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車をぶつけた時にできた傷やへこみがあると、買取り査定時に減額されるのではないかと心配な方も多いかもしれません。
自分が中古車を購入する立場だったら、傷やへこみのある車は避けたいものです。
しかし、車をぶつけなくても長年乗っていれば多少の傷はついてしまうケースが多いです。
では、実際に買取り査定では車の傷やへこみに対し、どのような基準で査定額を決めるのか詳しく解説していきます。
車の傷やへこみの大きさや深さによって買取り査定額は変わる
車のボディに傷やへこみがあると、見栄えも良くないので売却する際に査定額が下がると思っている方も多いでしょう。しかし、傷やへこみが少しでもあれば査定額が下がるというわけではありません。
傷やへこみの程度によっては、査定額が変わってきます。傷が大きく深い場合は、やはりマイナス査定になるのは否めません。
しかし、ほとんど目立ないごくわずかな小さな傷は、ついている箇所にもよりますが、査定額に影響を及ぼさない場合もあります。
査定を受ける前に具体的にどういった傷やへこみが査定額に影響するのか知っておくと、どの程度の減額になるのかが分かるので役立ちます。
傷やへこみは買取査定基準に基づき減額される
中古車の査定額を決める際、買取業者が査定の基準としている指標があります。それが、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)が定めた中古車買取のための査定基準です。
この査定基準では、傷やへこみの大きさ、深さに基づいて減点される方式がとられています。全国の中古車買取業者の多くが採用している査定基準なので、どの業者で査定を受けても減点数は同じだと言えるでしょう。
ただし、業者によっては最終的な査定額に差が生じることがあります。その理由としては、業者が独自の販路において再販までにかかるコストや、買い取る車が中古車市場でどのぐらい需要があるかという点が考慮されているためです。
傷は大きさと深さによって減点数が異なる
車の傷に関する査定基準は、傷の大きさと深さによって減点数が区分されています。
傷の大きさが1センチ四方~カードサイズ程度なら、-10点の減点になります。
カードサイズ~A4サイズ程度なら、-20点の減点です。
A4サイズ~各パネルの半分以下に収まっているなら、-30点の減点です。
パネルというのは、例えばドアやボンネット、ルーフなどの各パーツのことです。
減点方式では、1点あたり1,000円で換算されます。例えば、-10点の減点だと、査定額が10,000円減額となります。
1センチ四方に満たない傷で、触ってみて爪にひっかからない浅い傷なら査定額に影響がないケースもあります。
長年車を運転していれば、ドアノブの周辺やボディの下のほうに細かな傷がついてしまうのは仕方ないことでしょう。
軽微な傷は買取業者の自社整備工場や、提携している整備工場などで、簡単にしかも安く修理できる場合が多いので大きな問題ではありません。
あまり目立たない場所の傷だと、査定額への影響も最小限で済む可能性があります。
ただし、傷一つは軽微でも、数が多い場合は目立ってしまうので減額となることもあり得ます。また、車のボディカラーによっても傷が目立ちやすい、目立たないという違いがあります。
全体的な傷の大きさや数をカウントしてトータルで判断し、査定額に反映させていくのが一般的です。
爪にひっかかる傷であっても、塗装が剥げている程度ならまだ浅い傷だと言えます。塗装を再度行えば、ボディ自体にダメージはないと考えられるので大幅な減額になることは少ないです。
傷が1センチ未満なら、査定額にはほぼ影響してこないと考えられます。しかし、1センチ以上と大きくなれば、多少の査定額の減額は避けられないでしょう。
塗装の下の車体にまでついた傷は、結構深い傷だと言えます。修理も塗装だけでは不十分で、板金も必要となってくるでしょう。
そうなると、簡単な修理では終わらないので技術が必要となります。中古車買取業者の整備工場や提携工場では、対処しきれないかもしれません。
こういった場合、別途車の傷を修正する専門の工場に修理を依頼しなければならない買取業者も出てきます。そこで費用がかかってしまうため、査定額から引かれて大幅な減額につながる恐れがあるでしょう。
小さい傷ならば数万円の減点で済みますが、大きいと修理に数十万円かかる場合もあります。
へこみはパーツや部位によって減点数が異なる
車のへこみは、傷よりも減点基準が厳しくなっているので注意が必要です。
傷は浅ければ、研磨したり再塗装したりすることで割と簡単に修理できてしまうことが多いです。しかし、へこみは叩いて平らに直す板金作業が必要となり、手間も時間も要します。
