ない、冷暖房が効かない、異音がするなどのサインがある
③エアコンの主要部品の修理、交換には高額な修理費がかかることが多い
④買取り査定ではエアコンの故障により査定額は最大で40,000円の減額となることがある
⑤エアコンの部品、工賃代を含む修理代よりは査定額の減額のほうがダメージが少ないので修理しないで買い取りに出すほうがお得
⑥エアコンの故障について査定員に聞かれたら、正直に伝えよう
※本記事は公開時点の情報のため最新と異なる場合があります。
カータル編集部
カータル編集部
この記事は中古車の売却、査定などについての知識が豊富な私たちが執筆しています。車を少しでも高く売るコツや必要な書類、手続きに関する疑問や質問にお答えしています。

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