また、へこみが大きいとパネルを交換しなければならず、新しい部品の手配や交換作業などが大掛かりになります。そうなると、どうしても傷を修理するよりも高額な費用がかかってしまいます。そのため、小さなへこみであっても、査定における減額は免れないでしょう。
へこみは大きさでけでなく、パネルを交換する際は部位によって査定基準の減点数が異なるので注意してください。
へこみの範囲が、1センチ四方~カードサイズ位までの場合、車のどの部分であっても-10点の減点となってしまいます。約10,000円は査定額が減額となってしまう可能性が高いです。
車で走行していると、小石を跳ね上げてボディの下のほうが少しへこんでしまうこともあります。自分では車の下などに視線が行きづらいので、さほど目立たなければ気にならないでしょう。
しかし、へこみはボディカラーや車体に当たる光の加減によっては思いの他目立ってしまうことがあります。
10,000円の減額ならへこみの中でもさほど大きなマイナスではないので、無理に直さないでそのままにしておいたほうが無難かもしれません。
カードサイズよりも大きく、A4サイズよりも小さなへこみに関しては、減点数が大きくなってしまいます。ただし、へこんだ部分が修復しやすいパーツかどうかによって減点数は変わってきます。
例えば、リアエンドパネルやピラーなどは-15点、ボンネットやフロントもしくはリアフェンダ、フロントもしくはリアドアなどは-30点です。ルーフは面積が広いので-50点もの大幅減点となってしまいます。
A4サイズよりも大きいへこみとなると、さらに減点数が大きくなってしまいます。
へこみが大きいとそのぶん平らにする作業がより大変になり、高い板金技術が必要となります。時間も手間もかかるので、費用がかさんでしまうでしょう。
大きなへこみの場合も、パーツによって減点数に差が生じます。
例えば、リアエンドパネルやピラーなどは-20点の減点です。ボンネットやフロントフェンダやリアフェンダ、フロントドアやリアドアなどは-50点も減点となります。そして、ルーフに関しては-80点も減点されてしまいます。
かなり大きなへこみとなると、板金作業では復元できないケースもあり、パーツごと交換しなければならなくなります。
交換が必要なほどへこみが大きい場合は、パーツによって減点数も大きく異なります。
例えば、フロントフェンダやリアエンドパネルは-65点、ボンネットは-70点、リアドアは-75点の減点です。
さらに、4ドアのフロントドアは-80点、2ドアのフロントドアは-85点、バックドアは-95点、4ドアのリアフェンダは-130点にもなります。
乗用車のルーフは-140点、2ドアのリアフェンダは-150点もの減点です。
パーツ交換が必要なへこみとなるとかなり大きな減点、査定額の減額となってしまいます。
査定前に直すと修理費が高くつくので注意
車に傷やへこみがあると、大きさや深さによっては査定額が減額となってしまいます。数か所あれば、減点数がかさんでかなりの減額につながるでしょう。
できる限り減点を回避するには、「査定前に傷やへこみを修理したほうが良いのではないか?」と思うかもしれません。確かに傷やへこみが直れば、減額を防ぐことはできます。
しかし、自分では修理できないので修理業者に依頼すると、そのぶん修理費がかかります。傷やへこみの程度によっては修理代がかなり高くついてしまうことがあるので、注意が必要です。
査定額の減額よりも修理代が高い場合が多く、その分損してしまうことになります。
査定額の減額と修理代がほぼ同じ額であっても、修理を依頼するなどの手間がかかるだけで得にはなりません。傷やへこみは修理依頼しないで、査定に出したほうが良いでしょう。
自宅の車庫入れの際に車を壁にこすったなどの自損事故の場合、任意の自動車保険で車両保険に加入していれば、保険金で修理が可能となります。
数万円もの修理代が保険金でカバーされるので、お得なように感じるかもしれません。しかし、車両保険に加入すると保険金がその分高くなります。また、保険を使うと等級が下がってしまうので、翌年から保険料が上がる場合もあるので要注意です。
自損事故でもさほど大きな傷はへこみでなければ、敢えて保険を使わないほうが良い場合もあるので、どう対処するかを慎重に決めましょう。
軽微な傷を自分で直す方法
爪にひっかからない浅い軽微な傷なら、自分で修理できる可能性があります。カー用品店などで車の傷やへこみを修理するアイテムが販売されているので、探してみましょう。
浅い傷なら「コンパウンド」や「タッチペン」を使うことで傷を目立たなくできます。素人でも比較的使いやすいアイテムなので試してみる価値はあります。
また、浅い小さなへこみはドライヤーの熱風などをあてると平らに戻ることもあるので試してみてください。
擦ったような傷やひっかいたような線状の傷は、浅くて範囲がさほど広くなければ、研磨することで傷を目立たなくできます。
このセルフ修復法で使うのは「コンパウンド」という研磨剤です。コンパウンドには粒子の大きいもの、細かいものがあるので両方準備しましょう。
まず、粗めの粒子のコンパウンドをスポンジやタオルにとって、傷の上を磨いていきます。
次に、細かな粒子のコンパウンドを別のスポンジやタオルにとって傷の上にのせて磨きます。
つやが出てきたら、最後は仕上げとして液体状のコンパウンドをつけてタオルで綺麗になるまで磨いてください。
慌ててやろうとせずに一つ一つの工程を時間をかけて丁寧に行うことがコツです。車に詳しくない方でも簡単にできるので試してみると良いでしょう。
ひっかいたような線状の浅い傷は、小さなものなら「タッチペン」を使うと自分でも簡単に修復できます。カー用品店などで安く購入できるので探してみましょう。
まずは、傷の周辺をきれいに洗って、汚れを落とします。傷の上下にマスキングテープを貼って、タッチペンが周囲につかないように準備します。
傷の上からタッチペンを押しながら移動していくのがコツです。線を書くのではなく、点をつなげるようなイメージで行います。
全部埋めたら乾燥させます。塗装、乾燥を繰り返しながら塗装部分が盛り上がるまで続けるのがポイントです。
その後マスキングテープを外し、1週間程度触らないで乾燥させましょう。再度マスキングテープを3枚重ねで塗装の上下に貼り、サンドぺ-パーで平らになるまで磨きます。
さらに、マスキングテープを1枚ずつ剥がしながら同様に行います。3枚目のマスキングテープを剥がして磨き終わったら、液体コンパウンドで仕上げ磨きをして完成です。
浅くて小さな傷やへこみなら、市販のコンパウンドやタッチペンなどを使えば自分でも直せる場合もあります。しかし、自分では直せないような大きくて深い傷やへこみは、無理に直さないほうがいいです。
何とかしたいと思い、無理に修復するとかえって直す前よりもへこみが大きくなる、傷の部分だけ塗装の色が違って余計目立ってしまうリスクがあります。自分で直せるのか、傷やへこみの程度をしっかり見極めましょう。
また、修理業者に頼むのも得策とは言えません。査定額の減額よりも修理代が上回る場合は損するだけです。
修復歴のある車は査定額が下がる
過去に交通事故などで車が大きく破損し、修理した経験がある場合は要注意です。修理箇所によっては「修復歴のある車」となってしまい、それだけで査定額が減額となる場合があります。
修復歴がある車というのは、車の骨格部位が損傷し、修理してある車のことを意味します。
車の骨格部位とは、フレーム、クロスメンバー、インサイドパネル、ピラー、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロア、トランクフロアの8か所のことです。車の走行性能に関わる部分で、骨格が歪んでいると車の安全性が低下します。
交通事故で車を修理してドアなどを交換するなど大掛かりな修理を行ったとしても、骨格部位以外の部分なら修復歴ありの車にはなりません。そのため、査定額にもあまり大きな影響を及ぼさない可能性があります。
修復歴があると、場合によっては査定で結構な減額になってしまう可能性があります。
減額を回避するために何とかしたいと考える方もいるでしょう。そのため、「敢えて修復歴があることを言わなければ分からない」と思うかもしれません。
しかし、綺麗に修復してあっても査定員はプロなので見抜かれてしまうことが多いです。
もし敢えて言わずに後で発覚した場合、契約内容によっては売却代金の減額を要求されることもあります。
確かに修復歴は査定ではマイナス要素になってしまいますが、査定員に正直に伝えておけば後から嫌な思いをすることもありません。業者との売買交渉はスムーズにかつお互いが納得した上で、気持ちよく進められるようにしましょう。
軽微な傷や凹みなら査定額に影響はない
軽微な傷やへこみであれば、査定時において減額になる可能性も低いでしょう。
車の査定では、他にも車種、年式、ボディカラーなど金額を決める基準があります。できればボディは綺麗なほうがいいですが、長年使用していたら多少の傷は否めません。
買取業者には、自社もしくは提携している整備工場があります。多少の傷なら、自分の所の工場で板金塗装を行えます。その上、外注するよりも低コストで修理することが可能です。
傷やへこみがあっても諦めないで、査定額の減額をできる限り回避できるように買取業者と交渉してみましょう。